5話 こくはくです。
「・・・でルナ様。 何で僕達はこんな所に?」
やっと私の名前を間違えずに言える様になったユウが小声で呟く。
「決まってるでしょ? こんな面白そうなものを見ずにどうする!?」
私は感情を高揚させ、私達の先にある光景から意識を外させずに小声でまくし立てる。
「・・・きょうみない。」
≪・・・我もあまり興味はないのだが・・・。≫
「もう! ノリ悪いな~。レーノもランフォンも!こんな面白そうな展開なのに・・・勿体無い。」
何が勿体無いんだか・・・ と溜息を吐くユウはほって置いて、私は再び意識を一箇所に集めた。
* * *
「「・・・」」
お互い無言のまま時間が経っていく。
は、早く話し出さないと・・・。でも・・・なんて話し出せば・・・!?
今更になって慌てだす私を、彼は不思議そうに見ていた。
ああ・・・なんでもっと準備しておかなかったんだろう・・・。
「・・・あの?」
「はっはい!?」
沈黙の中でのいきなりの声に反射的に答える。
「ルナ様が貴方から話があると聞いたのですが・・・?」
「あ・・・はい。その・・・。」
「・・・?」
「つ、付き合ってください!!」
* * *
「・・・言ったわ・・・。ついに! ふふふふふふ!」
「ま、まじですか・・・。」
「ほへぇ~?」
≪・・・(黙秘)≫
それぞれの反応は異なっていたが私は気にしない。
「これで・・・あの変態から解放される!」
晴れ晴れしい満足しきった表情で私は呟く。
思えば・・・大変だった。
カイルは私に会えないからと言って毎日の様に手紙をよこし、プレゼントを贈ってきていた。
問題は、手紙とプレゼントの内容。
手紙に綴られるのは寒気がするような愛情表現の言葉ばかり。
プレゼントとして包装されているのは進みすぎだろ とつっこんでしまうような結婚指輪や
そういう系のきわどいものばかり・・・。
何度・・・殺ってしまおうかと思ったか・・・。クウ・・・涙が出そうだ。
だが今日で終わりだ!
カイルは私の前じゃなかったら真面目な優等生キャラ。人の行為を踏み躙ったことはないと聞いている。だからきっとカイルはサーナリアの心を受け取り、くっつくはずだ!そして恋人がいることになるから、カイルはもう私にちょっかいは出さないはず!
私は「よっしゃあぁぁぁぁぁぁ!!」と心の中でガッツポーズをとる。
だが、私は忘れていた。
確かにカイルは見た目も中身も最高のやつなのだが、私が関わると、その仮定は意味を成さないという事を・・・。
「悪いが断る。」
空気を凍りつかせ、私の笑顔も硬直させる声が響いた。
「「へ?」」
真っ先に反応したのは私とサーナリアの二人だけだった。ユウ、レーノ、ランフォンは
『やっぱりな』みたいな悟った顔をして、うんうんと頷いていた。
「な・・・なんでですか・・・?」
サーナリアが恐る恐るとカイルに聞く。
「俺のすべてはルナ様に捧げているからだ!」
・・・なんだって?
え・・・何? なんか絶望的な言葉が聞こえたような・・・? まだあれが続くの・・・?
えーと・・・ふっざけんなぁー!!!
もう一度言う・・・ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!
私とサーナリアはそれぞれ違う思いを抱えながら、同時に膝をついて項垂れた。
フェノはカイルがどれだけ執着しているか分かっていたけど
つい忘れていた、と。
ユウ、レーノ、ランフォンはちゃんと覚えてました(笑)




