2話 さんねんぶりです。
「・・・と、いうわけでバンパイアの里に行くよ~。」
「・・・すいません。何が『と、いうわけで』なんですか? 全然理解出来ません、フェノ様。」
ユウが額に手を当てて溜息を吐く。
今はあの『魔王城での小さな戦争』から一年・・・。つまり、私がこの世界に来て三年が経つ。
・・・私、生まれたてじゃん。まだ三年じゃん。
で、バンパイアのジジイ・・・失礼、お爺さんが来たのは一週間前になる。
「で、何故急にバンパイアの隠れ里へ?」
隠れ里といっても、ただ山々の間にあったり、山奥の中にあったりと、見つけにくい場所にあるから
『隠れ里』と呼ばれているだけだ。別にわざわざ隠れているわけではない。
バンパイア一族だけではなく、悪魔の一族も同じように村がある。
まぁ、似たようなものらしいけど? 行った事ないし知らない。
「ほら前言ったでしょ? 私は楽しく、なんとかするって。」
「・・・はぁ。」
ユウが よく分からない と首を傾げる。まぁ、分かりにくいように言ってるんだけど。
「とにかく行くの! 行くのは私、ユウ、ランフォン、レーノ よ。」
「わ、分かりました。 ですが・・・どうしてレーノまで?」
「レーノはバンパイアだからね。居たほうがいいと思って。」
「メリーは連れて行かないんですか?」
「メリーは・・・ほら、ミニやルカ、レクトの世話があるし・・・
それに・・・私の仕事を・・・ね? やってもらおうと・・・。」
レーノ、ミニ、ルカ、レクトの四人はメリーに世話を任している。
もともと四人には親がいないし、メリーは母親代わりに丁度いいのだ。
ついでに強くなるための修行と、メイド、騎士としての訓練も兼ねている。
そしてメリーを残す何よりの理由は 『仕事』
・・・だってめんどくさいんだもん。それにメリーは手際がいいし~。
「・・・ですが、今のバンパイアの里に行くにはフェノ様は目立ちますよ?」
「クス。だいじょーぶ♪ バンパイアに紛れ込めたらいいんでしょ? 策はあるわ♪」
「・・・凄く心配なのですが?」
「あー楽しみ♪ バンパイアの里!」
「・・・無視ですか・・・。はぁ・・・。」
「心配しないでユウ。聞こえててやったんだから。」
「尚更タチが悪いです!」
ユウが怒った~♪ ・・・いや・・・呆れてた。
そんな他愛無いことを話していると、扉の方から足音が聞こえ、思わぬ侵入者が来た。
「お久しぶりですっ!! 魔王様!!」
バン と扉を五月蝿く開け、嬉しそうな大声(凄く迷惑)を上げた男は、
すぐさま王座の前まで詰め寄り、跪く。
ユウと私はきっと途轍もなく嫌そうな顔をしていただろう。
いや・・・していたに決まっている。
男は私の手を取り、口付けしようとしたので振り払っておく。
ついでにユウが蹴り(さり気なくとび蹴りだったが見なかったことにした)を放つ。
男・・・侵入者・・・いや、不審者は吹き飛ばされたが、直ぐに元の位置に戻り、
改めて頭を下げ、礼をする。(その満面の笑みはやめて欲しいな~・・・)
「・・・ハァ。 で? 何をしにきたの? カイル?」
不審者、もといカイルは嬉しそうに顔を上げる。
「話は聞いたぞ! 俺も一緒に行こう!!」
きらきらとした目を私に向けて言い放つ。
三年振りに会ったと思ったら、いきなりこれですか・・・。
うん。 ちょー迷惑♪
『・・・カイル、お互い苦労するな・・・。』
こらこら。共感するなグリムゾン♪
出したはいいが出番のなかったカイルです(笑)
正直、急に出すことになりました~!




