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魔王はここに  作者: 藍猫
2章 まち
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 6話 よわいです。




 ・・・上手くいった・・・。


 周りが絶句している中、私は興奮していた。


 天狼の傷を治したときのように、魔力を帯びた言葉が命令となって相手に届いたことに・・・。


 いやぁ~・・・。やろうと思えばできるもんだね~。


 顔には出さないように心がけていたが、それに反し、私の口は弧を描くように

不気味に歪んで笑っていた。


 勇者一行はそれを余裕がある と誤解して一歩退く。だが、勇者だけは一歩前に踏み出した。


 「・・・私は勇者だ!ここでお前を討ち取ろう!!」


 「断る。」


 断固拒否だ。


 いやいや・・・そんな『何故だ!?』みたいな顔しないでよ。

討ち取る=殺す じゃん。殺されるの嫌に決まってんじゃんか。馬鹿か、お前は。


 「くっ・・・なら今っ!!」


 何が『なら』だよっ!?


 それにここで暴れないで。ここは私の大切な街なんだから。


 勇者は チッ と舌打ちし、腰に差してある剣を引き抜き、振り翳す。


 「・・・ユウ、メリー。」


 私の声に反応し、私の前・・・勇者の前に闇の玉が二つ現れる。

それは徐々に(実際は一瞬)人型をかたどり、ユウとメリーの姿になった。


 ユウが勇者の手を蹴り、剣を落とさせた。


 カシャン


 剣を落とした本人には何が起こったのか分からず、私と、突然現れた二人を何度も見比べる。


 残りの勇者の仲間たちも周りの魔族達も驚いていた。


 「あ・・・あれはミージェル家の息子とリオネラ家の娘じゃないか!!」

 「っ!ユウル=ミージェル様とメリーネル=リオネラ様!?」


 ・・・あ、魔族たちの驚く理由は勇者たちとは違ったみたい・・・。


 てか『様』付けで呼ばれるほど凄かったんだ。こっちが吃驚だよ。


 「・・・まぁいいか。 ねぇユウ、メリー♪」


 私の呼びかけに二人が片膝をつき跪く。

これは私が『魔王』のときには普通のことだ。


 「どうかされましたか?魔王様(・・・)。」


 メリーが顔を上げ、凜とした表情で聞いてくる。私はにっこりと笑い『お願い』する。



 「この人達・・・殺して? 私はめんどくさいの。」



 そんな物騒な台詞は、無邪気な笑顔を浮かべる私には何故か似合っていた。


 誰もが台詞の意味を理解しながらも私に見惚れていた。


 魔族の皆も、見慣れているはずの二人も、勇者たちも。

そして木も、鳥も、空気も、精霊も・・・誰もが、ね。


 「「はい。魔王様の手は煩わせません!!」」


 その言葉と共に二人が動き、勇者たちに襲い掛かり・・・終わらせた。


 実に呆気なく。


 ドサドサドサ・・・


 事切れた三人に私は冷たく冷酷な声で告げる。



 「醜く醜悪で、愚かな人間共。死の中で己の無価値さを思い知るのだな。」



 ・・・にしても弱っ。まさかあんなに呆気なく終わるとは・・・。

君らには恐れ入ったよ(別の意味で)。てかユウとメリーに普通に勝つ私って一体・・・。



 「ところでフェノ様(・・・・)?」


 ユウの優しい声に ゾワリ と悪寒が走る。


 ナンデダロウ?嫌ナ予感シカシナイヨ?


 「・・・な・・・何かな~、ユウ?」


 「お披露目はまだ先だと言いましたよね?何のために準備をしていたと思っていたんですか?

お披露目の際に混乱が起きない様に、と頑張っていたというのに・・・まさかこんな街中で、

こんな目立つ所で暴露するなんて・・・。ぼくの苦労は一体何だったんでしょうかね?フェノ様?」


 ユウの説教はそれから一時間続いた。この人目の多い街中で。


 しかも満面の笑顔で。


 気付けば周りの者たちが微笑んでその光景を見る始末。



 た・・・助けてくれぇ~・・・














 

ユウは結構腹黒・・・?

おかしいな。

もっと純粋キャラだったような・・・



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