表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

声の力 3

 そのあと、ミソラは丘の上の広場にむかった。

(シドなら、きっとここにいる)

 そう思ったからだ。


 ミソラの予想どおり、シドは広場にいた。

錬声(レンセイ)!」

 シドは声の力でムチをつくり、それを休憩用の建物の柱にまきつけていた。

「剣以外もつくるれるんだ」

「イメージすれば、どんなものでもかたちにできる。うまくつくれるかはべつだがな」

 何度かふっただけで、ムチはボロボロになり、光になって消えてしまった。

「なにをしにきた。二度とあらわれるなといったはずだ」

「想いをつたえにきたの。わたしの想いを、ちゃんとシドに知ってもらいたいから」

「ナラズをたおす気になったのか」

「ちがう、わたしはアサミちゃんを助けたい。たおすんじゃなくて、ともだちを救いたい」

「なら話はおわりだ。おまえと話すことはなにもない」

「シド、まえにいったよね。『いのちも夢も、ぜんぶ、おれがこの手で守ってみせる』って」

「ああ、いったな」

「アサミちゃんにもね、夢があるの。アイドルになるって夢があるの」

「…………」

「わたしはその夢を守りたい。シドと一緒にアサミちゃんの夢を守りたい」

 すぅっとみじかく息をすうと、ミソラはシドに頭をさげた。

「おねがい、シド。もう一度わたしに力を貸して。この町のすべてを守るために、わたしに力を貸して」

 ミソラはシドの返事を聞くまで顔をあげないつもりだった。

 けど……。

「ひとつ!」

 いきなりシドがさけんだので、ミソラはおどろいて顔をあげてしまった。

声勇(セイユウ)は、その力を己のために使ってはいけない!」

「シ、シド?」

「ひとつ、声勇(セイユウ)はその力を人類の平和のために使わなければいけない!」

 シドはこぶしを胸にあて、空にむかってさけんでいた。

「ひとつ、声勇(セイユウ)はその力を破壊ではなく、救済のために使わなければいけない!」

 シドがこぶしをほどいた。

「ミソラ、おれをなぐれ」

「え?」

声勇(セイユウ)三カ条をわすれた罰だ。おれをなぐれ」

「いや、そんなこといきなりいわれても」

「なぐれ、これは命令だ」

「いや、だから命令とかそんな……」

「なぐれ!」

「あー、もう! わかったよ!」

 パーン! 

 ミソラは思いきり、シドのほほをビンタした。

「……おまえ、意外と力あるな」

 ほほをさすりながら、シドがうなる。

「口では『守る』なんていいながら、おれはナラズをたおすことしか考えていなかった。復讐のために、おれは声の力を使っていたんだ」

 髪をかきあげて、シドがため息をついた。

「『おまえの声はナラズのいのちをうばうためにあるんじゃない。人のいのちを守るためにあるんだ』そう、いつも隊長にいわれていたのに、それをわすれていた自分が情けない」

「でも思いだすことができた。だったら、思いだせた自分をほめてあげなよ」

「おまえ……」

「いまシドに地獄に行かれたら、わたしがこまるの。だからさ、シド。自分のこと『ラシ・ラ・ミソラ』してあげなよ」

「そうだな」

 ふっと笑うと、シドは自分のうでをなでた。

「それにシド、ほんとはアサミちゃんをたおす気なんてなかったんでしょ」

「なぜ、そう思う?」

「だって、ほんとにたおす気があるなら、こんなところにいないで、アサミちゃんをさがしてるはずだもん」

「それは……」

「剣じゃなくてムチを錬声(レンセイ)してるのもそう。ムチはアサミちゃんの動きをふうじるために練習してたんでしょ」

「ま、まあな」

 シドが照れくさそうに返事した。

「ところで、アサミを救う方法は考えているのか?」

「確実な方法じゃないけど、ひとつだけ考えがあるの」

 そのとき、ミソラのスマホに電話がかかってきた。

「そらみん、助けて!」

 電話に出るなり、ナナのさけび声が耳を刺した。

「ナラズにおそわれてるの。たか先輩も一緒にいる」

「ナナちゃん、場所は? いまどこにいるの?」

「アンジェロ教会。できるだけはやくきて。それまでわたしがなんとかするから」

 その直後に、ガラスの割れる音と、ふたりの悲鳴がスピーカーから聞こえた。

「ミソラ、行くぞ!」

「うん!」

「「装声(ソウセイ)」」

 ふたりは同時に装声(ソウセイ)した。

「走るより飛んだほうがはやい。シド、教会まで飛んでいくよ」

「飛ぶ? そんなことどうやって――」

「こうやってだよ」

 ミソラは息をすうと、頭のなかで黄金のつばさをイメージした。

錬声(レンセイ)

 イメージを声に乗せて出す。

 するとミソラのせなかに黄金のつばさがはえた。

「おまえ……すごいな」

「感心するのはあと。アサミちゃんを救う方法は飛びながら教える。だから、はやく教会に行くよ」

「ああ」

 シドがミソラの手をにぎる。

「せーの!」

 力をあわせて地面をけって、ふたりは夕空(そら)へと飛びたった。


(つづく)


次回はいよいよ最終回!


※一年間がんばった自分へのクリスマスプレゼントとして、映画『学校の怪談』のDVDを買いました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ