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幼い記憶。
私は6人兄弟の次女。
でも、家族って言葉でひとくくりにするには少し複雑だった。
父と出会い、濃く残る記憶。
まずはそれまでの話を綴ろう
母が姉を出産したのは、17歳のとき。
相手の男は逃げた。
未成年の妊娠を巡って、母と親との間で大きな揉め事があったらしい。
その末に、母は家を出た。たったひとりで。
それから数年後、20歳になった母は一回り年上の男性と結婚し、私は生まれた。
その人は、優しかった。
夜、母と父が言い争っていて、私は目を覚ます。
嫌な気持ちになった私は泣きながら父に駆け寄ると
父は優しく抱きしめてくれた。
私の中の父の記憶は、今もそこにある。
温かい腕の中。心地よく安心した。
しかし私が3歳になった頃。
マンションのエントランスで、母に手を引かれながらこう言われた。
「もうここには帰ってこないよ」
言葉の意味なんて、よくわからなかった。
ただ、その時の空気と、母の顔は、今でもちゃんと覚えてる。
その日、私達は一緒に家を出た。
それから小学生になるまでの間に、
家に出入りする“男の人”が何度も変わった。
小太りで優しそうな人。
細身でお菓子をくれる人。
また、小太りの人に戻って。
母が幸せそうに笑っていたので、その環境が嫌ではなかった
でも、やがて母は若くてヤンチャそうな男と出会う。




