第68話:「進化する者たち」
【研究施設・地下ラボ】
ナナがクロの血液サンプルを分析していた。
データは異常を示している。
ナナ「この構造……Zウイルスの“変異因子”を逆に喰ってる……?」
ミナ「それって、どうなるの……?」
ナナ「彼の血液が、“抗ウイルス因子”へと進化してるのかも。
でも、それには代償がある。彼の細胞は、もう“ヒトのまま”じゃいられない」
【クロの回想】
クロは目を閉じ、かつての記憶に沈んでいた。
まだ感染していなかったころ、家族と笑っていた光景。
──そして、彼が“感染を選んだ日”。
クロ(思い出すな……過去に縛られてる暇なんか、今の俺には──ない)
その瞬間、クロの体内で硬化アーマーが黒から銀へ変わった。
ナギ「銀……! これは“第二進化体”の証……!」
ナナ「クロ、あなたはもう、“対ウイルス特化型”に進化したわ……!」
***
【ミナの異変】
その夜、ミナの腕に“紅い紋様”が浮かび上がる。
痛みはない。しかし、心臓の鼓動が異常に高まっていた。
ミナ「……私の中で、何かが目覚めてる」
イズナがミナに近づくと、ふっと紅い光が拡がる。
イズナ「これ……もしかして、私のウイルスが……?」
ミナ「違うよ。これは……“私の意思”だ」
ナナ「彼女の体が、ウイルスを拒絶するんじゃなく、“共存”してる……!?
ミナは“感応型”……“精神進化体”かもしれない」
***
【北方廃都】
異形の男は、ひとりの少女の記録映像を見ていた。
《記録:被験体No.33 イ・イズナ》
──“Zウイルス適応率:104%”
オリジン「忌むべき“失敗作”が……ついに“鍵”へ成ったか。
さあ、目覚めろ。私とお前の間に流れる、真なる“血の因果”を──」
その声に、数千体の感染体が一斉に膝をついた。
***
【エピローグ】
クロ、ミナ、イズナ、ナナ、ナギ──
かつての人類は滅びかけていた。だが今、彼らは“第二の命”を生きている。
そして、“人類の未来”を託されているのだ。
ミナ「……クロ、私、変わっていけるかな」
クロ「変われ。生き残るために、変わるしかねえ。
……でも、お前の“心”はそのままでいろ。そこが、お前の強さだ」
次回予告
第69話:「血と意思と、選ばれし者」
イズナに近づく影──そして、彼女の過去が明かされる。
“Zウイルス適応率104%”の真実とは?
クロの進化は、仲間たちに何をもたらすのか──