第64話:「白銀の境界者」
【交戦領域:崩壊境界点】
突如として空間が歪み、白銀の存在が降り立った。
装甲は滑らかで静謐、だがその内側に凄絶な力を秘めた者。
それが、もう一体のZ進化体──イグザクトだった。
「コード:イグザクト、目標識別──プロトゼロ」
その声は静かに、だが容赦なく響く。
【クロの視点】
「……なにあれ。あんな機体、データにない」
だが、イグザクトは確かに“ヒトの形”をしていた。
プロトゼロのように異形化せず、まるで神像のように整った“ヒト”。
それが、逆に不気味だった。
【ミナ】
「ねえ……どっちの味方?」
イグザクトは答えない。
ただ、手のひらから伸びる“光の刃”で、プロトゼロの触手を一瞬で切断する。
──応戦。
プロトゼロが唸り声のような電子音を発する。
「オ前ハ……マダ、“ヒト”ノ幻影ニ縛ラレテイル」
「進化は、不要な執着を削ぐ過程だ。お前は“削りすぎた”」
ふたりの“進化体”が、相反する信念をぶつけあう。
***
【ナギ】
「……こいつは、どっちもヤバいな。下手すりゃ、共倒れするぞ」
だがナナは言う。
「違う。これは“審判”。
私たちが進化の道をどう選ぶか、その“問い”を突きつけられてる……!」
***
【回想:イグザクト開発記録/ナナの回想】
──イグザクトは、かつてナナの設計データを元に創られた、
「ヒトの倫理を保持しつつ、進化に至る」存在。
だが、実験は途中で破棄され、データは封印されたはずだった。
「じゃあ、誰が……彼を完成させたの?」
その時、ナナの端末が自動接続される。
画面に映るのは、1人の老科学者。
かつてのナナの師、クラヴィス博士。
「ナナ……お前はまだ、迷っているな」
***
【戦場:交錯】
イグザクト vs プロトゼロ。
衝突と衝撃。
血が、電光が、意志が交差する。
「我々は、進化の果てに“自分”を残せるのか?」
その問いが、クロとミナの心を深く揺らす。
【エンディング】
空が裂け、第三の反応が接近する。
それは──“未登録のZ進化体”。