第48話:「襲撃 ―第三の勢力“ケルベロス”―」
瓦礫の中、風が吹き抜ける。
クロ、ミナ、そしてナナ――三人の再会は束の間の平穏をもたらした。
だが、その平穏を嘲笑うように、地響きが空気を裂く。
「……来たな」
クロが振り返ると、遠方に黒い影が複数。
それは、人ではない。
獣のようにうごめく異形の兵士たち――否、“造られた進化体”。
「Z進化を“純粋な力”として利用する連中か」
ミナが、ナナをかばうように前に出る。
その瞬間、頭上から――
ズドォォォンッ!!
爆風と共に着地した巨体。
鋼鉄のマスク、三つの顔。
人、獣、機械――その三面を持つ異形の兵士。
名は、《ケルベロス・ユニット》。
「貴様ら、“希望型進化”の芽を摘む」
声が重なって聞こえる。
合成音声、人の声、そして獣の咆哮。
この兵器には、複数の意識が同居しているのか――
ナナが震える。けれど、一歩も引かない。
「……私の進化は、誰にも操らせない」
ケルベロスは一歩踏み出すだけで地面が陥没する。
続けて、背中の“展開ブレード”が音を立てて開く。
ミナが叫ぶ。「散開して!距離を取って!」
その声を合図に、クロが一気に間合いを詰める。
――ガキィィン!!
クロのブレードが、ケルベロスの右腕の装甲と衝突する。
だが、まるで動じない。反撃の拳がクロを吹き飛ばす。
その間隙を縫って、ミナが両手からエネルギー弾を放つ。
炸裂――しかし、三つの顔の一つが口から「吸収フィールド」を展開し、無力化。
「……こいつ、やばい。今までの敵とはレベルが違う」
ナナが拳を握る。
彼女の体内の血液が、再び外に滲み出す。
そして、半透明のアーマーが形を変える。
今度は――翼のように広がり、羽ばたく。
「逃げない。私が……この力で、守る!」
《ケルベロス》と、ナナの新たな“進化”が、空中で激突する――!
【つづく】
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次回、第49話:「覚醒 ―血の羽―」