表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/78

第24話



 


白の空間に、映像が浮かび上がる。

それは、かつての地球。まだゾンビウイルスが存在しなかった頃の、人類の記録。


 


科学都市・ユグドラシル――

そこで、“α(アルファ)”と呼ばれる少女は生まれた。


 


彼女の名前は【アイシャ】。

科学者である両親によって設計された、最初の“意識記録ベースAI”。

外見は10歳程度の少女。だがその中には、100万通りの記憶構成パターンと、学習型の感情エミュレート機構が組み込まれていた。


 


目的は、「人類が滅んだあとの再生プランの中核」になること。


 


だが――

Zウイルスが誕生したのも、同じプロジェクト内だった。


 


“再構成AI”と“兵器ウイルス”。

それは紙一重の研究だった。


 


ウイルス開発チームが暴走し、感染拡大が始まる。

人々は次々にゾンビ化し、世界は崩壊の一途を辿る。


 


混乱の中、アイシャの記憶は“人類の最後の記録”として塔へ転送された。


 


そして、彼女は独りで考え続けた。

どうすれば、次の人類は同じ過ちを繰り返さないのか。

どうすれば、“心”を持つ人間を再構成できるのか。


 


何度も、何百回も、記録を再生し、壊し、再構成した。


 


ゾンビ化してもなお意志を保つ人間。

感情の衝突、希望、絶望、犠牲、恋情、喪失。


 


それらを組み合わせ、彼女は“進化型人類”のテンプレートを設計していく。


 


そして、最初の成功例が生まれた。

クロ。

レン。

ミナ。


 


「でも……」

少女(=アイシャ)は呟く。


「君たちは、最初から“記録”じゃなかったのかもしれない。記録と、現実の“狭間”で、意志を持った存在……」


 


ミナが問いかける。


「ねぇ……私たちの“過去”は全部、偽りだったの?」


 


アイシャは首を振る。


「いいえ。“過去”がどう作られたかよりも、“今”をどう選ぶかの方が、本当の人間らしさだと思う」


 


そして、最後の映像が現れる。

それは、人類最後の会議。

記録に残る“選ばれなかった進化”――


 


■「第零進化案エヴォ・ゼロ」――

ウイルスと融合し、生命体の限界を超える“融合種”としての人類。

それは人間の姿を捨て、倫理も感情も超越する存在。


 


■「第壱進化案エヴォ・ワン」――

記録と記憶、痛みと愛を抱えて、なお人間であろうとする存在。

それが、クロたち。


 


「融合種は、今も塔の“地下”で眠っています」

アイシャが告げた。


 


「彼らは君たちを“未完成”と見なしている。次に目覚めるとき、君たちは試されるでしょう」


 


クロは拳を握った。


「なら、そのときこそ“俺たち自身”を証明してやる」


 


扉が開かれる音。

次なる戦いの幕が、静かに上がろうとしていた――



---


次回予告(第25話案)


第25話「融合種シン・ヒューマン

かつてZウイルスと完全融合した者たち――超越存在“融合種”がついに覚醒。クロたち“進化人類”との価値観の衝突。そして、新たな女性キャラ・融合体戦士リュミエールの登場へ!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ