ホワイトボードと保護施設
皆様こんにちは、さとりの足です。これから喋れない僕と笑えない君は小説としても出させて頂きます(というか元はこっち)
茶番劇の世界とは設定が変わる箇所がありますがよろしくお願いいたします
ガラガラとキャリーケースを引き、私はとあるところに向かう。元々はまったく縁がないところであり、いまだに自分でも実感がわかない。実感を湧きたくもない。あそこに近づくにつれ、私に現実を突きつけてくる。
「…ついた、か」
パッと見たらただの一軒家。だが、中身は…
「雅…保護施設…」
ピンポーンと、軽快な音が鳴る。普段、あまりインターホンがなることは無いからとても珍しい。玄関先に移動し、ガチャリとドアを開く。
そこには、1人の女性がいた。黒髪のストレートロングで少し背が高い、大人のような風貌を醸し出している女性だ。だが、私はこのような女性に見覚えは無い。私は『なんの用でしょうか?』とホワイトボードに書き込み女性に見せる。
「…綾崎結衣。これからここに住むことになった。よろしく頼む」
ホワイトボードを落とす音だけが周りに響いた。
『そんな話、私聞いていないのですが…』とホワイトボードに書き込み、結衣と名乗った女性に見せる。
「一応…1ヶ月ぐらい前から決まっていたことなのだが。雅さんはいないのか?」
雅さんはこの保護施設の施設長だ。その名前を知っているということはとりあえず関係者ではありそうだ。
『雅さんは現在外出中です。おそらく2時間後には帰ってきます』
「そうか、わかった。すまないな」
『少しお待ちください、もう1人同居人がいるため呼んできます』
そう伝え私が席をたとうとした時、ドアがガチャりと開かれる。
「おはよぉ、おにいちゃん…」
ドアから顔を覗かせたのは、黒髪で小柄な少年の笹川空であった。
「あれ?おにいちゃん、この人だーれ?」
そう言い空は結衣さんに指を向ける。
『その方はあやさきゆいさん。今日からここに住むらしいよ』
「そーなんだ!よろしくねー!」
空は屈託のない満面の笑みを浮かべる。愛想の良さは相変わらずであった。
「綾崎結衣だ、よろしく頼む」
結衣さんの様子を確認してみると、空とは対比的に表情筋が一切動いていなかった。だが、その様子は顔が変わることがない日本人形のような美しさを感じた。
その清涼な雰囲気を、長く美しい黒髪によりより素晴らしいものにしているように見える。
「…2人だけなのか?保護施設ってもう少し人がいるイメージなのだが」
『ここに住んでいるのは雅さんと私たちの3人のみですね。あまり大きなところではないので』
言われてみれば確かに不自然なのかもしれない。私も、保護施設のイメージといったらやはり子供がガヤガヤと過ごしているというイメージだ。
『少人数は嫌でしたか?』
「いや、問題ない。というよりありがたいくらいだ。あまり人混みは得意では無いんだ。」
『同じです、私もこのくらいが1番ちょうどいいですね』
結衣さんとそのような他愛のない話をしていると先程からソワソワしていた空が話しかけてきた。
「お兄ちゃん、お腹すいたぁ…」
その発言をすると同時に空の腹の虫がなる。
『朝ごはんにしよっか。結衣さんはどうなさいます?』
「私は大丈夫だ」
そう言った直後に次は結衣さんの腹の虫が大きくなる。
「…やっぱり、もらってもいいだろうか」
『ええ、問題ないですよ』
腹の虫がなり恥ずかしかったのか、結衣さんは少し顔を背け頬を赤らめていた。雰囲気からは想像できないような可愛らしい動作であり、深くにも驚いてしまった。
「…なんだよ、私の顔を見てそんなに驚いた顔をして。」
見つめていたのがバレてしまい、もっと恥ずかしがってしまったのか結衣さんは席を立った。
「少し御手洗に行ってくる。朝ごはんに遅れそうだったら呼んでくれ」
結衣さんはそう言い廊下に向かっていった。
今回はすこし短めでしたが次回から長めのものを出させていただく予定です




