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配膳ネコロボット?


トモキの場合は顔のパーツがしっかりしていて主張が強いから、髪型に頼らなくても良いんだけど、もっと個性を出したい。

グループの中でも華やか担当として、目を惹く存在にしたい。


というような事をヒゲちゃんに説明する。


おおまかな個人コンセプトは、各々の希望を事前に聞いてある。どうしてもやりたくないこと、例えば染髪をしたくないとか、極端な短髪、または長髪が可なのか、不可なのか。

あとは、シンと相談してチーム全体のバランス、調和を考慮した。


基本的に担うポジションはあるけれど、そこからくるキャラクター像は決めない。これを固定しちゃうと自由度が減ってマンネリ化する、仕事や楽曲によっては変わる場合もある、ということを共有してある。


「なるほどね、わかった。じゃあさ、髪色少し明るくしていい?」


「はい、でもハイトーンはモデルの撮影があるので……」


「トモキ君はイエベか。甘栗みたいな色でどうかな? 照明で明るく映えるから」


イエベとかブルベっていうのは、その人の肌色の系統、一般的にパーソナルカラーっていうやつだ。肌のトーンによって更に春夏、秋冬にわかれ、また顔のつくりでもわけたりする。それを参考に似合うヘア、メイク、ファッションカラーを決めていく。


ヒゲちゃんが、偽髪の色見本表を見せてくれる。ダークブラウン→キャラメル→ミルクティ、暗めだから左の方ということかな。


「いいですね」


「で、フェードって知ってる?」


さぁ、と首を傾げるトモキ。


「モヒカンは?」


「インディアン」と私。

「ネイマール」とトモキ。


ヒゲちゃん、トモキに向かって頷く。


「ソフトモヒカンていうやつね、サイドのここら辺から襟足のここら辺までをグラデーションで刈り上げちゃって、トップは長めに残してあげる、前髪は下ろすと柔らかくて上品、上げれば攻めてる感じになるよ」


「いいですね、カッコよさそうです!」


トモキが期待に満ちた目をヒゲちゃんへ送る。


「トモキ君、頭のかたちいいし似合うと思う」


「では、おまかせします……」


ヒゲちゃんとトモキのなかでは、その完成形が共有されたみたい。


チョコちゃんにシンが呼ばれる。


「お願いします」


「シンくんは、いつも来てるもんね。で、伸ばしてる途中だっけ?」


「あ、それは前のコンセプトで……でも伸ばしてました。個人的に」


「あ、そうだった。前にも聞いてたかも、ごめーん!!」


微妙な内容の会話だけど、シンとチョコさん仲良さそうに笑顔をかわしてる。


「で、オーダーがクールプリンス……」


あ、えーと、それはですねっ!


チョコちゃんが、私の作ったコンセプト欄にチラッと目を通して、了解というように頷く。


「前下がりのマッシュかな。せっかく伸ばしたんだし。髪質がいいから、それを生かして前髪はサラサラ。巻けばフワカワにも出来て、イメチェン簡単だしね。で、襟足はこのまま長めで色気出して、カラーは上品なラベンダー系のダークブラウンがいいな……うん、良し」


チョコさんが早口で説明?してたけど、大半が聞き取れなかった。


「はいお待たせ、奏ちゃん!」


「私? 予約してませんけど」


「ヒナタ君、まだ時間がかかるし、その間にやってあげる」


ヒゲちゃんが、どうぞと椅子を回してこちらへ向ける。


「ああ、はい」


断るのも悪い気がして椅子に座った。


「どうする? 短くする?」


「いつもどうり。何もしなくてもいいようにお願いします。寝癖がつかないと尚いいです。あとは暑いから涼しく」


「はい、わかったよ。ショートボブのアレンジで外ハネしないように後ろは丸くカットするね」


鏡の前に座った私を見て、ヒゲちゃんがニコッと笑った。


「なんですか?」


「いやさ、なんか奏ちゃん少し変わったなって思って、雰囲気?」


「そうですか? 変わってないですよ? どこも。あ、太った? かもしれない……」


鏡越しにヒゲちゃんを見る。


「なんかさ、表情のパターンが増えたみたい」


「なんですかそれ。配膳ネコロボットですか、私は」


「褒めてるんだよ……ネコロボットって自分で言ってるし。確か、前は2パターンくらいしかなかった」


「いくらなんでも、それは少なすぎる。それだと、寝てるが起きてる、しかない」


「だって、そうだったよ」


流石にヒゲちゃん、そんなわけないじゃん。サクサクサク、パサパサパサ。

切られた髪の毛がどんどん落ちていく。


「ほんとそれ。最初の頃、奏先輩の顔パターン俺の中では、起きてる、か、怒ってる、の、どっちかだった」


ソファで雑誌を見ていたショウゴが、背もたれ越しにこちらへ身体を向け、会話に入ってきた。


「それは厳しいな。俺なら心が折れるよ、奏ちゃん」


それはそうだよ、ショウゴがなんで私にまとわりついてくるのかわからなかったし、変人じゃん? ストーカーじゃん。警戒して当たり前でしょう。


「大丈夫ですよ、反省しなくても。メンタル鬼強いんで、俺」


反省? する必要ある?


「はーい、奏ちゃん終わりました」


☆☆☆☆☆


おおー、と、美容室内でどよめきが起こった。


隣のヒナタに皆の視線が集まっている。


カットとスタイリングでここまで変わるか。まるで別人だった。

そこに立っていたのは、サラツヤ髪の爽やかイケメンだった。


「メチャクソ、イケメンじゃないですか……!!」


トモキがみんなを代表して言ってくれた。語彙力が足りない部分もあるけど。


髪型って重要なんだな、と思う。


「僕も、ちょっと……いえ、凄く驚いてます……」


ヒナタは鏡に映る自分をしっかりと見ていた。




+++*+++*+++


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