JK社長が爆誕するまで / 晴天の霹靂、パパが倒れただって!!
今日は、なんか良くないことが起こるって予感、あったような気がする。
「もしもし叔母さん? よく聞こえなかった、もう一度言って」
電話の声がとても遠い。
暗い空に紫色の稲妻が走った。
駅へ向かう人たちが同時に空を見上げている。
「お兄さんが事務所で倒れて、救急車で運ばれたらしいの」
「パパ、が?」
ド──────ン
バリバリバリ
落雷の重低音で一瞬息がとまる。
空から大きな雨粒が落ち始めた。
「倒れた?」
雨粒は駅前ロータリーのグレイッシュなアスファルトへ黒い斑点模様を描く。
「病院の場所、メールで送るから。今どこ?」
「今、駅にいて。なんか凄く混んでる」
____えー、繰り返しお伝えいたします。
本日、落雷の影響により、只今列車は各駅に停車しております。
お急ぎのところ大変申し訳ありません____
「電車、止まってるみたい」
「そうなのね、でも落ち着いて、大丈夫」
「どうしよう……」
駅の外も中も人だらけだ。
湿気ったぬるい空気が重くて息苦しくなる。
「もしもし、奏ちゃん、タクシーに乗って、お金持ってる?」
「うん」
「じゃあ気をつけて来るのよ、叔母さんもすぐに家を出るから」
「ねぇ叔母さん」
「はい?」
「パパ、大丈夫だよね?」
「もちろん大丈夫よ! きっと大丈夫!! じゃあ、もう切るね?」
「うん、わかった」
電話を切ってロータリーへ行くと、タクシー乗り場には長蛇の列が出来ていた。
朝の通勤時間帯に、雷ごときで止まってどうすんの。
「もう、こんなときに……」
───ポフポフ~
ショートメールの着信音だった。
「やった! 電車止まった!! 先輩デートしましょうよ~」
スマホの画面にショウゴらしいカラフルな絵文字が並ぶ。
「それどこじゃない……」
無視しようとして、ふと思い出す。
すぐにショウゴへ電話をかけた。
「 おはようございまーす!!」
電話に出るの早っ!!
呼び出し音鳴った? 鳴ってないんだけど?
「いや~嬉しいなぁ、朝から先輩の声が~」
ショウゴのアホな挨拶をぶったぎって用件を伝える。
「ショウゴ、あのさ、今すぐバイクで
駅まで来てくれない?」
「えっ、どうかしたんですか?」
「いいから、早く! 5分以内に来て」
「わ、わかりました、ちゃんと5分以内に行くんで、待っててください!!」
+++*+++*+++