表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第2話「BBB」

謎の占い師カルタと出会い、この俺小平静には「なにも起こさせない能力」とかいうはた迷惑なもんがあることが分かった。

それから2週間ぐらいか?今もその能力を解除するためにバイト帰りのカルタを捕まえて能力を自由に操る方法を教えさせてるってワケだぜ。


カルタ「そうではないぞ!要領の悪いやつじゃのう。」


静「うるせぇぞ!今集中してんだぜ。話しかけんのはダメだって分かるだろが!」


カルタ「そんなこと言ってお前、さっきからまるで出来ておらんぞ。」


「もっとこう…自分の能力の形を思いうかべるのじゃ。」


静「自分の…能力の形…」


「そうは言ってもよぉ、『なにも起こさせない能力』だっけか?もっと情報がねぇと思い浮かぶもんも浮かんで来ねぇぜ…」


カルタ「そうじゃ!この前はキチンと説明しておらんかった!お前には難しいと思ったからじゃが…」


静「ナメてんのか!カルタ!これでも俺は頭はいいんだよ。昔っからなぁ!」


カルタ「そ、そうか。ならば説明してやろう!お前の能力がどんな物かをな…」


「お前の能力は、具体的にはお前のまわりに『凪』を創るというのものじゃ。『凪』というのは言うなれば『無』。お前の周囲のものすべてを凪いだ海のように平坦にする。そのものが持っている最もスタンダードな状態にしてしまうんじゃ。」


静「凪ねぇ。」


その時、異変という程でもねぇが今の俺からしたらほんの少し、おかしなことが起きたんだ。


静「おい!カルタ!危ねぇ!!」


近くの木がいきなり、そんな素振りを見せていたワケでもねぇのに俺たちに向かって倒れてきやがった。

ギリギリでなんとも無かったが、俺の反応が一瞬でも遅れてたらカルタはぺちゃんこだったろうな。


カルタ「なんなんじゃ…なんだっていきなり公園の木がこんな不自然に倒れて来るんじゃ…」


「まさか…!静、こっちへ来い!」


そう言ってカルタは、最初に出会った時みてぇに虫眼鏡で俺をジロジロみはじめた。


カルタ「能力が解かれておる…」


静「なんだと?!」


カルタ「だが妙じゃな…今の間でお前が能力の形を見せてるようには見えなかったがな…」


静「なんだか分かんねぇけどよぉ!能力が解除できたっつーことだな?!」


「これで退屈な毎日からはおさらばだなぁ!」


カルタ「喜ぶのはまだはやいぞ。銃を撃つために引き金を引くように、刀で斬るために鞘から抜くように、何か起点を決めておかんとまた勝手に発動してしまうのじゃ。」


「ましてや何故解除出来たのかも分かっておらんのじゃろ?」


静「確かにそうだ…でも結局カルタの本みてぇなのは全然でねぇじゃねぇかよ。」


カルタ「今一度やってみたらどうじゃ?」


静「能力が解除できたからって、急にできるとは思えねぇけどなあ。」


そしたらよ、出来ちまったんだ。

カルタが本を取り出した時みてぇに俺の足元の影が動き出したんだ。だがひとつだけ、カルタの時とは違うことがかった。


静「確かに俺は見たぜ…カルタも見ただろ?俺の影が動いて、今にも浮かび上がってこようとしてた。」


カルタ「ああ…確かに儂も見た。じゃがどういうことじゃ?お前の能力の具現体はどこじゃ?」


静「カルタ…俺は能力についてなにも知らなかったし、俺以外の能力を持った人間も、カルタしか知らねぇ。だからよ、普通はどうだみてぇのは分からねぇ」


「だがこれは、もしかしたらなんだが…無いんじゃねぇか?いや、正確には『無い』がある…」


カルタ「なんと…!儂もはじめてでわからんが、確かに、見えないが何かがある…何かがあるぞ!」


「お前の能力の具現体は『無い』じゃ!きっと儂が教えている時に何も無いを考えていたからなんじゃないか?!」


静「確かに一理あるな…まあどっちにしたってこれが俺の引き金だ!これで自由に操れるようになったってワケだぜ!!」


カルタ「良かったのう。記念にお前の能力に名前を付けてやろう!」


静「オメーがつけんのかぁ?ちゃんとダサくねぇのをつけろよ。」


カルタ「『Bored Beyond Belief』なんてどうじゃ?」


静「ボア…なんだって?何語だ?」


カルタ「チョー退屈って意味じゃ。略してBBBじゃな。結構綺麗にまとまっておると思うんじゃが。」


静「BBB…ね。よく分からんがなんかかっこいいし、それにするぜ!」


こうして俺は能力を自由に使えるようになった。カルタの野郎も思ってたよりちゃんと家賃払ってるし、一応感謝はしといてやるぜ。

それにあんなババ臭ぇしゃべり方の癖にネーミングセンスがババ臭くねぇのは驚きだな。なんにせよこれでつまんねぇ毎日とはおさらばだ!


続く…


――登場人物――


静:ごく普通の高校2年生。ついに能力の具現体を出せるようになった。どうやらカルタから家賃よりもちょっぴり多くお金を取っているらしい。この日を境に色々なことに巻き込まれるようになることをまだ知らない。


能力名:Bored Beyond Belief(BBB)

能力:なにも起こさせない能力。本人のまわりに凪を創り、全てのものを最もスタンダードな『0』の状態にさせる。


カルタ:世界を転々としているらしい占い師。静の家で居候をしていて、家賃を払うためにコンビニでバイトをしている。静のために一生懸命静の能力の名前を考えていた。最近の悩みはソファで寝ているせいで、よく落っこちて目が覚めること。


能力名:神のみぞ知る(ピークノート)

能力:本質を見る能力。何かのレンズ越しに他人を見ることで、見たものが心の奥底に秘めた変えられない本質を見ることができる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ