第5話
ごめんなさい下記途中です
『お前の存在に救われてる人もいた』
必死そうな里鬼の言葉を聞いて、俺はその言葉を信じることにした。
「そっか、さんきゅー里鬼。ああ、いっしょに姫を助けに行こう!!」
その日から、俺と里鬼…と、一応あの少女を含めた3人で、青条様奪還の計画が始まった。
その計画をする上で少女と自分の関係は里鬼に隠しきれず、だめとは言われていないし…と考え洗いざらい話した。
特にペナルティーもなかったため、別に話してもよかったのだろう。転生のことすらも平然と話せた。
そして里鬼はそれを少しも疑わずに信じてくれた。
「里鬼くん!!お前はやっぱり親友だぁぁ!!」
「ベタベタくっつくな!きもい!きしょい!汚れ!」
では学校はどうしようと思ったが、今は5月の終わりごろ。
幸いにも作戦決行日予定の長期休暇、夏休みが近く、作戦決行までの時間もおよそ2ヶ月。
その今後の話し合いを、お互いの家に近い公共施設で6月5日の日曜日に行うこととした。
大日が目を覚ましたのは午前9時。週5の登校と土曜日の部活の疲れからか、集合時刻ぴったりの目覚めだった。
「やっべ遅刻する!」
登校日もいつも遅刻ぎりぎりなので、いつものことと言えばいつものことだが、今回は特別。里鬼にメールで連絡してから大急ぎで家を出る。
学校の授業よりも、友達付き合いよりも、部活よりももっと大事な用事に遅刻はまずい!
全速力で走っていったため遅刻時間は数分だったけれど、待っている(であろう)姫に土下座、里鬼に軽い謝罪をして話し合いを始めた。
「んーと…まず、決行日は夏休み入ってからでいいよな?」
「いや大日お前馬鹿か?それはだめだ」
即答で反論してきた里鬼に大日は尋ねる。
「え?何で」
「それだとさ、作戦会議があまりにも短いだろ?8月入ってからにしようぜ」
「あー、そうだな。早すぎても失敗するし」
姫を少しでも早く救出できたら、と思っていたが、それで失敗してしまっては意味がない。
「じゃあまずは魔王城の場所特定して―――」
午後5時30分
リーンゴーン…リーンゴーン…と、閉館5分前の合図がした。
「今日はここまでか、またな、大日」
「ああ、じゃあな里鬼」
家に帰り、俺は今日の話をノートにまとめ直したり、今日考えきれなかったところを夜通し考えたり調べたりした。
「来週、里鬼とも共有しないと」
徹夜なんて苦じゃなかった。こうしてる間にも、青条様は何をされているのか分からないのだから。
6月7日、月曜日。余裕を持ってセットしたアラームの音がなる。ピリリリリ、ピリリリリ
大日はそれを叩いて音を止め、ゆっくりと体を起こした。
「ねむい…マジでねみぃ…」
土曜日の徹夜の後、朝に2時間ほど睡眠をとったものの、そのまま食事等の必要最低限のことを除いたあとの時間は、作戦のことを考えていた。
「2日連続で徹夜なんかするんじゃなかったぜ、いや、姫のためだ、…でも眠い、あと1時間だけ―――」
再度目を覚ましたのは
「うわぁぁぁぁぁ遅刻だぁぁ!!!!」
8時30分だった。
――完全に遅刻だ。HRはもう始まっているだろう。学校に着く頃には、1限目は始まっていると思われる。
「どうせ遅刻するなら、もう休んじゃおう。作戦の共有は明日でいっか。俺天才」
そんな風に自分を甘やかそうとはしたが、現実はそう甘くない。…大日の部屋のドアが、音を立てずにゆっくりと開いた。
「大日ー?お母さんの存在を忘れたのかしらぁー?サボりは許さないわよ、ほらとっとと行きなさい!!」
「何で家にいるんだよ、仕事は!?」
「休みよ、やーすーみ。どうでもいいから、早く行きなさいって!!」
そして、本日も全力ダッシュで学校に向かった。
「おはよーございまーす!」