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姫と、再開の時のためだけに。  作者: 雫 のん
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第2話 高校生であること

水没事故にあった螂谷は、異世界への転生をした。

姫も町の知り合いだって、みんなが生きていて平和な世界に。

しかし、肝心な姫は「魔王」に捕らわれていて会うことは叶わない。早速「魔王城」に向かおうとする大日だが…

 姫の妹(彼女も姫だが)は螂谷…大日に魔法らしきものをかけた。すると、光の粉みたいなものが大日の周りで舞った。

 気づくと大日は個室らしき部屋にいた。部屋には、簡素な家具がいくつかあるだけ…世の少年としてはありきたりな部屋だった。勉強机&椅子、ベッド、チェスト、本棚、クロゼット、エアコン。窓には若葉色のカーテンが掛かっていて、床には空色のカーペットがあった。

大日がいた設定の部屋だけあって、螂谷の好きな色、デザインで溢れている。

「すげぇ…本当に俺がいた設定になってるんだな…」


 改めて今時の神様に驚きつつ部屋を見回し、かつての自分の部屋を思い出した。姫の城の使用人部屋だ。

使用人の部屋とは思えないくらいに広くって、綺麗な家具で素敵な環境だった。姫君方は、使用人であろうと町の皆をとても大切に思っていた。

そのときほどの部屋ではないが、我が儘なんて言う権利ない。姫と同じ世界にもう一度生まれ、もう一度出会える可能性を与えられ、それ以上の何を望むんだ。

「それじゃあ早速手がかりを探しにいきますか!」


 何も考えてはいないがとりあえずそう言い、クロゼットの中から適当に動きやすそうな服を取り出し、着替えた。そこには大きめのバッグもあったので、中にいくつかの着替えと机にあった財布を入れる。


 次に食料を探すために部屋から出た。大日の部屋はどうやら家の2階にあるらしく、部屋を出て廊下を少し右に進むと下へ降りる階段があった。

その階段を駆け下りて、片っ端から部屋のドアを開けていく。今まで暮らしていた設定なら俺に記憶くらいくれたらいいのに、と思った。

浴室、トイレ、居間、寝室、リビング…


 六つ目のドアを開けると、ようやくお望みのキッチン&ダイニングを見つけた。ドアの辺りからでも冷蔵庫の位置はわかったため、すぐにそこへ向かう、と…

「ちょっと大日、なにやってるの?あ!まーた勝手に冷蔵庫あさって!そんなにお腹減ったの?まったくもう…」

と、知らないおばさんから話しかけられた。おそらく母親であろうそのおばさんは、大日の格好を見て怪しそうな目を向けた。

「あら、あんた今日登校日じゃないの?月曜日よ?何で制服着てないのよ。サボろうったって許さないからね」

「え!?」

てっきり、大日は自分はもう大人だろうと思っていた。仮に実家暮らしのダメダメな大人だったら魔王城に向かいやすい、とも。ただ学生となると…

(時間は…週2!?いや、もし部活とかあったら…?バイトとかしてたら…?やべぇ!!)

「えっと…」

(どうしよう、体調が悪いとか何とか言い訳するべきか、いやまてよ…!?学校で情報収集もアリかもしれない!!)

「…今日日曜日って勘違いしてたー、やべ!すぐ学校いかないと!!」

「たっくバカねぇ…ほらとっとと部屋で制服に着替えてきなさい!朝ごはんはあるわよ。」

「へーいっ、てか制服って部屋のどこにあんの?」

「はあ?あんた今日なんか変ね、いつも着替えてるくせに…。クロゼットのこう、パカッて開くとこ、そこのハンガーにかかってるじゃない。」

「さんきゅー×ありがと、おかあさん!」

母親(仮)は再度疑わしそうな顔を向けてきたが、とりあえず部屋へ駆け戻る。


 母の言ったところには確かに制服があった。制服を着て、胸ポケットに入っていた生徒手帳を取り出し、学校を確認、閃混高等学校という高校らしい。机上に放置されていた携帯で学校へのルートを確認。机横にあった学校用であろう鞄を持って一階へ向かった。

急いで朝ごはんを食べきり、部屋を出てすぐ近くにあった玄関から外へ出る。元々付き人をしていたから、位置やルートの把握はお手のもの。高校は近場だったため、徒歩で向かう。

 下駄箱から教室を確認し、向かった。

教室に入ると、大日の心に感動が溢れた。

久しぶりの、人々の笑顔。笑い声に、幸せな何気ない会話。空気がとても温かだった。

事故のときの、泣き叫ぶ人々はいなくって。苦しそうに呻く人なんていなくって。死体なんて1つもなくて。

平和な世界で再び姫と生まれることができたんだ、と。

 もう一度深く決意をする。必ず姫を救いだして、絶対に姫と共に過ごす日々を取り戻すんだ…!!姫と、こんな風に笑いあえる日々を取り戻すんだ。

 空いている席は1つだったから、多分そこが自分の席だろうと思い、席に着く。前世でも中学までなら学校には行っていたため、やることはわかる。

支度と課題提出だ。課題…あれ、昨日の俺ちゃんとやってるか?ガサゴソと鞄を漁ると、それっぽいノートが出てきてホッとする。中身も確認してみたが、やってあるっぽいから良かった。急いで支度と提出を終わらせて席に戻った。

そんな時だった。アイツが話しかけてきたのは。


「大日ー、お前珍しいなぁこんなギリギリの登校なんて」

青い癖っ毛の髪。緑色の大きめの瞳。忘れるわけがない。コイツは、

2話、最後まで読んでくださりありがとうございました!

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他の小説も書いていますのでそちらもよかったら✨

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