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204.トーリェ領の最後の夜


「なー、モノー。祝杯上げに行こうよ、祝杯」

「あ…ええと…」

「レンドルフ先輩も行きましょうよ〜。色々あって大変だったでしょ。せめて美味しいものでも食べてスッキリしましょう!」


モノは貴族向けに準備された宿を引き払って、騎士団用の簡素な宿の方に合流していた。一応ベルは護衛対象であるので、宿は同じではあるが護衛と称してオルトと共に宿の一番良い部屋に泊まっている。全員簡単な報告だけ済ませて、詳細は後日王都に戻ってからレナードを交えて行うことになっていた。

その報告会を終えて少し遅めの夕食に出ようという話になり、ショーキがモノの袖をクイ、と引いた。


「ショーキは元気だな」

「あ!オスカー隊長!隊長も行きましょうよ」

「私は報告書をまとめる仕事があるからな。若い者だけで行って来なさい」

「え〜、せっかく平和な遠征なんだから、地方の名物食べましょうよ」

「ははは、ショーキはこっちがあればいいだろう?」


オスカーは楽しげにショーキの頭を撫でると、彼の手に布袋を握らせた。その少々重そうな布袋を覗き込んでショーキが半分驚き、半分嬉しそうな顔になる。


「ついでにモノの指輪が外れたことを少しばかり派手に喧伝して来るといい。万一魔獣が出現した時に、これ以上モノのせいにされるのも癪だからな」

「はい!ご馳走になります、隊長!」

「オスカー隊長、そこまでしていただかなくても」

「モノは初めてだから知らないだろうが、こうして長期遠征で全員無事に任務を終えたときはちゃんと騎士団から手当が付くのだよ。明日の移動に支障が出ない程度に羽根を伸ばして来るといい」

「はい…ありがとうございます」


ショーキに手渡したのは、それなりの金額が入っているのだろうとレンドルフは重そうな布袋を見て察する。オスカーのいう通り確かに手当は付くが、せいぜいその日の昼食が一品増える程度だ。おそらく大半はオスカーの懐から出ているのだろう。レンドルフの視線に気付いたのか、オスカーは軽く片方の口の端だけを上げて、少しだけ悪戯が成功したような得意気な微笑みになった。レンドルフもその気遣いに水を差さないように、視線だけで頷いてみせる。


「レンドルフがいれば大丈夫だと思うが、あまり妙なのには絡まれないようにするんだぞ」

「はーい。隊長、モノのことはどこまで言って回っていですか?」

「婚姻で家を出るのと、指輪が外れた、だけでいいだろう。後は勝手に想像するだろうさ」

「分かりましたあ!モノ、何か食いたいものとかあるか?」

「自分は何でも…」

「そんなこと言ってると果物の専門店にするぞ」

「え、ええ…その、レンドルフ先輩は」


モノの新たな門出の祝杯なのだから、モノの食べたいメニューを聞いたが、どうにも遠慮がちでハッキリしない。困った顔でレンドルフに話を振って来たので、レンドルフはトーリェ領の地理を思い出す。


「…確か湖での漁が盛んだと聞いたことがあるが」

「は、はい。そこで獲れる鱒が、色々な調理法があります」

「おー、先輩詳しい。じゃあ鱒が食べられそうな店にしよう!」

「え、でも、ショーキさんは」

「僕は肉でも魚でも美味しいものは美味しいと思うよ。ただ、野菜の方がもっと好きなだけ」


リス系獣人のショーキは、野菜や果物などを中心に好んでいるが、別に魚が食べられない訳ではないのだ。遠慮するモノの袖をグイグイ引いて、意気揚々と夜の街に出掛けて行った。レンドルフもオスカーにペコリと頭を下げてその後を追った。



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「庶民的な店に行くか、ちょっといい感じのレストランにするか…僕としてはいい感じのレストランは女の子と行きたいんですけど、お二人はどうします?大衆酒場みたいなのは大丈夫です?」


確かに雰囲気のある洒落たレストランに男ばかりで行ってもサマにならないだろう。あまりにも正直な物言いのショーキに、レンドルフは思わず笑ってしまった。


「俺は慣れてるし、そういう店の方が気楽だな」

「モノは?」

「自分も、よくオルトさんに連れて行ってもらうので、そちらの方が」

「じゃあ決まり!地元の人から仕入れた美味しいお店幾つか聞いてますんで、入れそうなとこ行きましょう」

「周到だな」

「僕、この見た目なんで結構新人の下っ端に見えるらしくて、みなさん話を聞きに行くとおやつと一緒にポロッと色々教えてくれるんですよ〜」


レンドルフ達が縁戚の分家やトーリェ伯爵代理のエイディスを訪ねている間に、ショーキは魔獣の目撃情報や領内の異変などは無いか聞いて回っていたのだ。そうやって領民から話を聞いていたショーキは、童顔で小柄なので騎士見習いにでも見えるせいか、つい手ぶらで帰すのが気の毒に思うらしく、様々な噂話なども教えてもらっていた。一見すると他愛もない内容が大半なのだが、その中にポロリと重要な事柄が紛れている場合もあるので、どんなに小さな世間話でもショーキは全てメモを取ってオスカーに渡していた。



「あ、あの緑の壁の店と、突き当たりの大きな看板出てる店がこの辺りの料理を出すそうですよ。緑の方がこの辺の名物を旅行者向けにちょっと王都風にしてあって、奥の方が本格的な伝統料理が多いって聞きました。多分どっちも鱒を使ってるんじゃないですか」

「じゃあ、緑の壁の店の方がいいと思います」

「そうなの?」

「ここの伝統料理は調味料が特殊なんで、慣れてないとちょっとキツいかもです」

「へえ。じゃ、緑の方に行きましょうか。レンドルフ先輩もそれでいいです?」

「ああ。楽しみだな」


モノの一言で、全員緑の壁の店に向かう。どちらかと言うと奥の店よりも新しくて、カフェかバーと言っても良さそうな洒落た店構えだった。意気揚々とショーキが店に入って人数を告げたが、その後ろから大柄な二人が続いたので六人掛けのテーブルに案内された。客層は、アルコールを出す店で比較的遅い時間帯にも関わらず、半数くらいが女性客だった。

レンドルフは、テーブルにいた数人がギクリとしたようにモノを見ていたのを横目でしっかりと確認した。顔に見覚えはなかったが、着ている服などが比較的質の良い物だったので、もしかしたらモノと共に訪ねたトーリェ家の縁戚の屋敷にいた使用人かもしれない。一番奥の離れた違うグループのテーブルでも、やはり似たような反応をしている。おそらくモノや指輪のことを知っているのだろう。これならば敢えてこちらの会話を聞かせた方がいい。


店内の内装は、わざと塗り跡を残している風合いの土色の壁に、濃い色の柱が不規則に壁を走っているようなデザインだ。この壁の柱はただの装飾の一つだろう。案内されたテーブルは広く中央に金属の四角いプレートのような物があって、周囲は厚手の木製の枠のように囲われている。枠の部分は部分はそれほど幅はなかった。随分不思議な造りのテーブルだと思って周囲を見回してみると、この金属のプレートのようなものは取り外しが出来るようだ。その蓋を外すと中が窪んでいるような造りだ。離れたテーブルなので、中央の窪みに何があるのかは全く見えなかったが、そこから湯気が立ち上っているのが分かる。何か特殊な料理を置く為に中央を低くしているのだろうか、とレンドルフは眺めていた。


「いらっしゃいませ!お客さん、ご旅行ですか?」

「仕事で来たんだけど、今日で終わりだから何か美味しいもの食おうと思って」

「そうなんですね!メニューの説明はご入用です?」

「ああ、大丈夫。彼がここの出身だから」


淡い茶髪をキリリと後ろに纏めたレンドルフ達よりも少し若そうな女性の店員がやって来て、人数分のコップと水の入ったピッチャーを木の枠の部分に乗せた。少し日に焼けて頬にソバカスが散っているせいか、少女と言っても差し支えなさそうな幼い面差しに明るい雰囲気を醸し出している。


「それならお任せして大丈夫ですね。今日は少し小ぶりですけどムラサキ鱒が入荷してるんで、氷鱒(こおります)がお勧めです。良かったら是非どうぞ!」

「ありがとー」


にこやかにメニューを受け取ったショーキは、そのままモノに手渡す。


「モノの祝いだから、好きなモン頼めよ〜」

「はい…ありがとうございます」


モノがパラリと捲ったメニューを覗き込むと、確かに旅行者向けなのか見慣れない名前の料理の下に小さく説明が書いてあった。


「このテーブルは何か特殊なメニューを食べる為にあるのか?」

「そうですね。これは蓋で、この下に鉄板と言うか、鍋のようなものがあって、そこに材料を乗せて蒸し焼きにするんです」


レンドルフの問いかけに、モノは金属のプレートの端の方に付いている突起を引き上げてパカリと外した。レンドルフとショーキが同時に覗き込むと、四角い浅めの鍋のような物が埋め込まれている。多分下に火の魔石を設置して温めるのだろう。


「へえ。自分で調理するんだ」

「もう調味料とかも一気に乗せて蓋をして焼くだけで。祭とか人が集まる時に大きな鉄板で作る料理なんですけど、こうやって少人数でも楽しめるようにしてる店はそれなりにありますね。折角だし、鱒と野菜の蒸し焼きにしましょうか」

「聞いただけで旨そう!あと、さっきの子が言ってた『氷鱒』って?」

「獲れた魚をその場で凍らせて、店で凍ったまま捌くんです。身をそのままスライスして半解凍になったところをこの領の特産品のソースで食べるものっす」

「え?生で!?」


王都の方ではあまり魚の生食はしないので、ショーキが目を剥いた。オベリス王国では領地の大半が海と接していて漁業が盛んなトーマ領で海の魚を生食する文化があるのは有名だが、王都は海に面しているのはほんの少しだけで、港はあっても貿易や荷下ろし用の港なので大規模な漁業は行われていない。それに王都の港の周辺では生食に向かない魚が多いので、大抵は火を通している。


「生魚は慣れてないでしょうから…」

「い、いや、食べてみたい!」

「無理はしなくても…」

「もし駄目そうならモノに…って、モノは食える?」

「好物です。あ、レンドルフ先輩は…」

「俺も慣れてる。故郷でも似たようなメニューがあったしな」


クロヴァス領では、凍らせた生魚は極寒の真冬にだけ一部の者が食べている料理だ。湖に張った氷の下から釣り上げた魚を雪の中に突っ込んで、凍ったところをその場で捌いて食べるいわば地元飯だ。それも湖周辺の集落でのみ伝わっている。もっと言ってしまえば、温めた蒸留酒片手に舌鼓を打つ、酒豪達の冬のお楽しみなのだ。子供の頃から魔獣討伐に駆り出されるクロヴァス領では、王都に来るまではレンドルフも毎年のように食べていた。勿論未成年だったので、酒精のない飲み物がお伴だったが。


「世の中広いですね…」


ショーキはレンドルフから話を聞いて、生魚よりも真冬に凍ったものを食べる方が忌避感が強かったようで、軽く毛を逆立てて二の腕辺りをさすっていた。



モノに聞きながら鱒と野菜の蒸し焼きの野菜増量と、氷鱒、あとこの地方だけで消費される小魚のフライを注文し、あとはサラダや豚肉の串焼き、ホウレン草とチーズのオムレツなどの定番を注文する。蒸し焼きにする鍋の中にソーセージや茹でたジャガイモなどを入れても良いと聞いたのでそれも追加しておく。


「お待たせしましたー!」


火を通さないメニューはすぐに出て来てテーブルの上に並ぶ。中央の鍋を使用するので、周辺の木の枠の部分の並べるのですぐに一杯になってしまいそうだ。飲み物は、レンドルフが注文した果実酒はショーキの前に置かれたので、レンドルフの前のエールのジョッキと交換する。


「じゃあ、乾杯しましょう!レンドルフ先輩、音頭をお願いします!」

「え?ええ…任務の無事の完了と…モノの()()、に。乾杯」

「「乾杯」」


不自然にならない程度に、「結婚」という言葉を少々強調してレンドルフはグラスを掲げた。おそらく、数人はこちらに耳を傾けているだろう。そしてわざとモノには左側が外に向くような席に座ってもらっている。常に左手の親指に嵌まっていた指輪が無くなっているのは、知っている人間ならすぐに気付く筈だ。


「あ、これ旨い」


氷鱒を運んで来た店員に「溶ける前にお召し上がりになった方が美味しいです」とアドバイスされたので、全員一番初めに手を付けたのだ。その中でも、全く生魚を食べたことのないショーキが真っ先に口にしたので、レンドルフは思わず自分が食べる前にショーキの反応を見守ってしまった。ショーキはしばらく無言で口を動かしていたが、思わず漏れた、と言った風に呟く。


運ばれて来た氷鱒は、下に氷のプレートを敷いて、その上に金属製の皿と大判の木の葉が重ねられた上に乗っていた。身は白身に近い色で、皮を剥がした辺りがうっすらピンク色になっていて名前の紫色は見当たらない。確かムラサキ鱒は繁殖期になると婚姻色で紫の斑点が浮かび上がる生態の魚だった筈、とレンドルフは記憶の中から引っ張り出した。透明感のある身の上には、細かく刻んだハーブと琥珀色のソースがたっぷりと掛けられ、半分マリネのように漬かっている。各自好みの量の胡椒を掛けて食べるようで、隣にミルが添えられていた。


「僕、生魚食べるの初めてだけど、美味しい!うわー、みんなに自慢しなくちゃ」

クロヴァス(ウチの)領のとは全然違うな。甘みが強く分かって美味しい」

「良かったです」


クロヴァス領では凍らせた魚を極寒の外で食べる為に全く溶けないので、口に入れてもしばらくはショリショリとしていて、飲み込む頃に魚の味がする。この氷鱒は提供された時点で半解凍な状態なので、口に入れると少しだけ固い身があっという間に体温で柔らかくなる。魚の身はまだヒヤリとしているが、融点の低い脂の乗った身から甘みと旨味が口に広がる。上に乗せられたハーブはそこまで香りは強くなく、白身の魚の味わいを控え目に引き立てる。掛かっていたソースはほんのり柑橘の酸味と香りがして、微かに独特の塩気がする。塩とは違った舌の根に少しだけ苦味を感じさせる味だが、淡水魚特有の苔の匂いのようなものを一切消し去ってくれている。

レンドルフは淡水魚の匂いはむしろ美味しい物として捉えられるので気にならないのだが、クロヴァス家に仕えていた使用人の中にはそれが苦手としている者達も一定数いた。このソースがあれば、匂いが苦手な人でも食べられそうな気がした。


「もしかしてこのソースに伝統の調味料が使われてるのか?」

「分かりますか?『ブランショウ』といって、これは他のと混ぜてあるので食べやすいですけど、伝統料理だと原液のまま使うんで慣れてないと食べにくいみたいで」

「僕もこれは平気だけど、原液って結構すごいの?」

「茹でた麦と大量の塩を発酵させて作るんですけど、何年もかけて熟成させるんで原液の見た目はインクみたいに真っ黒っす」


改めて氷鱒の皿の上を眺めたが、掛かっているソースが透き通った琥珀色だ。かなり薄めていることを考えたら、それでも分かる調味料の原液は相当すごいのかもしれない。レンドルフは少々興味本位で、土産にどこかで売っていないかと考えていた。


「先輩、さっきここの入口で瓶詰めが売ってましたんで、多分お土産に買えますよ」

「…そんなに分かりやすかったか?」

「それはもう」


口に出していないのにモノに言い当てられて、思わずレンドルフは片手で顔を覆った。多少プライベートなので気が緩んでるとは言え、やはり少々気恥ずかしいものがある。


「モノも買ってくだろ?ほら、婿()()()だとなかなかこっちには来られないだろうし」

「…そうっすね。持っている物は()()放棄して来ましたし」


わざと聞かせるようにしているので、彼らの会話に僅かに反応する客が数名いる。モノの指輪が外れているのも合わせて、トーリェ家と縁が切れた為に呪いの指輪が外れたと思われる筈だ。ある意味嘘ではないので、情報の裏付けを取ったところで同じような内容しか出て来ないだろう。


「こちら鱒と野菜の蒸し焼きです!今準備しますね〜」


大きな皿に山盛りの野菜と、大振りの鱒が二匹並んでいる。店員の女性は慣れた様子で蓋を取って、鍋の底に手早く油を塗ってからそこに鱒を並べる。


「こちらの調味料は少なめにしておきますので、食べてみて足りなかったら追加してください」


そう言いながら、別の皿に乗っていた黒い土のような固形物をヒョイと乗せる。一瞬だが、レンドルフとショーキがギョッとしたような顔になった。店員はそんな反応にも慣れているのか「大丈夫ですよ〜土じゃありませんから〜」と笑いながらその上からスライスしてある野菜をこんもりと盛りつけた。その上から軽く料理用の酒を振り掛けると、金属プレートで蓋をして、テーブルの脇にあるツマミを回した。どうやらそのツマミで火の魔石が点火する魔道具のようだ。


「ここ出身の方がいるならご存知だと思いますけど、何かお手伝いが必要なら声かけてくださいね〜」

「その時はそうさせてもらうよ」


弱火でじっくり焼いた方がより美味しいと聞いたので、出来上がる間に他の料理を摘みつつゆったりとグラスを傾ける。


「何だか、食堂で食べてるみたいな感じですね」

「言われてみればそうだな」


ポツリとショーキがそんなことを呟いた。まだ仮の部隊で初遠征に行く前は、こうして寮で暮らす三人はよく寮内の食堂で一緒のテーブルに着いていた。その頃からまだそこまで期間は過ぎていない筈だが、随分と遠くのことに感じられた。


「…自分も、こんな風にまたお二人とご一緒出来るとは、思ってなかったっす」

「何だよ〜、また一緒に食べればいいじゃないか。今度は食堂じゃなくて、王都の旨い店にも行こうな」

「…はい」


アルコールが入ったせいか、少しばかり感傷的になっているモノに、ショーキの明るさが救いになる。基本的に真面目なレンドルフは、真面目に受け答えてしまって場をより一層しんみりさせてしまうだろうという自覚はあった。


「先輩も美味しい店知ってたら紹介してくださいね!カノジョさんとのデートの為にいっぱい調べてるでしょう?」

「うっ…そ、それは…否定、しないが」


思わず言葉に詰まったレンドルフに、ショーキがケラケラと笑った。いつもよりもよく笑うのは、彼も少し酔って気分が高揚しているのかもしれない。その様子を見たモノも笑ってはいけないと気を遣ったのか口元を押さえたが、その行動だけで丸分かりである。レンドルフも思わず釣られて苦笑しつつ、その内楽しくなって笑い出してしまった。レンドルフはアルコールには強い方だが、やはり任務の無事の終了で少々浮かれているようだった。



この日の夜は、沈みかけるモノをショーキが上手く誘導してくれたおかげで色々と他愛のない話もしつつゆったりと過ごしてしまった。その為思いの外飲食が進んでしまったようで、モノに見せないように会計時にオスカーから預かった布袋を覗き込んで不安気な顔をしていたショーキに、レンドルフはこっそりと自分の財布を渡したのだった。



料理のイメージは、ルイベとちゃんちゃん焼きです。入れられませんでしたが、小魚のフライはししゃものイメージでした。

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