192.誤解×3
今週から更新日が変更になります。よろしくお願いします。
「レンドルフ」
「はい」
執務室から退出する直前に、レナードに声を掛けられて足を止めて振り返る。レンドルフの後ろでオスカーが窺うように振り返ったが、レナードは大丈夫だと軽く頷いて見せたので、レンドルフを一人置いて退室して行った。
「お前も希望するなら、内密に頼んでおくぞ」
レナードはそう言いながら、先程ベルが持って来ていた封筒をポンとレンドルフに手渡した。
「え?いや、これは別に」
「そうか?随分熱心に見てたし、最近は随分とモテているようだから必要だと思ったんじゃないのか」
レナードが手渡して来たのは、先程の断種の処置法が書かれていた医学書の写しだ。それを渡される理由が分からなくてレンドルフは慌てて首を振った。しかし、戻そうとした封筒は半ば強引に手に握らされてしまう。
ただ熱心に見ていたのは、処置と同時に処方される薬に使用される薬草の名前が並んでいたので、ついそれに注目していたからだった。ユリと話す機会が増えてから会話の中に薬草の話題が多く出て来るので、自然とレンドルフも薬草の知識が増えていた。並んでいた薬草の名前の中には、鎮静剤や血圧を降下させるのに使うと聞いていたものがあった。幾つかは全く知らない名前もあったので、ついじっくり眺めていたのでそれをレナードには興味があると取られたようだ。
「あちこちで非嫡出子が出来ても困るから、処置してもらう奴も結構いるようだぞ。今回医師の手配に協力したおかげで、以外と希望者が多いのには少々驚いたがな」
「そういう訳では…」
「一応処置してもらうにはきちんと身分証明が必要だから、あまり悪さをすると俺やご実家の兄君に筒抜けになるから気を付けろよ」
「違います!そういうのではありません!」
顔を真っ赤にして必死に否定するレンドルフを見て、レナードは内心「まだまだ縁遠いか」と半分安心、半分残念に思っていた。
当人も知らないがレンドルフは、レナードと近衛騎士団長ウォルターの騎士団トップで大切に育てた次期国王の支えとなることを期待された秘蔵っ子だった。政治的な腹芸には少々疎いが、派閥とは関係なく時勢に関わらず国王が信頼を預けられる側近の一人として今後成長を促すつもりだったのだ。それを面白く思わない横槍を予測して、レナード達はさり気なくレンドルフを守っているつもりだったが、まさか全く予想も付かない事態でレンドルフはそのコースから外された。さすがに騎士団の力では庇い切れないところまで波及してしまった為に、懲罰として経歴に傷が残らないように取り引きをするのが精一杯だった。残念だが今後レンドルフが元の地位に戻ることはまずないだろう。
しかしそのレナード達の思惑から外れてしまったレンドルフは、当初は心配になるほど落ち込んでいたが、今は肩の力が抜けて存外楽しそうに過ごしている。そうなれたのも運もあるだろうが、レナードはレンドルフにとっては良かったことなのかもしれないと思っていた。
ただその反動なのか、今までカケラもなかった女性との噂が、しかも次々と入って来るのは少々気がかりだったが、目の前の顔を赤くする奥手な青年はレナードの良く知るレンドルフのままだ。
「まあ、いつでもその気になったら気楽に相談しろ。ウォルターに知られるとコトを大きくするから気を付けろよ」
「ですから…」
何だかんだと言ってもレナードは素直なレンドルフを可愛がっている。本当にそうするつもりはないと分かっていてもつい揶揄ってしまいたくなる。眉を下げて困った顔をしているレンドルフの背を押して執務室の外へ押し出すと、レナードは「気を付けて戻れよ」と一方的に告げてドアを閉めた。きっとドアの向こうでは封筒を握り締めたまま困り顔をしているレンドルフの姿が簡単に想像が付いて、レナードは思わず口角を上げる。
そしてしばらく迷った後、追い出されてしまった以上上司には逆らいにくいと諦めて仕方なく戻るのだろうと予測が付く。案の定、それ以上執務室のドアはノックされることはなく、レナードがこっそり窓の下を見ると、封筒を手にして戻って行くレンドルフの広い背中が見えたのだった。
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封筒を受け取らされたものの、その辺のゴミ箱に捨ててしまうわけにはいかない。週に一、二度、重要書類を事務棟に置いてある書類の粉砕機に掛けに行く際に、一緒に持って行けば良いだろう。
もう騎士団の方に戻ると、通常勤務は終わりの時間になっていた。
寮の自室に戻ると、置いてあったギルドカードに連絡が入っていることを告げる点滅を繰り返していた。
内容を確認するとギルドからのもので、ユリに対する個人指名依頼が入っているのでパーティリーダーの判断を仰ぐという旨の連絡だった。リーダーが同パーティのメンバーの個人依頼の許可を出すのは、直接依頼主に会って判断を出すことになっている。会わずに済ませても特にペナルティはないのだが、信頼や安全などを考慮すればそちらの方が推奨されている。
ギルド経由で来た依頼に目を通すと、エイスの街だけではなく王都内の支店で近いところがあれば、特に先触れもなくても空いた時間に店に来てもらえればいつでも責任者が対応するか、前もって日時と場所を指定してもらえれば王都内であればどこにでも出向くと記されていた。
少し悩んで、レンドルフは明日の勤務後は夜間待機の当番ではなかったと確認して、王城に一番近い支店に夕刻に訪ねると返事をした。ユリもまだこちらに戻って来ていないので夜の予定は特にない。中心街の店は、務めが終わってから来店する客が多いので、比較的遅くまで開いている店が多い。騎士団の通常勤務が終わってから訪問しても問題はないだろう。先触れがなくても大丈夫とは書かれていたが、一応礼儀として連絡は必要だ。
しばらくすると、店名と支配人の名が綴られた返信が来た。内容は訪問を歓迎すると丁寧な言葉で書いてある。
レンドルフはユリが希望していたので先日もらったレモンの香りがするという便箋で、明日は指名依頼承諾の返答をしに行くということと、遠征に出発する正確な日が確定したことを書き綴った。そして遠征出発前にユリの都合が良ければ依頼の場に同行したいので、日程が決まったら教えて欲しい旨も付け加える。
それからいつものごく日常的なことを手紙に書いて、便箋二枚になったところで締めくくる。いつもはあまり変化のない鍛錬などの日常だが、今日は色々と衝撃的な一日だった。レンドルフはレナードに押し付けられた封筒にチラリと目をやったが、さすがに執務室内での話は書けない。
封筒に入れる前に、少々好奇心を刺激されて印刷されているレモンの絵の部分を軽くこすってみると、思った以上に鮮烈なレモンの香りが広がった。もっとほのかな香りかと思っていたら、至近距離でレモンを搾られたかのような感覚だ。思わずレンドルフは便箋の最後に書いた自分の名前の下に「かなりレモンの香りが強いので気を付けて」と付け加えてしまったのだった。
ユリの個人依頼の日程はその後スムーズに決まり、レンドルフの既に伝えていた予定を考慮してくれたらしく、夜警や夜間待機の日は外してくれたようだった。候補の日を三日間に絞って、どこでもレンドルフの休みの取れる日に合わせると手紙には書かれていた。レンドルフはユリの気遣いをありがたく思いながら、おそらくどの日程も問題はないが上司に確認を取ってからにしようと休暇申請を三枚書いて、オスカーの元に持って行った。
オスカーには「どの日でも構いませんので」と告げておいたのだが、どう曲解されたのか三日分の休暇の許可がレンドルフの元に戻って来た。オスカーから戻された休暇申請には、オスカーの他にも団長代理のルードルフ、統括騎士団長レナードのサインがきちんと三枚分入っている。
「…あの、三日も、ですか…?」
「今回の長期遠征の準備休暇は、オルトとショーキは取得無しだと既に申告があったからな。…まあ、必要分だろう」
「必要分…」
おそらくユリから目を逸らせる為に三人の女性と親しくしているフリをしている作戦が、ある意味功を奏して上司の耳にもしっかり届いているということである。しかし中身は全て変装したユリだ。レンドルフは申し訳ないのと恥ずかしさとで冷や汗が背中を盛大に伝ったが、ユリの安全の為にはそれを正直に白状する訳にも行かない。
「きちんと準備をして、遠征に影響が出ないようにな」
「…はい。ありがとうございます」
礼を言って辞去したレンドルフは頭を抱えたい気分になりながら、その日はひたすら他の部隊の団員達と手合わせをしては模造剣を振り回して、よく分からない恥ずかしさを払拭しようと躍起になっていたのだった。
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「レンさん、ホントに本当ーに無理してないよね?」
「してないって。俺もまさか全部申請が通るとは思わなかった…」
「それならいいんだけど」
「ユリさんも今日は無理しない欲しい。魔力回復薬は使用しない、って約束だからね」
「大丈夫。向こうも小さめの魔石を用意してるって言ってるから、すぐに切り上げられるし」
まさかレンドルフが候補日全て休暇が取れるとは思わなかったが、折角ならば候補日最初の日に早く依頼を終わらせて、別の日は先日行きそびれたフィルオン公園に行こうかという話になった。
今日はユリと共に、先日手袋を仕立てた店舗に来ていた。時間を見計らって訪ねたのだが、どうやら本店から届く筈の空の氷の魔石の配送が遅れているのでしばらく待って欲しいと平謝りされてしまった。
空の魔石は割れない限り何度でも充填が可能であるので、それなりに買い取り価格が良い。同属性の魔力が充填されていれば更に価値が高くなる。店では簡単に持ち出し出来るものであるので、盗難防止の為に各支店に置く魔石の数を管理していて、空になったものは速やかに本店に返却する決まりになっているそうだ。その為、魔力を充填出来る魔法士などは本店で作業をするのだが、今回は特例として支店で作業をしてもらうため、本店から魔石を運んで来るのだ。
待つ間は奥にある商談などに使用する応接室に通されて、同じ建物内にあるカフェから冷たい紅茶と焼き菓子を出してもらっていた。
「ねえレンさん。長期遠征の前に準備する為の休暇なのに、私に付き合わせちゃっていいの?必要な物の買い出しとかしなくて大丈夫?」
「あ…ああ、それは大丈夫。必要な物は全部騎士団の方で揃えてもらえるから」
「そっか。冒険者みたいに個人でやってることじゃないもんね。えと…じゃあ準備って?」
「ええと、長く家を空けるから、家族と過ごしたり、王都近隣に実家がある者は顔を出したり…とかかな」
そこには婚約者や恋人も含まれるのだが、何となく言い辛くてレンドルフは敢えて言わずにいた。
「それなら余計に私が付き合わせちゃ行けないような…」
「遠征前に会いたい人に会うんだから、使い方は間違ってないよ」
「そ、う?それなら、いいんだ、けど」
ユリは時折無意識に出るレンドルフのストレートな物言いに、照れ隠しで妙に勢いよくグラスに刺さっているストローをグルグルと回した。グラスに氷が当たってカラカラと涼しげな音を立てる。
今よりも騎士達の待遇が悪く、色々なものが不足して環境が整っていなかった頃、遠征は一ヶ月程度なら極めて短い期間だった。通常でも半年、長ければ年単位になることも珍しくなかった。そして過酷な状況であったので、長期遠征の帰還率は辛うじて五割に達する程度であったし、あくまでもそれは平均で、生還した騎士達が二割以下だったこともあった。そして無傷、もしくは帰還後も騎士を続けられる者は一割程度と言われていた。
その為、長期遠征が決まるということは今よりもずっと死と直結していた。そこで遠征前に準備をする休暇が与えられるようになったのだ。家族にその後を託す者や、婚約者や恋人がいる者は血を絶やさないように急遽婚姻を交わすこともよくあることだった。
現在は遠征の期間も大幅に短縮され、環境も遥かに良くなったために帰還率も八割を超えた。以前のように覚悟を持って準備の休暇を取る者も殆どいなくなったが、少し意味を変えて休暇制度は残った。
「…まだ、来ないのかな」
「魔石の大量運搬は結構難しいから時間が掛かるのはわかるんだけど、それでも遅いな」
魔石は高額になる為、運搬には非常に気を配る。強盗などを用心して遠回りでも大きな街道を使って護衛も雇う。そして空になっている状態の魔石は存外脆いので、衝撃を抑えることも必要になって来るのだ。どうしても慎重にならざるを得ないのは分かるが、既に数日前からユリが充填をする予定は決まっていたので、これほどの商会が約束に大幅に遅れるということは余程のことがあったのではないかと心配になる。
「一応契約時間か、規定の上限数のどちらかに達したら終了って契約だから、時間内に魔石が届かなくても報酬はもらえるけど…一番の目的は夏用手袋の付与優先権だからねえ。それに、何にもしないで報酬もらうのも何か気持ち悪いし」
「そもそもこれからの季節は夏向けの付与が増えるのは分かっている筈なのに、氷の魔石が不足してるのも妙なんだよなあ」
小さな商会ならばあまり使い手の多くない氷魔法の充填された魔石を入手することは難しいかもしれないが、ここの商会は大商会ではないが、王都に幾つも支店を持っている中堅以上の規模だ。毎年ある程度の売り上げくらいは予測して、早い段階から揃えていてもおかしくなさそうだ。
「あ、それならこの前契約する時に理由をちらっと聞いたよ。毎年個人契約してた氷魔法を充填してた人が三人、今年は契約出来なかったんだって」
「三人も?それは大変だな」
ユリは応接室の扉に顔を向けながら、声を潜めて囁いた。
「うん。もしかしたらもっと良い条件で引き抜かれたのかも、ってこっそり教えてくれた」
「よく教えてくれたね」
「だからもっと良い報酬を提示されても、金銭以外で特別報酬も出すからここで仕事してくれ、って凄くお願いされた」
「金銭以外の?それ、大丈夫?」
「うん。むしろ普通の報酬よりも美味しい」
「まあ、ユリさんが納得してるならいいけど」
レンドルフはユリのことだから、何か貴重な薬草かなにかと引き換えでもするつもりだろうかと思っていた。しかしこの店は服飾や仕立てを商っているので、もしかしたら染料用の植物だろうか、とどうにも植物系から思考が離れなかった。
チラリと時計を見ると、もう開始の時間から一時間は過ぎている。途中で一度副店長のマルティナがお詫びに顔を出したが、どうやら不測の事態で収拾がついていないのか、ハッキリしたことは分からないらしい。レンドルフの紅茶と焼き菓子の皿が空になっていたので、追加で持って来てくれた時には気の毒になる程憔悴が透けて見えた。
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「あ、ユリさんに聞きたいことがあったんだけど」
「何?私に分かること?」
「うん。薬草のことなんだけどね…」
レンドルフは先日見せられた医学書の写しの中に書かれていた、幾つかの薬草のうち全く知らないものが入っていたのが何となく気になって、わざわざ王立図書館で調べてみたのだ。ただ単に好奇心からだったのだが、その薬草は何か特殊な物なのか、それらしいものは薬草図鑑では見つけられなかったのだった。
それが気に掛かっていたレンドルフは、ここは専門家に聞いてみようと思ったのだ。そしてその薬草の幾つかの名前を口にした瞬間、ユリの表情がピシリと固まった。
「あー…うん、それは、載ってないかもね。ま、まあ、そうよね。必要になるかも、知れないもんね。レンさんだって」
「え?載ってないってことは、毒とか?」
「ええと、毒ではない、よ?一応それなら安全だと思うし。必要なら、薬局で…キュロス薬局では扱ってないけど、王城の方なら買えるんじゃないかな」
「何か俺、マズいこと聞いた…?」
薬草の名を出した直後から、完全にユリの目が泳いでレンドルフの方を一切見なくなってしまった。どう考えても自分が知らずに失言したとしか思えない。
「あの、レンさんが欲しいなら、処方もするけど。ええとレンさんの体格なら…」
気もそぞろな様子で、ポシェットからペンを取り出したユリは、敷いてある紙ナプキンに何やら数式をガリガリと書き始める。明らかに挙動不審だ。
「ユリさん!俺じゃなくて!欲しい訳でも使いたい訳でもなくて!」
「そう、なの?」
「うん。あの、ええと、一緒に遠征に行く後輩が使ってて、見たことない薬草の名前があったから、体に害はないかなーって気になっただけで」
「…レンさんじゃなくて、後輩の騎士様…?」
「そう!ほら、一緒に遠征に行く訳だし、体調管理には問題ないかと気になって!」
「ああ…」
静かに動揺していたユリの視線がようやくレンドルフを見てくれた。しかし表情は何とも言えない困ったような呆れたような顔になっている。こんな顔になっているユリを見たのはレンドルフは初めてなので、余程自分はマズい爆弾を落としたのではないかと戦慄した。
「その、ユリさんは色々と薬草のこと教えてくれるけど、似たようなのも聞いたことなかったから…」
「まあ、あんまり普通の会話ではしない…かしらね」
「ええと…よかったら、その薬草…効能を教えてもらえる、かな?」
むしろ聞かない方が身の為だと心のどこかで警鐘が鳴っていたが、このまま切り上げるのも悪手な気がするのを本能で感じていた。どちらも駄目なら、今後の為に知っておいた方がいい。
ユリはウロウロと視線を彷徨わせながら、少しだけ顔を赤らめて言葉を選んでいるようにしばらく考え込んでいた。レンドルフはまるで有罪でも申し渡されるかのような心地で彼女の言葉を待つ。
「……男性用の、避妊薬…」
長い沈黙の後、ユリが視線どころか顔を背けたままポツリと呟いた。
レンドルフはまるで雷に打たれたかのように口を半開きにして固まっていたが、やがてボッと音がしそうな勢いで一瞬にして顔が真っ赤に染まった。いや、顔どころか耳も首筋も万遍なく染め上がる。
「う…わあああぁぁぁぁ……」
地の底から沸き上がるような呻き声とともに、レンドルフは両手で顔を覆って下を向いた。その覆っている手もいつもよりも赤くなっている。この調子だと、服で隠れていて分からないが全身赤くなっていそうな勢いだった。
「あの…レンさん、大丈夫…?」
「…い、今、あんまりこっち見ないでくれると、助かる…」
「う…うん…。何か、ごめんね…」
何だか乙女のような反応を見せられて、ユリは一瞬にして毒気を抜かれてしまった。却ってこちらが申し訳ないことをした気分になってつい謝ってしまったが、それも良くなかったようでレンドルフは顔を覆って俯いたまま「謝らないでいいからぁ…」と震える声で呟いていた。
ユリも薬師を目指す以上、その手の薬の調薬と使用目的についてはきちんと知っている。一番の卸し先は娼館だが、愛人を持つ金持ちや、旅先で互いに短期間の関係を承知で割り切って楽しんでいる冒険者などもいる。それを使用したと言うレンドルフの後輩も、そういうタイプなのかもしれないとユリはぼんやりと考える。何の対処もせずに望まない子供をあちこちに残して回る男に比べて遥かに誠実だと思うし、色々と必要な薬ではあると理解はしている。
だが、ユリはこの目の前で恥じらって悶絶しそうになっている大きな体の青年が、それを望んでいた訳ではないということに安堵を覚えていたのだった。
ただひたすらレンドルフが恥ずか死ぬ回(笑)
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