147.【過去編】断罪と報復と
お読みいただきありがとうございます。
人が死んだり血が出たりインモラルな話題とかが大分出てきます。
ご注意ください。
「このままセレウスと婚姻させたのでは、ユリシーズの次代は確実に王族の誰よりも魔力が大きくなるだろうね。それは王家をすげ替えようと簒奪でも計画しているのかな」
「そ、そのようなことは…!」
先程からどうにか反論を試みようとしているのはデュオニスだけで、息子のカインは凍り付いたように動かない。
「そうだねえ。この国の建国の頃には三親等以内でも婚姻を結ぶことはあったようだが、今は建国から何年経っているのだろうね。セレウスが君の息子なら、ユリシーズの叔父になると思うが?さすがにこれは倫理的に問題があるのではないかな」
大公家の血をこれ以上濃くしないように、ユリは全く血縁のない相手を伴侶に選ばなくてはならない。その中で、妻を亡くしていたカインと未亡人だったディーテを再婚させ、彼女の連れ子で全く血縁はないものの戸籍上は義理の孫になるセレウスとユリを婚約させることで、二代に渡って大公家と強い結びつきを得ようとしていた。
それが本当に全く血縁のない者であったなら、問題はなかった。
だが、蓋を開けてみると結果は悼ましいものが渦巻いているものになった。セレウスは戸籍上の前夫の子ではなく、現在の義理の祖父デュオニスと母ディーテの間に生まれた子だったのだ。更に驚愕の事実として、カインの最初の妻との間に生まれた筈の一人娘のカトリーヌも、デュオニスとの親子関係を示す数値を叩き出していた。つまり、これまで血の繋がりのない義理の兄妹だと思っていたセレウスとカトリーヌは、デュオニスを父に持つ異母兄妹だったのだ。
そして残酷な事実がもう一つ判明した。デュオニスの息子でありコローニス侯爵の次期当主だったカインは、デュオニスの子ではなかったのだ。ユリとの血縁はあることは判明しているので、ユリの母マーガレットと異父姉弟なのだろう。デュオニスの妻は既に他界しているので、不貞の相手のことは知る術はない。
しかし、この歪み切った血の呪いの前に、侯爵家はもはや崩壊したも同然だった。
「セレウス。君は随分とユリシーズを粗略に扱っていたそうだねえ。でも分かったよ。どうやら君は…君達はより血の濃い相手を求めるような本能があるらしいな。それならばその隣の女に食らいついても仕方がないな」
「いやーーーっ!!」
もう耐えられなくなったのか、カトリーヌも悲鳴を上げて崩れ落ちる。辛うじて隣のセレウスが支えようとしているだけカインよりもマシなのかもしれない。
「デュオニス、君が息子の妻を寝取って子を成していたことは分かっていたのかい?ああ、いや失礼。ディーテ夫人は別の夫の頃だったな。しかしその可能性がありながら、大公家との婚姻を王家に進言するとは、驚くばかりだ」
血縁ではないと進言されたからと言って、全く調べずに王命で婚約を結ばせた王家の杜撰さも責められるべき点ではあるが、それは後程追い込めばいい。レンザは、今はコローニス家を徹底的に潰すことしか考えていなかった。裏切った者を完膚なきまでに叩き潰すことに血道を上げるのは、アスクレティの血だろうか。レンザの父もそういった性質で、それを横で見ていたレンザはああはならないように気を付けようと何度も心に刻んだ筈だった。が、今は体中が沸騰するような怒りが心地好くすら感じていた。
「コローニス侯爵殿。近いうちに王家から悪意を持って謀ろうとした罪で、毒杯が届くだろう。それまでに身辺を片付けておくんだな」
「レ、レンザ…私達は親戚、従兄弟同士だろう…?それに、ユリシーズは我々の可愛い孫じゃないか…孫を悲しませるようなことは…」
「今更。人扱いもしていなかった者が世迷い言を」
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レンザは侯爵家本邸に乗り込む前に、別邸と呼ばれる物置としか思えない質素な建物に寄って来た。いや、外は物置だが、中は本物の物置の方がまだ物が入っている。その平民の家かと思う程何もない物置に、小さな小さな子供が住んでいた。実際の年齢は知っていたが、到底その年齢には見えない。
洗濯はされているが擦り切れたワンピースに、木を削り出しただけの手作りの髪留めに、食事の準備中だったのか、ほぼ具のないスープと明らかに乾いたパンが一つだけ。毎月潤沢に送っていた養育費の半分も使われていないのは一目で分かった。
その様子を実際目にしたレンザは呆然とした。勿論調度品や服もそうだが、何よりも驚いたのは彼女の体中に絡み付く呪いとも見紛うばかりの幾重にも掛けられた誓約魔法だった。当人が納得の上できちんと掛けられた誓約魔法は、こんなにも体にも魂にも負担をかけるものではない。闇魔法を扱うレンザだから見えた光景は、もはや拷問のように映った。更に彼女の体に染み付いて漂って来る毒草の香りの強さに、レンザが酔いそうになって思わずたたらを踏んだ。
これは国で違法薬物として取り締まれているミュジカ科のものだ。使用すると思考が鈍くなり、繰り返し同じこと言い聞かせられることで洗脳に近い状態になる。あまりに強い効能のまま連続して使用すると、数日で廃人になる危険なものだ。
目の前にいる彼女は、多少目の焦点が合っていないのだがそれでも日常の行動が出来るくらいなので効能の薄い物を使用されて来たのだろう。しかし、彼女の体に染み付いている香りは既に致死量並みのものだ。一体どれだけ長い期間その薬草を使われて来たのかと思うと、レンザですら背筋が冷えた。
「…どなた、でしょうか」
彼女は少しだけ怯えたような様子で、小さな声で問いて来た。その返答に、レンザはこれまで関わり合いにならないように放置していた過去がチクリと胸を刺したような気がした。
「あの、今は、侍女が、いないのです。もう、何日も、いなくて」
「ああ、分かっている」
彼女に付けていた侍女マリアは、誓約魔法に逆らって命懸けでレンザのいる大公家に駆け込んだ。せめてその場にレンザがいれば、彼の強力な闇魔法で彼女を縛り付けていた誓約魔法の上書きが出来ただろうが、レンザは不在で間に合わなかった。
マリアが握りしめていた手紙には、震える文字で「ユリシーズお嬢様が触れると違和感を持つ方です。それが血縁者であるなら、入っていてはならない人物がいます」と書かれ、何人もの名前が記されていた。おそらく大公家に何か報告をしようとするだけで、マリアに掛けられた誓約魔法は体と魂を苛んだのだろう。最後の方は殆ど読めなかったが、彼女の意図するところはレンザには伝わった。
ズラリと並んだ名前は、全て分家などで薄くなっているとは言え、確実にアスクレティの血を引いている者達ばかりだったのだ。
獣人の中には、あまりにも近しい血に偏らないように、血が濃い者に対して攻撃性を示すことがある。それは本能とも言えるもので、子孫を残す生物の根源の能力だ。そしてアスクレティ家の始祖は、神獣とさえ呼ばれた獣人とその番だったと伝えられているのだ。今は獣人の特徴が出ることはない程薄くなってしまっているが、血の濃いユリならば、血縁を違和感として感じ取っているのかもしれない。
マリアは大公家の家令に手紙を手渡すと崩れ落ちるように倒れて、そのまま目を覚ますことなく神の元に旅立って行った。
その手紙を元にレンザは権力を行使して、コローニス侯爵家の血縁を調べさせた。そうして三日後、悼ましさなのか怒りなのか分からない震えを堪えながら、レンザは先触れもなくコローニス家に向かったのだった。
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「お前らの毒杯に付いては、私が直々に用意してやるつもりだ。楽しみにしているがいい」
「…!貴様とて同罪だろうが!金だけ渡して、あの化物を放置していたくせに、今更身内面するとはな!」
「ああ。私の罪はきちんと背負うさ」
「はははっ!どうせならあの化物を殺してやれば良かったよ!そうすれば少しは貴様の鉄面皮もヒビくらい入ったろうさ」
すでに誤摩化すことを諦めたデュオニスは、狂ったようにレンザを指差して笑った。レンザはそれ以上相手にする価値はないと判断したのか、手を叩くと、扉の外に控えていた大公家の騎士達が次々とコローニス家の者達を拘束した。真っ先に自害防止の魔道具を付けられて、その時になって初めて自害という逃げ道があったことに気付いたのか、彼らは絶望的な表情を浮かべた。
「連れて行け」
そう命じたレンザの顔は、全く温度を感じさせない冷たいものになっていた。
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その日、魔法封じの手枷と自害防止の首輪を付けられたコローニス家の五名は、食堂に集められていた。
拘束されてから三日間経っていた。その間は彼らは最低限の世話をされて、少し窶れたようだったが、ひどい状態にはなっていなかった。
彼の前に、レンザが手ずから王家から託された特別なワインを注ぐ。血のように真っ赤なワインは、芳醇な香りを漂わせたが、彼らにとっては死を招く恐ろしい液体だ。
「わ、私は、知らなかった、知らなかったのよ!お父様が他人で、セレウス様が異母兄だったなんて…!」
「ぼ、僕もだ!母上が亡き父上を裏切っていただなんて…!僕たちは、知らなかった!」
カトリーヌとセレウスが、見た目からも分かる程にガタガタと震えてワインを見つめていた。しかし、体の自由も奪われている為にそこから立ち上がることも出来ない。
「知らなかったからと言って、王命で結ばれた婚約者を蔑ろにしていいと?君達のして来たことは、たとえ兄妹でなかったとしても大公家を随分と軽んじてくれたものだな」
トプリ、と音を立てて微かにはねたワインが、真っ白なテープルクロスに点々と染みを作る。レンザは瓶の縁に垂れた雫を、白いナプキンでするりと撫でる。
「わたくしはまさか、セレウスが亡き夫の子ではないと…デュオニス様の子とは、知りませんでした…」
「しかし、その可能性も予測していただろう?」
「で、でも、わたくしは大公家が、血縁ではない者との婚姻が必要だとは全く」
「もしセレウスがデュオニスの子なら、ユリシーズとは叔父と姪になる。そのことを考えもつかなかったと?それは大公家でなくても禁忌なのは知らなかったのかね?」
「……いいえ」
にこやかにワインを注ぐレンザが目の前に来て、ディーテ夫人は早口に呟きながら首を振っていたが、最終的には気持ちが折れて俯いて唇を噛んだ。
「…君は、何か言いたいことはないのかな?」
「……私は、巻き込まれた他人ですから」
誰もが落ち着きのない中、カインだけが奇妙な程無抵抗に座っていた。レンザが過去に遡って彼らがユリにした仕打ちを調べさせたが、意外なことにカインが一番まともであった。とは言え、彼にはコローニス家の血が入っておらず、ユリへの誓約魔法は「コローニス家の者の命令を聞く」とあったので、カインが命じても効果がなかったせいかもしれない。そしてユリの顔は母似であり、つまるところカインの異父姉マーガレットに瓜二つだ。彼らは幼い頃から仲の良い姉弟ではなかったので、そういったこともあってカインはユリを無視して何もしなかったというだけで、皮肉にも一番まともな対応になっていたのだ。
「わ、私は、子の成せないこいつに代わって、後継を作ってやったのだぞ!私の家だ!何が悪い!!」
「見苦しいな」
デュオニスは、拘束された時から周囲のことなど気にしないような聞くに耐えないことを繰り返し叫んでいる。もはや正気ではないのかもしれないが、それで免れる程王家を騙した罪は軽くない。
カインは調査の結果、子を成すことが出来ないことも分かっていた。デュオニスはそれを知りながら当人には黙っていたのだ。子を成すことが出来ない理由は赤子の頃に負った怪我が原因とされているが、それが事故なのかそうではないのか、当時側にいたという侯爵夫人と姉マーガレットはどちらも亡くなっている。真実は誰にも分からない。
「さあ、飲め」
全てのワインを均等に注ぎ終えた後、レンザは奥の上座にゆったりと腰を降ろすと何の感情もこもっていない声で命じた。既に全員がレンザによって誓約魔法を結ばされているので、レンザの言葉に逆らうことは出来ない。意思とは関係なくワイングラスを手に取り、それを口元に運んで行く。
レンザはその場にはそぐわない満面の笑みを浮かべて、彼らがワインを嚥下するのを見守っていた。
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「ぐふっ…」
「な…!バカ、な…」
全てを飲み干し、一拍置いて彼らの大半が口から大量の血を吐き出し、白いテーブルクロスを真っ赤に染めた。その吐瀉物の中にワインも含まれていただろうが、それ以上に色の濃い粘着質な液体が混じっている。
「ああ、不思議かね?」
レンザは笑顔を崩さないまま、指をパチリと鳴らした。するとその背後の扉が開いて、一人の若いメイドが出て来てレンザの隣に立った。
「お、お前…!?」
「私の闇魔法で、認識を誤摩化すようにしておいたからね。君達には信頼おける使用人に見えていたことだろう」
「初めまして。長らくユリシーズお嬢様にお仕えしておりましたマリアの娘、ミリーと申します。この度母が引退しましたので、代わりにお嬢様の専属メイドを務めることとなりました。以後…顔を合わせるとこはございませんでしょうね」
レンザが掛けていた魔法を解除すると、見たことのない顔のメイドが立っていた。
「わたくし、まだ新人の未熟者ですので、皆様にこっそりとグラスに入れるように申し付けられた解毒剤と、毒薬を間違って入れてしまいました。大変申し訳ございません」
「な…!なんだと…貴様…ぐっ…」
「何て…この、人殺し…!」
「今後は二度とないように気を付けます。ご容赦ください」
ミリーは血を吐きながら罵られているのも全く介さないように、婉然とした笑みを浮かべて答えを返した。
昨夜、彼女は拘束されている彼らの個室に潜り込んで、最も信頼している使用人に化けて密かに一人分の解毒剤を入手したと告げたのだ。そして、誰のグラスにそれを入れるか指示の元、彼女はその希望通りそれを実行したのだった。
王家から賜る毒杯は、ごく稀にその毒で死なない体質の者がいる。そのような者は神に許された者として無罪放免になると決められているのを知っている彼らは、迷うことなく自分のグラスに入れるように指示したのだった。
「何故…私だけ…」
皆が毒で内蔵が灼かれるような苦しみにのたうっている中、カインだけが何事もなく呆然とした様子で座っていた。
「う…ああああぁぁぁっ!」
皆と同じように口から血を吐いて苦しんでいたカトリーヌが、突如新たな悲鳴を上げて腹部を押さえ前のめりにテーブルの上に突っ伏した。テーブルの下からビシャビシャという音と新たな血の匂いが広がったが、何が起こっているのかはテーブルクロスに遮られて大半の者には見えなかった。
「カ、カトリーヌ!まさか!カトリーヌ!!」
彼女のすぐ隣の席にいたセレウスにはカトリーヌの姿が見えているようだ。血を吐いて体の前面を赤く染めながらも身動きをすることは許されず、絶望に満ちた顔で隣を眺めていた。
「ああ、一つだけ本物の解毒剤を入れておりましたね。カイン様、貴方のご希望通りに」
「私、に…?」
「君はコローニス家の人間ではないからね。私が王家には内密に逃げ道を一つ、用意した…つもりだったんだかね」
元からワインには毒は入っていなかった。
この罰は、解毒剤と偽って渡した毒で、助けたいと思う者を自らの手で毒殺するというかつて廃れてしまった残酷な刑罰だ。自らを助けようとした者には死を、自身を犠牲にしてまで誰かを救いたいと思った者には殺人の苦しみを。どちらにせよ徹底的に心を殺す罰に、今では実行した記録は殆ど残ってはいない。
レンザは、自分の中の血統に因るものなのか、彼らに対する怒りに酔い、王家に断罪方法を任せられたことでこの古の刑罰を復活させたのだ。
しかし誰一人血の繋がりも家族の絆もなく、何も知らされず、半ば被害者のような立場であったカインにだけは本物の解毒剤を使用することにレンザは決めた。彼が自分のグラスに入れて生き延びようと、誰かを選んで助けようと、どちらにしろ判断を委ねることにしたのだ。今更一人二人生き延びたところで、コローニス侯爵家はお終いなのは揺らがない。
「しかし、意外だったね。いや、それともこれが神の采配、なのかな」
カインが解毒剤を入れるようにミリーに頼んだのは、ワインボトルだったのだ。
解毒剤と偽ってグラスに入れた毒薬は、確実に死をもたらすものだった。しかし、カインが一人分とは言え本物の解毒剤をワインボトルに入れたことにより、彼らが死を賜る筈だった毒を僅かに弱毒化させたのだ。その結果、彼らは毒で死に至ることが出来ず、血をまき散らしながらのたうち回る結果になった。レンザの見立てでは、これ以上何もしなければ一命は取り留めて、それなりに長く後遺症に苦しんで生き続けるだろう。
「どうするね?」
レンザは懐から短剣を出して、ポイと無造作にカインの前に投げた。不意にカインは体が動くようになって、訳が分からない様子でレンザの顔と短剣を交互に眺めている。
「彼らはこの先ベッドの上でろくに動けないまま介護を受けながら後遺症に苦しみ、数年は生き続けるだろう。これで彼らを楽にしてやるのも、君が侯爵家を継いで彼らの面倒をみるも……それともそれで私を刺すも、好きにするがいい」
「旦那様!?」
レンザの申し出にミリーが慌てたような声を上げるが、レンザは片手でそれを制する。そしてゆっくりとカインの脇に立って彼を見下ろした。カインはジッと目の前に置かれた短剣を見つめていた。周辺では死に切れなかった者達の呻き声が絶えず続いているが、その声は全くカインの耳に入っていないかのようだった。
「大公閣下。私は王家に爵位と領地をお返し致します。そして可能ならばどこか小さな土地と屋敷だけ残していただけましたら、私自ら彼らの世話をすることで罪を償って行きたいと思います。…それは、過ぎた望みでしょうか」
「分かった。そのように手配しよう」
カインは短剣を手に取って、柄の方をレンザに向けて深々と頭を下げた。その顔は、一瞬だけ酷薄な笑みを浮かべているかのように見えたが、それは気のせいだったかもしれない。
世界観が繋がっているので、短編「強欲な国の輝ける斜陽」(https://ncode.syosetu.com/n2330ia/)にまつわる内容がちょっとだけ出て来ますが、読んでいなくても大丈夫です。
補足
以前のユリの過去話でもチラリと出してはいますが、ユリの母マーガレットもユリと同じ加護無しの死に戻りでした。
マーガレットの死に戻りの理由は、彼女には上に優秀な兄がいたのですが、デュオニスが手を出したメイドに恨みを買って兄共々毒を盛られた為。その時に兄は亡くなり、マーガレットは加護無しの死に戻りになりました。兄を溺愛していた侯爵夫人は、元凶のデュオニスにさっさと次の後継者を産めと言われたことにブチ切れて、血の繋がらない息子を後継者にするという復讐の為に他の男(血筋が卑しいと言われている男娼を敢えて指名)と不貞をしたのでした。そういう意味で、カインは本当にコローニス家とは他人で、被害者なのです。
ユリ父→優秀な祖父、父に比べて能力も魔力もパッとしない自覚があり、それをフォローする為に超優秀な令嬢を婚約者に据えられて、褒められたことがないコンプレックスの塊。
ユリ母→長子ではないのと加護無し死に戻りで父から冷遇。兄溺愛で性格父似の娘に無関心の母。何でも自分の都合の良いように解釈する鋼のお花畑メンタルに成長。
ユリ両親は、生まれが伯爵くらいの真ん中辺りの身分だったら、割れ鍋綴じ蓋カップルで結構上手く行ってたかもしれません。