閑話.キッチンメイドカチュア
休憩時間、カチュアはパントリーの隅に置かれた椅子の上に座って、午前中に届いた手紙を開封した。ずっとメイドのお仕着せのポケットの中に入れていたので少し皺になっていた。
宛名の筆跡は懐かしいもので、それと同じ手蹟で書かれた手紙もシンプルなクリーム色の便箋も、カチュアの指先を温かく感じさせた。そっと手紙を開くと、季節の挨拶からカチュアのことを気遣う優しい言葉が並んでいた。最初は表情が乏しく冷たく見える整った顔立ちのカチュアにしては珍しく柔らかな微笑みが浮かんでいたが、しばらく読み進めて二枚目の便箋を捲った頃には彼女の形の良い眉が顰められていた。そしてその表情は元に戻ることがないまま、手紙を読み終える。変わる筈がないのに幾度か手紙を読み返し、チラリと時計を見てそろそろ休憩時間も終わることを悟って丁寧に封筒に手紙をしまい込んだ。
カチュアは誰もいないのにそれでもそっと小さく控え目に溜息を吐くと、軽く頭を振っていつもの無表情になるとパントリーを後にした。
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カチュアは、隣国の吹けば飛ぶような貧乏男爵の次女に生まれた。
昔はそこまで裕福ではないが貧乏でもないごく普通の下位貴族だったのだが、カチュアの大叔母に当たる女性が王家と上位貴族に対して色々やらかしたらしく、一歩間違えれば国が傾きかねない大騒動を引き起こしたそうだ。その大叔母の監督責任として、実家の男爵家が慰謝料やら醜聞やらで平民よりも貧しい爵位だけの存在になってしまった。その莫大な慰謝料はカチュアの生まれた頃でもまだ残っていて、当主の父親はいっそ爵位と領地を返還したかったのだが、そのやらかしの罰の一環として爵位の返還は赦されないまま、慰謝料の返済が終わるまで恥に塗れて貴族を続けなければならないという契約があるために実現しなかったのだ。
その元凶である大叔母は、原因になった騒動から翌年に病死したと言われている。それが本当に病死だったかの真偽はさておき、その後の苦労も知らないで亡くなったのだから最期まで身勝手だったと親族の間では蛇蝎の如く憎まれている。
ただ大叔母は身分不相応な程の美貌の持ち主で、幸か不幸かその美貌を受け継いだ娘が誕生した。それがカチュアの姉だった。髪と瞳の色こそ大叔母と違っていたが、姉は平民の着るようなワンピースを着ていてもそのまま夜会に出ても遜色がないと錯覚してしまうような華やかな容貌をしていた。流行遅れのドレスに粗悪なガラス玉の宝飾品を身に付けて王妃の隣に立っていたとしても決して見劣りしない姿は、生ける宝石、光り輝く陽光姫と言われて多くの令息の視線と心奪った。
妹のカチュアも相当な美少女であったのだが、どちらかと言うと静かな月光のような美しさのカチュアと、眩しい太陽のような華やかな姉とではどうしても霞んでしまう。
そして両親は、姉に少しでも条件の良い婿を選ばせて、慰謝料の返済と貧乏生活からの脱却を目論んだ。その為、なけなしの財産は全て姉を磨く為に使われ、地味なカチュアは放置されていた。物心ついたときからそんな環境だったので、カチュア自身もそれが普通なのだと思い込んでいた。
そんな折、オベリス王国から花嫁を捜しに来たという男性が訪ねて来て、カチュアこそ運命の女性だと求婚して来たのだ。信頼している占い師が運命の相手は隣国にいると告げた為にわざわざ国境を越えて、ちょうど外出していた彼女を見初めたと言うのだ。あまりにも唐突な申し出だったが、どう見ても貴族としか思えない身分の高さを伺わせる上質な衣服や馬車。そして持参金を断り、むしろ彼の方から結納金として積まれた金貨の前にカチュアの両親は即答した。姉だけがカチュアが他国に嫁ぐことを頑なに反対し、どうしてもと言うならカチュアに男爵家を継がせて婿に来ればいい、と無茶を言ったが、そうすると姉の為に持参金を用意しなければならない。カチュアの結納金を貰い、姉は資産のある婿を取ることが最善と思っていた両親は許可をしなかった。
そうして結納金を貰っておきながらカチュアには最低限の支度しか整えず、半ば追い出されるようにすぐに家を出された。
「君をあんな家から救い出す為なら、あの程度のお金は大したことはない」
彼の隣にいると使用人と間違われてしまいそうな程古びたドレスしかないカチュアは、恥ずかしさのあまり俯いたまま視線すら合わせられなかったが、オベリス王国へ向かう道中に幾度も優しい言葉を掛けられ、やがてカチュアは彼に心を傾けて行った。
「きっと僕の本当の身分を知ったら、君の家族は君を利用しようとするだろう。僕の家はそんな要求くらいで揺らぐことはないけれど、君を粗末に扱った奴らにはもう何も渡したくないな」
このまま婚姻の手続きをすれば、男爵家は妻の婚家としていつまでも関係は繋がったままである。その為一度どこかに養子縁組をして縁を切ってから婚姻すればいい、と提案されて、オベリス王国に入国する直前、彼の言葉のままに信頼できる友人という者と養子縁組を結んだ。こうして実家の男爵家とは完全に縁を切り、オベリス王国の国民となる手続きを済ませ、国境を抜ける頃にはカチュアはオベリス王国の人間として帰国したのだった。
ここでなら自分を必要とされ、大切にしてもらえる。そう思っていたカチュアの夢が壊れるのは呆気無かった。
「ちょっと育てれば誰よりも稼げるようになる金の卵だろ?」
国を出るまで、日々丁重に宝物のように扱い、毎日望んでも得られなかった言葉を降らせ、愛を絶え間なく囁く。その彼が、別人のように下卑た顔で見知らぬ男の前にカチュアを差し出した。その男が彼の信頼できる友人であり、戸籍上のカチュアの親になっていた。その男の値踏みするような視線を浴びてそこでようやく騙されたと知ったが、隣国の人間ならば役所に駆け込んで保護してもらうことも、他国民の就労制限を定めた法もあったが、もはやオベリス王国民になってしまったカチュアを守ってくれるものではなかった。
カチュアの親となった男は、表向きは行き場のない女性達を保護して手に職を付けさせて職場を斡旋する救護院と言われる場所の院長をしていた。しかし実際には広い敷地と言えど自由に外に出ることは許されず、夜な夜な身分と顔を隠した男達が通って来る未公認の娼館だった。カチュアは辛うじて未成年だった為に裏方の仕事に回されたし、体を傷付けられることはなかった。しかしそれは成人を迎えた時に出来るだけ高く売り出す為の準備に過ぎなかった。カチュアの境遇に同情した年上の女性が何人か世話を焼いてはくれたが、彼女達も逃がしてやるところまでは出来なかった。
救護院の院長を名乗る男は体が大きく、直接危害は加えないもののすぐに大きな声や音を立ててカチュアを脅して来た。彼を怒らせないようにするには、ただ従順に言われたことをこなして行くしかないとすぐに悟った。それが分かってからはもうカチュアは何か考えることを止め、死んだような目で淡々と生きていた。
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この国に来て半年程経ったある日。
その日は何故かいつも施錠されているドアが開け放たれていた。そして交替の時間だったのか、必ずいる見張りも不在だった。その時のカチュアは、特に逃げ出そうなどという意志は持っていなかった。ただ開いていたからフラリと外に出て、宛てもないまま歩いていて疲れたので停まっていた荷馬車に乗り込んでそのままウトウトしてしまった。
そして気が付いたら、全く見知らぬ場所に到着していた。
どうしてこんなことをしたのか自分でも分からなかったカチュアは、救護院から逃げ出すようなことをしてしまったと自覚して青くなった。体を傷付けられることはなくても、これまでのように食事を抜かれたり頭から水を掛けられたりする罰を受けるかもしれない。それどころか、今度こそ手を出されて酷い目に遭わされるかもしれない。
そう思ってしまうと足が震えて、その場から動けなくなった。
「おや、今日の積み荷は随分と可愛らしいねえ」
荷馬車を覗き込んだのは、白い髭にふっくらとした丸い顔のコック帽を被った老人だった。荷物の陰に隠れるようにして真っ青な顔でガタガタと震えているカチュアに、何者かを尋ねることもせずにお腹が空いているだろうとそっと籠に入ったパンと瓶入りの水を差し出した。それでも怯えて出て来ようとしない彼女を強引に連れ出すことはなく、配達人の男に多めに金を渡して、しばらく荷馬車を置いておくように、と頼み込んでくれた。
「私はこの屋敷で働いている。もし助けを求めるのなら、あの扉を五回叩きなさい。逃げるのなら好きにすればいい」
彼は優しくそう言って、少し離れた場所にある建物の扉へと消えて行った。
しばらくカチュアはじっと動かずにいたが、少し気持ちが落ち着いて来ると急に空腹を感じてしまい、籠の中のパンを見てゴクリと喉を鳴らした。もしかしたら釣られて出て来たところを捕まえようと潜んでいるのではないかと耳を澄ませたが、その気配はなさそうだった。ソロリと荷物の陰から出て、籠ににじり寄る。そしてサッと籠を胸に抱えて再び物陰に隠れると、中のパンを掴み出した。そのパンはまだほんのりと温かく、チーズが練り込まれているのが見える。そのパンをちぎると、外はパリリとしていて中はふっくらとした感触で、ダイス状のチーズがゴロゴロと入っていた。堪らず口の中に入れると、フワリと小麦の風味と共にチーズの塩味が驚く程濃く感じた。気が付くとカチュアは夢中で一つ目のパンを平らげ、二つ目に手を伸ばす。途中、瓶の蓋を開けて新鮮な水を飲み、あっという間に籠と瓶は空になっていた。
今までいたところは、食べられるギリギリの乾いたパンと、いつ汲み置いたのか分からないような水瓶の底に溜まった水しか口にしていなかった。この国に来る前の実家でもカチュアの食事は大差なく、それに少しだけ具の入ったスープが付いていただけなくらいなので、こんなに美味しいものを食べたのは騙されて国から連れ出されるまでの数日間だけだった。
「もう…これで十分」
食べ終えてしばらくそのままで動かなかったカチュアは、ゆっくりと籠を抱えて立ち上がった。そのまま荷馬車から降りると、先程の男性が消えて行った扉の前に空の籠を置いて、クルリと背を向けた。男性に言われたようにその扉を叩いて助けを求めようかとも一瞬考えたが、もしそれがカチュアを騙す為の方便だったら、と思うと出来なかった。このまま出て行って見知らぬ土地で暮らせる程の力はないのは分かっていたが元いた場所に連れ戻されるくらいなら、最期に誰かの親切を受けて美味しいものを食べたという記憶のままどこかの川に身を投げた方がマシなような気がした。
カチュアは力無い足取りで外に向かおうとして、その場にパタリと倒れた。
ずっと空腹と緊張状態だったカチュアは、急に胃袋に食べ物を詰め込んだせいで貧血を起こし、そのまま意識を失ってしまったのだった。
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気が付くとカチュアは柔らかいベッドの上に寝かされていて、心配そうに顔を覗き込む老婦人と目が合った。
カチュアが荷馬車に乗って連れられて来たのはパナケア子爵の屋敷で、最初に声を掛けてくれた老人は子爵家で長らく働いているコック長だったと聞かされた。カチュアがどうしたか気になってそっと外の様子を伺ったところ、馬車の側で倒れているカチュアを発見して結局有無を言わさず保護してくれたのだそうだ。
その後カチュアの話を聞いたパナケア子爵は連れて来られた経緯を国に報告し、かつてカチュアが閉じ込められていた救護院は国を跨いだ悪質な人身売買組織として摘発された。無理矢理攫われて連れて来られたり、カチュアのように騙されたりした者達は身元を辿り、帰る場所のある者はオベリス王国が手配をして帰国させていた。
カチュアはまだ未成年だったこともあり、あの場所にいたということが公になるのは将来に響くとして一旦保護したパナケア子爵家で預かることになって、実家の男爵家からの連絡を待つことになった。が、何度か手紙を送っても返事はなく、埒が開かないと判断してオベリス王国の正式な書状を隣国の王家に出してようやく返事が来た。
「カチュアちゃん、貴女、私達の孫にならない?」
宰相経由で届けられたカチュアの実家からの手紙に目を通したパナケア子爵夫人が、目に涙を溜めながらそう言ったことで、カチュアはその手紙の内容が何が書かれていたかを察した。どうにか頼み込んで直接見せてもらった手紙には、他国に望んで嫁いだ娘はすぐに病で亡くなったと報せを受けていて今更戻されても困る、という内容のものだった。それが間違いだったにしろ、娼館で働いていた傷物などを返されては嫁の貰い手はなくただの厄介者であり、それを養うだけの余裕はない、と遠回しに書かれていた。
カチュアは予想していたことだったので特に何とも思わなかったが、ずっとその身を心配して親身になってくれたパナケア子爵夫妻を始めとする屋敷の皆が嘆くことにむしろ胸が痛んだ。
パナケア子爵家は後継がおらず、目立った産業はなく風光明媚な土地柄なのでそれなりに観光地として収入はあったが、大変小さな領地だった。その為特に跡を継ぎたいという血縁もいなかったので、自分達の代で爵位と領地を国と寄親の大公家に返還すると既に手続きを済ませていた。それに血縁でもないカチュアを孫にしても爵位も領地も継がせることは出来ないが、身一つで辿り着いた彼女の後見人としてこの国で居場所を世話することは出来る。
戸惑うカチュアを強引に説得して、カチュアはパナケア子爵の孫として縁を結び、将来一人立ち出来るように、と子爵夫妻は色々な伝手を辿ってくれたのだ。
その後、パナケア子爵の寄親にあたるアスクレティ大公家から、訳あって別荘にパナケア子爵の名義を貸して欲しいという申し出に、引き換えにカチュアに安全で信頼できる職場の斡旋を頼み込んだ。その頼みを受けて、カチュアは大公家別邸の隣の敷地にある別荘でメイドとして研修を受けることになったのだった。
しかしながら、一度は心を傾けた男性に手酷く裏切られた傷はカチュア自身が思っているよりも深く、その後に脅された経験は心と体を凍り付かせた。薄々男性が苦手であると自覚していたが、貴族の男性と、大柄な男性が側に来ると体の芯から震えが沸き上がって来るのだ。パナケア子爵の屋敷にいた時には気付かなかったのは、子爵を始めとする男性が全員老人で、体格も細身だったり小柄だったからかもしれない。
今の別荘で働いているレオニードは体格が良いが何故か例外的にカチュアが恐怖心を抱かないのは、おそらく彼女を最初に助けた男性がコック長だったことが大きいのかもしれない。
ただカチュア自身もこのままでは良くないと分かってはいたが、気持ちだけではどうしようもできないままもうすぐここでの研修も終わろうとしていた。
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「カチュア、元気がないな」
「レオさん…その…この後のことを考えてたんです」
「…ああ、そうか。少し延長したとは言え、これ以上はないからな。なかなか良い環境で働かせてもらったから、残念だ」
レオニードは作っていたソースにパラパラと塩をふり入れてスプーンで混ぜ、サッと味見をした。そして何やら空を見つめて考え込んでいる。少しイメージと違うので、何が足りないか頭の中で材料を捜しているのだろう。
「カチュアはどうする?」
「あたしは…一度実家に戻る予定です。このままじゃメイドは難しいから、何か出来ること、考えます」
「そうか」
「レオさんは…!その、次は決まってますか?」
「俺か?俺はまだだな。ここでの稼ぎが割と良かったから、しばらくは地方を渡り歩いて料理を研究するのも悪くないと思ってる」
普段は寡黙だが料理のことになると二割増しで饒舌になるレオニードは、前にレンドルフから聞いた彼の故郷の料理に挑戦するのがとても楽しかったと語った。自分の知っている調理法とほぼ同じかと思っていたら、その違いに改めて料理の奥深さを知ったのだった。
「レオさん!あ、あたしの実家、来ませんか!」
「お…おお?食べたいものでもあるのか」
一瞬、誤解されかねない言葉を告げたカチュアにレオニードは目を丸くしたが、すぐに違う意味で言ったのだと理解した。
「ええと、長年務めてくれたコック長が引退するんです。すごく、色んな料理が作れる人だから、レオさんの参考になれば…」
「そりゃすごいな!そんな大ベテランに教えてもらえるのか!」
「あ…ええと、今思い付いたことなんで、これから許可取りますけど…多分、大丈夫かと」
「ああ、駄目なら駄目で、カチュアの国の料理を食えるだけでも」
「あ、の…あたし、生まれは隣国ですけど、今の実家はこっちの国で」
「おう、そうか。別に構わん。ここと違えば味も違う。人が違えばそれだけで変わる。話を付けるのは任せる」
「は、はい!」
レオニードはソースに少しだけタイムの粉末を振って、グルリと混ぜてから再び味見をした。どうやら理想的な味になったらしく、誰に見せるでもなく口角を上げて満足げな笑みになった。
「ん?何だ、カチュア。何か気になることでもあったか?」
「え?い、いいえ!その…今日の下拵えは、ジャガイモですね」
「ああ、頼む」
レオニードが視線を感じて横を向くと、何故かカチュアがポカンとした表情でこちらを見つめていた。いつも表情筋が控え目な彼女にしては、初めて見るような表情だった。レオニードが首を傾げると、ハッと我に返って朝に申し送った今日のメニューに必要な材料を揃える為に、地下倉庫へと足早に向かって行った。
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「…急いで伝書鳥を送らなくちゃ」
パタパタと地下倉庫に向かいながら、カチュアはそう呟いた。何だか少しだけ動悸がするのは自分でもよく分からなかったが、ただ許可が貰えたらレオニードとまたキッチンに立てるのかもしれないと思うと、少しだけ胸が弾むようだった。
「許可、貰えるといいな」
気付かないうちに少し火照った頬に、地下倉庫のヒヤリとした空気がカチュアは不思議と心地好く感じていたのだった。
補足・カチュアが求婚されて国を出られたのは、隣国では成人年齢がオベリス王国より若い為です。成人しているので婚姻可能と見なされ、合法的に国を出られます。
カチュアの姉は情緒の欠けた合理的なタイプで、貧乏男爵家には二人分のドレスを作る余裕はないので、まず優先的に自分に投資してもらって早く資産家の婿を迎えて、後からカチュアにはこれまでの分を含めてお金を掛ければいいと考えていました。その為姉はカチュアが辛い目に遭っているとは感じていません。両親はただ華やかな姉の方を贔屓していた感がありますが。彼女がカチュアの出国に反対したのは、自分よりも早く妹に資産家の求婚者が現れたのでそちらを婿にしてさっさと借金返済すれば利息の支払いが安く済むという理由で、あくまでも個人ではなく家全体の収支で考えていた為です。