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63話 エピローグ

 ドリアード村の広場にて。

 クーネとドリアードの代表が対話して友好協定結ぶ。

 凛の活躍があった為、ドリアード達の態度は友好的となっており、対話は円滑に成された。


 広場の隅で、凛とガーネットはその様子を眺める。


「解決させちゃった……。あんなに外の人間を嫌ってたのに信じられないわ」


 村育ちのガーネットは、閉鎖的な村社会に、外部の人間が介入することが、如何に難しいかを知っていたので、こんな円滑に解決できたことに、驚きを隠せなかった。


「持つべきものは権力者の友達ね。クーネちゃんが居てくれたおかげだわ」

「それでも普通は話を繋げること自体難しいのよ。依頼を受けて来ただけなのに、村と外とのいざこざを解決しちゃうなんて……」

「まぁ、困ってる人がいたら、助けないとね。それも冒険者の仕事ってやつよ」


 凛がそう言うと、ガーネットはきょとんとしてから、軽く笑って言う。


「……ただ依頼を熟すだけじゃないのね。この勝負、私の完敗よ」

「あれ? 勝負はなくなったんじゃなかったっけ?」

「そうだけど、ここまで完璧に事を収められたら、負けを認めるしかないわ」

「え、じゃ、じゃあ、負けた方は何でも言うこと聞くっていう話は」

「そうね。私の負けだから、約束通り、一つ何でも言うことを聞いてあげるわ」

「よっしゃあ!!!」


 凛は全力でガッツポーズをする。


「何させたいの? あんまり無茶なことは止めてよね」


 あまりの喜びっぷりに、ガーネットは訝しみつつも、凛に要求を訊ねる。


「したいことは沢山あるけど、うーん……じゃあ、キスさせて」

「はい?」

「キスよ。いい? ダメ? どっち?」

「ちょ、ちょっと何言ってるのか分からないわ」

「なら、実際にやって分からせてあげる」


 凛はいきなりガーネットの両頬を押さえると、その唇に吸い付いた。


「んんんー!?!?!?」


 ガーネットは驚いてパニックを起こすが、凛はがっちり掴んで離さず、遠慮なく唇を吸う。

 舌まで入れたりして続けていると、藻掻いていたガーネットが力尽きたように抵抗を止めた。


 それから十分堪能し、凛が唇を離して解放すると、ガーネットがその場に崩れ落ちる。


「ふぅ、ふぅ……最高」


 地面にへたり込んだガーネットは放心していた。



「……公衆の面前で、そのようなことをするのは止めた方がいいかと」


 凛が振り向くと、ドリアード代表と話をしていたはずのクーネが、いつの間にかすぐ傍に来ていた。

 その顔は若干呆れたような感じであった。


「クーネちゃん!? ち、違うのこれは」

「分かってますよ。凛さんは年下の女性が好きなのですよね?」

「何で知ってるの!?」

「この前、遊びに来てくれた玖音さんが教えてくれました」

「あ、あいつめぇ……!」


 凛は勝手に性癖をバラされたことを憤る。

 普段は我関せずの玖音だったが、相手が領主の娘とのことで、万が一、拗れて敵に回ったら、この領地で生きることが難しくなるかもしれないと、念の為に事前に伝えていた。


「いいと思いますよ。人にはそれぞれ趣味がありますから」

「……もしかしてクーネちゃんも同じ趣味だったり?」

「いえ、違いますが」


 即座に否定され、凛は肩を落とす。


「がっくし……。クーネちゃんのことは結構好みなのに」

「えっ」

「ねぇ、ちょっと試してみましょうよ。もしかしたら目覚めるかもしれないわよ」

「いや、私はそういうのはちょっと……」


 迫られて後退るクーネだが、好みと言われ、困惑しつつも照れているのか、顔が赤くなっていた。

 そこでやってきたユーリスが、凛に声を掛けてくる。


「ねぇ、凛。村長さんが街に行く許可出してくれたから、凛の畑見に行ってもいい?」

「あ、ユーリスちゃん! いいわよ。大歓迎」


 凛はすぐにユーリスの方に気を移し、歓迎した。

 急にそっぽ向かれたクーネは呆気にとられる。


「……節操なしですね」


 その顔は何処か不満そうだった。

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