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41話 温泉施設

 コロシアムでの戦いを終え、凛達はシェルターミラー内へと帰って来る。


「吠え面かかせてやったわ」

「勧誘、凄かったわね。あの会長なんて、土下座して、うちに所属してくださいって言ってくるし」

「全部蹴っ飛ばしてやった時は、実に気持ちよかったの。賞金も手に入って大満足じゃ」


 協会に一泡吹かせることができ、多額の賞金も手に入ったので、みんな気分良く、にこやかな顔をしていた。


「当面の旅費は心配なくなったけど、これだけあるなら、ここの施設を拡張をしてもいいわよね」

「賛成ー。小屋、六人になって、ちょっと手狭だったもんな」


 フラム他、みんなも小屋の増築に賛成するが、凛は首を横に振る。


「いえ、作るのは温泉よ。ずっと前から、みんなで一緒に入りたかったの。小屋もそのうち広げるけど、まずは温泉が最優先」


 小屋にも浴室は付いていたが、最低限の広さしかなく、複数人で入ることは厳しい為、一人ずつ使用していた。

 裸の付き合いは、交友を深めるのに、非常に友好的な手段である。

 女の子と触れ合いたい、仲良くしたい凛にとっては、何よりもの優先事項であった。


「いいわよね? というか、もう材料揃えちゃったから作るのは決定」

「あぁ、帰りに何を買っていたかと思っていたら。あたしは別にいいぜ」


 フラムに続き、他の子も賛成意見を述べる。

 凛のような下心はないが、作って困る物でもなかったので、設置に反対する子はいなかった。


「じゃあ早速始めるわ」


 凛は小屋の横で道具を出し、温泉施設のクラフトを開始する。


「うおおおおおおお!!」


 欲望によるブーストで、凄まじい勢いで作られて行く。

 そして、ものの数時間で、立派な温泉施設が完成した。




「すげぇ……。一人で全部作っちまった」


 フラム達は唖然とした表情で、完成した温泉施設を眺める。


 小屋隣りに作られた露天風呂からは湯気が昇り上げており、その広さは現在の小屋の敷地よりも広かった。

 ここには女の子しか住んでいないが、手抜きはされておらず、しっかりと柵で囲まれていて、付属している建物には脱衣室からトイレ、休憩室まで完備されている。


 魔法によるクラフトでも、一人でここまでのものを作ることは、普通できなかった。


「もう入れる状態になってるから、好きな時に入っていいわよ」

「おっ、じゃあ入ろっと。実はあたし、結構風呂好きなんだ」


 フラムは入りたい気持ちを我慢していたようで、その場で衣服を脱ぎ去ると、全裸で温泉へと突撃して行った。

 それを見たシーナも服を脱いで後に続く。


「おほっ、じゃあ私も一緒するわ」


 凛も後を追うと、顔を見合わせたクレアとラピスも続いた。


「儂も付き合うかの」


 玖音も続き、結局みんなで入ることとなった。




 広々とした露天風呂に浸かる女子一同。

 それぞれ泳いだり、雑談に花を咲かせたりしながら、温泉を楽しむ。


 みんなが楽しむ中、凛はそんな女の子達を舐めるような視線で観察していた。


「あんなに燥いじゃって。フラムちゃんとシーナちゃんは無邪気に燥いで可愛いわね。お淑やか組のクレアちゃんとラピスちゃんも素敵だわ。玖音は……堪能中かしら?」


 玖音は隅で一人、気持ちよさそうに浸かっていた。

 凛の視線を受け、玖音が口を開く。


「視線が厭らしいの」

「だだだ誰が視姦プレイしてるって? 失礼よっ」

「そこまでは言っておらん……」

「邪な気持ちなんてないわよ。うちの女子高、女子寮だったから、見慣れてるし。私はただ、この絶景を堪能してるだけ」

「絶景と言ってしまっておるぞ」

「微笑ましいって意味よ」

「そうなのか? ま、どうでもいいがの」

「つれないわねー」

「主がどんな趣向じゃろうと、儂は興味ない。止めはせぬから、主の好きにすればいいのじゃ」

「そ。なら、好きにさせてもらうわっ」


 凛は勢いよく、玖音へと飛び掛かった。


「おわっ!? 何するのじゃ! 止めいっ」

「好きにしていいって言ったじゃないのっ。言ったことは守ってもらうわよ」


 凛は興奮した様子で、激しく玖音に抱き着く。


「そういう意味ではないわっ」


 玖音はしがみついてくる凛を尻尾で思いっきり叩き、剥ぎ落とす。


「ふぅー、ふぅー……。主にしがみつかれると、生きた心地しないわ」

「怖がらないでよ。最初の時以外、危害加えることなんてしてないじゃないの」

「今のは含まれておらぬのか。正に襲われてたのじゃが……」

「コミュニケーションよ。コミュニケーション。触れ合って仲良くしましょ」


 凛は手をワキワキさせならが、玖音へとにじり寄る。

 色んな恐怖を感じた玖音は、顔を強張らせながら、後ろへと下がった。


 そこに、フラムとシーナがお湯を掻き分け、やってくる。


「鬼ごっこしてるの? あたしらも混ぜて」

「! いいわよっ。ガオー」


 凛はすぐさま標的を切り替え、二人を追いかけ始めた。

 端でほっと息をつく玖音を余所に、騒がしく追いかけっこをする。


 二人は笑顔で逃げ、それを凛が大喜びで追いかけていた。


(もう最高っ……! ここは楽園だわっ)


 楽しく無邪気に遊ぶ女の子との触れ合い。

 凛が望んでいた楽園が、ここにあった。

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