1話 大国日本
これは今とは少し違う世界、この世界では自衛隊は軍へと変わり、急速な経済政策によって経済成長を取り戻した日本
共産系の団体は活動を許されず、幹部たちが逮捕されたことによってほとんどの団体は解散した。
豊かな経済と警察官と警務隊の懸命な治安維持によって国民は安寧を取り戻していた...
この物語はフィクションです、実際の団体、組織名などは一切関係ありません
前の戦争が終わってからもう75年を超えた。
何度思い出しても心が痛い、爆撃機から落ちる爆弾の音、空気を切りながら落ちてくる。
「キューン」という音を立てて落ちてきた焼夷弾は着弾後高熱を発し周りの家屋が燃える。
どれだけ頑張っても止めることができない、圧倒的な力を目の前に大切な人を守ることもできない。
冷めない悪夢を見ている、起きることはない
白馬の王子様でも来ない限り...
今日は、海上自衛隊改め日本海軍の新型原子力空母「伊吹」の進水式
憲法改正により、確実に合憲となった攻撃空母、経済成長によって齎された膨大な税金から費用を算出し、計画立、起工。そしてようやく進水に漕着けることができた。
しかし誰もが望む訳ではない、軍備拡張反対の共産主義団体は前日から数日前から活動、テロ未遂があり、復活した治安維持法等で10数人が逮捕された。
今回の進水式でもこのようなことが起きる可能性があるため。海軍は陸警隊の人員を拡張し警備に当たっている。
私は海軍の人間ではないため本来ならばこの式典に行く予定はなかったのだが、とある理由によりこの式典に参加しなくてはいけなくなってしまった。
早めに待ち合わせ場所に着いた私は、休日にもかかわらずここに来た理由となった人物を待っていた。
そういって現れたのは、160㎝位の茶髪ショートボブの女性だ。
彼女はジャージに白衣というとても外に出る女性とは思えない服装で来ている。
そう、彼女こそ私がここに来る原因となった人間だ。
「早速行こうか?」
「そうですね」
空母がよく見える位置まで移動し、その位置から進水式を見る。
勿論周りにも目を光らせる。プライベートで来ているわけではないのだ。
日本酒が船の装甲にたたきつけられ割れた後船がゆっくりと陸から海に移動し進水する。
これまで日本で浸水してきた軍艦の中でも大きい軍艦のため大きな水しぶきをあげ勢いよく水上を進んでいく。
この時日本は世界に名だたる海軍大国になったのだ。