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ETENITY00  作者: Aret
4章・・・不調和
92/113

90話・・・マルペルト・崩壊

作品を読みに来て頂き感謝です!

突然の一報が入ったのは、皆が寝静まる頃だった。


「マルペルト国、謎の武装集団により襲撃!アマルティアの犯行と思われます!」


直に聞いたモルガンの瞳孔が狭まった。


「至急殲滅部隊を専用飛行艦へ向かわせろ!」


命令を下すと、部下が一斉に動き出す。

その隙に、モルガンはマルペルト付近に駐在するティアマテッタ軍と連絡を繋ぎ、指示を出す。


「これから殲滅部隊を向かわせる。君達は最大限マルペルト国民を避難させろ!避難が最大優先だ!」


『しかし、アマルティアの可能性ならエルドがいるはずでは?!』


「悔しいが適う相手ではない。それに、エルドがいるなら裏切った国民、そして兄妹の虐殺をするはずだ!」


『ッ…!ひ、避難最大優先で、作戦決行します』


「全員無線はずっと繋げていろ。マジックウォッチの反応が無くなったら死んだと判断するからな」


『了解!』


「マシュー!」


「はい!エアルさん達には、もう伝えました。五分でこちらに来ると」


「君を傍に置いて正解だったよ」


モルガンは満足気に微笑むと、すぐに表情が険しくなる。


「いいか、私とデウトはここから動くことが出来ない。全体の指示をしなくてはならないし、もしマルペルトが囮で本目的がティアマテッタ総攻撃となれば大誤算が生まれる。だから今回はマシュー、殲滅部隊とエアル、ヘスティアの計十二名で行け。指揮は任せるが、口を挟むぞ」


「はい。では、行ってきます」


「必ず帰って来い」


マシューは敬礼をすると飛行艦へ向かい走っていく。


「向こうは寝る時間も考えないのか」


モルガンが舌打ちをすると同時に、デウトとナデアが指令室に入ってきた。



ミラを含めた数名の救護員が持てる限りの医療品を飛行艦に積んでいく。


「これで全部よ。気を付けてね、リアム」


「わりぃな、遅くまで付き合ってくれて。ミラも気を付けろよ」


「手当や救急の準備をするのが私達の役目だから」


ミラが親指を立て、グッドサインを見せウィンクする。その行動にリアムも思わず笑みを浮かべた。

ほんのひと時でも安堵する瞬間だ。


「じゃあ、行ってくる」


リアムが乗り込み、ミラも飛行艦から離れるのを確認したユーリが離陸体制に入る。


「ねぇ!駐車スペースが降りたままだけど!」


エンジン音に掻き消される中、飛行艦とは違うエンジン音が聞こえてくる。

エアルの車だ。


「エアル兄?!」


一瞬だが、助手席にはヘスティアも乗っていた。華麗にドリフト駐車をスペースに決めると、飛行艦はそのまま上昇、駐車スペースを格納し飛びたっていく。


「全く…。絶対無事で帰ってきてよ」


怪我をしていてもいい。ちゃんと、くたびれていても、負けても、命あって帰ってきてくれればいい。

ミラは祈るように、手を握りしめた。

ティアマテッタからマルペルトまで丸一日はかかる。それまでに、どれだけの人々を救えるか。エルドを止められるか…。



数時間前に遡る。

鳥の死骸だと思っていたモノが違うものだと判明してから、国内は一気にパニック状態に陥った。

マーガレットは震え、怯え部屋に籠り警護されていた。


(私の…私の足元に落ちてきた死骸は、鳥じゃなくて…!)


キャー!と悲鳴が廊下から響く。


「王女、ここでお待ちを!」


親衛隊の一人が廊下の様子を伺うため覗くと、首が一瞬で落ちた。


「ヒィッ!?」


「マ、マーガレット王女を守れ!」


親衛隊が殺人者に跳びかかるが簡単に殺されていく。

そして、殺人者…エルドが部屋へ足を踏み入れてくる。


「久しぶりだな。マーガレット」


「…エルド?!…兄様…って呼んでいいのかしら?」


怯え切っていたマーガレットは、エルドと知ると何故か安堵の表情から、諦めへと変わっていく。


「私が吐いた嘘のせいで、ここまで悪人に堕ちるなんて思ってもなかったわ」


「そうお前達がさせた」


「だよね…謝らないわよ。でも、どうして私があんな嘘を吐いて、タナスに味方したのか教えてあげる。置き土産よ」


マーガレットは全て裏で行われていたこと、自分が売春をしていたこと。斡旋もしていたこと。ヘスティアのせいで仲間が消えた事。そして、この贅沢な暮らしを手放したくなかったこと。全て自己中心的な理由をエルドに話した。


「…そうか」


エルドの表情には怒りも、憎しみも無く、なだ哀れな女を見下す男だった。

ここで、頬を叩いてほしかった。そうしたら、兄妹として認められた気分になりたかった。でも、もう遅い。遅すぎた。

マーガレットは糸が切れたかのように、すすり泣き、肩を震わせ声を上げ泣くと、次第に笑い始めた。


「あははは!あははは!ねぇ、最後にもっと悪名高きエルド・エマーソンの名が欲しくない?」


「どういうことだ?」


マーガレットが事情を話すと、エルドは顔を渋らせた。しかし、ここで同情するような男ではない。何より、彼女の、女としての最期の覚悟を裏切ることが出来なかった。


「解った。復讐者として、兄として。お前に…マーガレットに出来る最大の処刑を下す」


二人は廊下を歩きだす。

昔、ここでマーガレットが先に走り、エルドとヘスティアに早く来てと声を上げた。二人は微笑ましそうに自分を見つめていて、駆け足で追いかけてきてくれた。


(私は、自分で自分の幸せを手放した。兄姉を信じられなかった、馬鹿で、狡猾な女)


でも、それももうすぐ終わる。

王族が姿を現すバルコニーに辿り着く。



―「あれは、マーガレット王女?」


―「待って、なんでエルドがいるんだ?!」


王女!王女を放せ!と罵詈雑言が飛び交う。


「これから貴様等の純粋の象徴、マーガレット王女を火刑にしよう!」


―「酷い…」


―「実の妹を犯しておきながら、殺すつもりなのか?!」



何も知らない国民が、私を信じてエルド兄様に汚い言葉を吐いていく。

その言葉、昔お前達が私に吐いた言葉と似ている事を知っているか?

私が幸せだと感じた瞬間は、短かった。エルドがあの医者を連れてこなければ今、兄様とヘスティア姉様とお父様と一緒に、中庭でお茶をしていたかもしれない。

お前が元凶だよ、エルド兄様…いや、これは八つ当たりだ。

元凶は私に言い寄ってきた太客だったあの医者だ。アイツが私を求めなければ、タナスが私を利用しようとしなければ…

結局、待ち受けていたのは地獄だ。

ヘスティアが売春を取り締まらなければ、生きていた仲間がいる。

もう、彼女達もどこへ売られたのか、死体がどこにあるか、生きているか死んでいるかも分らない。


(ごめん、ごめんね。私だけ幸せになるって息巻いて、アンタ達のこと見捨てて。でもアンタ達、バカだから嬉しそうに親がいてよかったねとか、兄姉と仲良くねって、自分の事みたいに喜んじゃってさ…。結局最後は私も酷い死に方で地獄に行くから…。あ、でもアンタ達は天国に行っているのかしら。ならさ、上から見ていてよ、本当の地獄からでも這い上がって見せてやるから…)


人生最期の大芝居を打つ。


「お兄様、やめて!」


その瞬間、マーガレットの身体は炎に包まれ、服が、肌が、髪が焼かれ爛れていく。

悍ましいともとれる絶叫が夜空に響き渡る。


『ごめんなさい、エルドお兄様。自分の至福のために、貴方を裏切りました。そしてヘスティア姉様も騙したわ。もう、遅いけど。これからどうするか決めるのは兄様だから。私の事は遠慮せず殺して頂戴』


これが最期にマーガレットと交わした言葉だった。

火傷と、煙のせいでマーガレットはむせ返り叫ぶことすら無くなった。


「一思いに、死ね」


ピン、と首筋を斬ると動脈が切れ、出血したのち、マーガレットはこと切れた。

死んだのだ。

彼女が望んだとおり、酷い仕打ちで。

マーガレットの死体は眼も覆いたくなるほどに。

せめてもの情けで、彼女が死後も犯されないための情けだった。

エルドが贈った、最後の兄としての思いだった。

マーガレットも、それを重々承知していた。憎んでいるのに、最期に願いを受け入れてくれた。

きっと、あの時、エルドとヘスティアに医者と兄に脅されていること、売春で生計を立てていたことを正直に話せば未来は違っていただろう。

二人は、自分の助けを求める手をのけ払うような人ではないのに、信じられず、今の生活を捨てられずタナスを選んだ。

自業自得だ。

たった数年の幸せと、十数年楽しくやってきた仲間を想いながら、マーガレットは苦しみの中で藻掻き叫びながら死んでいった。しかし、その中にやっと楽になれるという安堵と幸せすら覚えていた。

マーガレット。十六歳でこの世を去った、強欲で、狡猾で、哀れな王女…。



「…コア、聞こえるか」


『聞こえているぞ。女の悲鳴までもここまで聞こえてきていた』


「貴方が今どこにいるか知りませんが、王室のバルコニーに来て、焼かれた死体を更に火葬して埋葬してください。もう誰にも、尊厳を傷つけられないように」


『解った。お前はどうする』


妹を看取ったエルドは、もう完全に心を切り替えていた。


「兄と追いかけっこをしようと思う。そのついでに、国民も殺そうと思う」


マジックウォッチの通話を切ると、エルドは城内へ戻り、家臣らを、親衛隊、召使等を殺していった。

そして放送室へ入ると、国民に向けて発する。


「やぁ、マルペルト国民の皆さん。もう何千人かは殺されているだろうね。これから私、エルドが国王を殺すまで、惨殺は続きますよ。勿論、国王の居場所を知っている人がいるなら教えてほしい。そして国王を殺したのち、この虐殺はすぐに止めよう。国王自らが国民のために姿を現すのも大歓迎ですよ。出てくるのならね…」


それだけ言うと、放送は終了した。


「なぁ、国王は俺達を守ってくれるんだよな?!」


「当り前じゃない!エルドなんかすぐに殺してくれるわよ!」


「国王!早くエルドを殺してください!じゃないともう無理!」


国王に嘆願する国民が、アマルティア兵に簡単に殺されていく。

エルドとコア、一部のアマルティア兵以外は皆銃でいとも簡単に殺していく。ゲームみたいに、乱射して、人に当てていく。

ゲラゲラと笑いながら。


「銃は引き金一発で簡単に殺せるから楽でいいぜ!」


なぜ自衛軍隊も来ないのか。それはコアが最初に潰したからだ。

だから誰も助けに来ない。

国民は、タナスがエルドを殺すか、殺されるかを待つしか出来ない。



国民がアマルティア軍から逃げ回る中、コアはバルコニーにいた。

侍女もマーガレットを追い自害した惨状が広がっている。

逃げようとしたのが、はたまたエルドに殺されると思ったのか。それか、忠誠を誓い、最期まで傍に居ようとしたのか。

願うなら後者がいい。

コアはマーガレットの亡骸を丁寧に寝かせる。まだ死後硬直が始まっていない。柔らかい関節を動かし、胸の上で指を組ませた。


「火属性、彼女を火葬しろ」


「はい…」


エルドを追い、アマルティアに偶然辿り着いた火属性が火魔法でマーガレットの遺体を焼く。


「悪いな。お前はエルドを慕っていたのに。妹の始末を頼んでしまって」


「いえ。マーガレットが殺される間にエルド様と何を話したか知りませんし、命令されたことです。遂行します」


「そうか」


人の焼ける臭いは慣れているが、改めて良い臭いではないと思った。

そう思わせるのが、エルドの親族だからか。それとも…

灰と骨になった遺体を可能な限り拾い集め、そこら辺に置かれていた菓子箱に入れる。


「あっけないものだな」


決して大きいとは言えない缶箱に入る骨と灰。


「マジックウォッチはあるか?」


「こちらです」


コアは何故か彼女の事を知りたくなった。エルドから聞いていた通りの悪女なのか、それとも国民が信じていた聖女なのか。


『今日はタナスに犯された。むしゃくしゃして無駄な洋服や宝石類を買いまくったけど、買ったら満足しちゃった。寄付しようかな』


『今日は国管轄の遊郭へ視察に行った。あの頃の私よりましな生活をしている女達が嬉しそうに私に感謝してきた。私の政策のおかげで今の生活があるんだって。身体売って、嫌いな客の相手もしなきゃいけなのによく笑顔でいられるわよね。そこだけは尊敬してあげる』


『ヘスティアの事を思い出した。気持ちが不安定になる。あの女のことを思い出す日が不調になる。また無駄な買い物をした。寄付する』


『私が欲しい物って何だろう。流行りの服も買えない。煌びやか王族の服や民族衣装を着て過ごさなきゃいけない毎日。街の女の子達は可愛い服やかっこいい服を着ているのに』


『自分で選んだんだ。生き続けろ』


日記の内容は、全てマイナスな感情で埋め尽くされていた。

楽しい日々を記録している内容は初期の頃のみ。

『今日はヘスティアお姉様とお茶をしたの!緊張したけど受け入れてくれて嬉しい!』


『エルドお兄様のお稽古を見学したわ。とってもかっこよかった!私もお兄様やお姉様みたいに、武術を習おうかな?上手く出来るかな?』


ざっと見たコアはマーガレットのマジックウォッチを部下に渡す。


「これはエルドに渡せ。これが終わってからでいい。そしてどうするか決めさせろ」


「かしこまりました」


部下は預かると、城を出る準備をし、去っていった。そして銃の発砲音が門から鳴る。

虐殺は、まだ続く。


「シレノ…」


アイツは今、一体何を思っているのだろうか。

きっと、この一報はティアマテッタに届いているはずだ。シレノは派遣されるだろうか。そしたら…可能なら迎えたい。殺さずに済むために。だが、それはシレノの為にならない。

何故なら「シレノはコアを殺すために軍人になった」からだ。

彼の尊重を奪ったら、シレノはあっという間に無気力になり、ナノスの餌食になるだろう。

それなら、自分の手で殺してしまおうか。

エルドのように。



「タナス兄様。エルドが約束を果たしに戻ってまいりましたよ。どうします?あの放送、聞いていらっしゃったでしょう?」


大声で叫ぶが、誰の反応も無い。

大きなホールの中央。そこから各棟に続く廊下が伸びている。

エルドは中央でクルクルと優雅に、踊るように回る。


「貴方が私を殺すか、私が貴方を殺さない限り虐殺は止まりませんよ?どうします?一応、貴方がどっちに転んでも英雄になるようにしたんですよ?」


ナノスから教わった、マジックウォッチで城内の放送をジャックし、今エルドが言っていることは城中に流れている。


「今頃国民は、貴方が私を殺すのを待ち遠しく思っているのでしょうね…。ねぇ、兄様。何故出てこないのですか?仕方ない」


エルドはまた放送室へ向かう。そしてこう呼びかけるのだ。


『タナス国王が見つからない!戦えと叫んでも来ない!どういうことだ!まさか貴様等、愛する国王を守るために隠しているな!やはり国民も私を裏切るのか…いや、裏切ったからこそ私の邪魔をする。タナスを守ろうとするのか。アマルティア軍よ、国民を殲滅しろ。タナスの情報を持っているものが居れば連れてこい。私はタナスと対峙し、決着がつくまで虐殺は止めないぞ』


この放送を聞き、国民は絶望する。


「どいういう、こと…」


「まさか、俺達が今まで逃げている間、アイツは隠れていたのか?!」


「エルドの嘘かもしれないじゃない!」


「じゃあタナス国王はどうして現れない!俺達のために戦ってくれない!」


「このままじゃ俺達までとばっちりが来るぞ!こうなったら、タナスを捜して見つけ出すんだ!エルドに差し出して、戦ってもらう!」


「そうよ、そうじゃないと私達が死んじゃ、」


バン!と撃たれ、女が倒れる。

キャー!と叫び声が上がり、蜘蛛の子散らしのように皆逃げていく。

笑うはアマルティア軍。叫ぶはマルペルト国民。

あの日とは正反対。

苦しみに叫んでいたエルドは今、愉快爽快と言わんばかりに楽しんでいる。心の底から。

そしてあの日罵詈雑言を浴びせ、笑っていた国民達は、命乞いをし、ついには国王を敵に売ろうとしていた。

なんて面白い現象なのだろう。

エルドは眼鏡に着いた返り血を水で洗い流す。


「エルド。来客が門の前に大勢来ているぞ」


「コア!今丁度眼鏡を拭いているところでして。少しお待ちを」


眼鏡を掛けなおし、視力が合う。


「来客とは?バルコニーから撃ち殺させればいいでしょう」


「お前があんな放送をしたせいで、タナスを引きずり出すのを協力したいと喚いているぞ」


「ほう…それはそれは。また面白いことになりましたね。良いでしょう!一緒に探しましょう。ただし、これは内密に…余計な真似をする奴が一人いたら、無関係な人間を三人殺してください」


「承知した」


コアの命令で門が開かれ、城内に人が雪崩れ込んでくる。


「国王!我々を助けてください!」


「出てきて戦え、タナス!」


「国王、お願いします!どうか、国民を救ってください!」


「国王!」


「出てこい、弱虫タナス!」


「国王、お願いだから!」


「エルドに殺されるのが怖いんだろう!?だから俺達を見殺しにして、妹を犠牲にして、自分だけ生き残ろうとしているんだろう?!」


「許さない、タナス!」


「エルドが殺す前に、私達で殺してやる!」


最初は縋る声が多数だったが、アマルティア軍の一人が紛れてタナスへの誹謗を一言放った。すると、徐々に、少しずつ過激な言葉が飛び交うようになっていく。

そしてついには、国民自体がタナスを殺そうとしている。


「面白くなってきましたねぇ。どうしましょうか?エリーニュ」


エリーニュ…エリーニュは唾を吐き、態度を悪くし答える。


「エルド様、これが人間の面白くて醜い所ですよ。タナスを殺してくれたとしても、アイツ等も殺しちゃいましょうや」


「ふふ、君には変わらないね」


エリーニュと呼ばれた姉を、いや。新たな姉、エリーニュ、アレーク、ティーシを見て、メイラは同情の眼差しを向けていた。

彼女達は、姉のデータから新たに作られた、姉達だ。

性格もそのまま。自分の事を扱い方も似ている…気色悪いほどに。だけど、記憶は引き継がれていないから、メイラだけが生き残り、生き続けていることを知らない。


「エルドさまぁ~、私達も遊びに行ってもいいですかねぇ?ずっと待機も飽きてきたんですよぉ」


アレークが口を三日月のようにしニタァと笑う。


「いいですよ。そうだ、ゲームをしましょう!一番多くを殺した姉妹に、ご褒美を上げましょう!高級なお菓子などはどうでしょう?それとも、服がいいですか?女の子のスキを考えるのは苦手でして」


「そんな、エルド様。私達のために褒美を考えてくださること自体が、私達にとっての褒美です。でも…もし一番殺した子には、美味しいケーキが食べたいです!」


ティーシが手を組み、頬を染め嬉しそうに女の子らしい反応を見せつける。


「では、ケーキを用意させましょう。では、始めてください」


四姉妹は城内から飛び出す。

上三人が賑やかしく会話している。


(私は、あぁなりたくない。私が死んだら、お姉ちゃん達との記憶が、全部なくなっちゃう…!私だけが覚えてる、大切な記憶…私は、私。他の誰かが、私になんかなれない!)


唇を強く噛み締める。

ティアマテッタを一度襲撃して、ソイルが痛い目を見ていいザマだと思ったことも。敵ながらマノンに惹かれたことも。リアム達を殺して敵討ちをしたいと思うことも。

全部、私の気持ち。


「何が何でも、生き延びてやる」


もうあの頃のおっとりとしたメイラはいない。おっとりとして見えても、中は般若が棲んでいる。

メイラもまた、リアム達に復讐を誓うのだった。


原作/ARET

原案/paletteΔ

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