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ETENITY00  作者: Aret
3章・・・意思・マノン外伝
70/113

70話・・・テマノスの町8

作品を読みに来て頂き感謝です!

厳重な扉が開かれ招き入れられた先にあったのも。

それはあまりにも巨大な飛行艦だった。いや、飛行艦と呼ぶのが正しいかすら解らない。


「なんだ、これは…」


圧巻され、エアルは絞るように声を出すのが精一杯だった。色んな国を見てきたがこんな艦は無い。ティアマテッタが所持しているか、情報を掴んでいるかも怪しい。

ヘスティアに関しては驚愕のあまり声すら出ていない。


「すげぇ!かっけぇ!」


マノンは興奮し、間近で見られるギリギリの距離まで走り寄る。


「コラ、マノン!無暗に触るな!傷でもついたらいくら金があっても修復代が足りるか解らないぞ!」


エアルの脅し文句に、マノンはギョッとし、伸ばしかけた手を引っ込めた。


「あはは、大丈夫ですよ。触るくらいならね。そんな軟な代物じゃあありませんよ」


見上げても天辺が見えない。一番上を見るなら、もっと後ろに下がらないと全貌はお目見え出来ないだろう。しかし、この空間はそこまで広くはなかった。


「ほら、アホ面晒させるために連れて来たんじゃないよ!」


モアがパンパンと手を叩き、その音で三人は我に返る。


「そ、そうだ…デウトさん。これは一体…?」


「これは遥か昔にルナールの民が乗って来たと思われる飛行艦…いえ、飛行戦艦として区別しておきましょうか」


「飛行戦艦?」エアルが訊く。


「ルナールの民が乗って来たって、じゃあ一体どこから来たの?」マノンが訊く。


「うるさいね!いっぺんに喋るんじゃないよ!」


モアの雷が落ち、エアルとマノンは黙り込んだ。


「ちょっと質問が被っただけじゃん」マノンが唇を尖らせた。


「ま、まぁまぁ…順序を追って説明しますよ、ちゃんと。さて。この飛行戦艦の全長は約三四〇メートル。地面に埋まっている部分があり、現在も限られた人間のみで発掘途中。外部に情報が漏れたら一大事ですからね」


微笑ましく言うが、目が「絶対に言うな」と圧をかけてくる。


デウトの圧に委縮するが、それを無視し間近で凝視するヘスティアがうわ言の様に言う。


「確かに、過去の遺産だとするなら納得できます。だって、素人目でもこの金属が現代で見たことが無いものだと分かるもの。こんな時にレイラとレンがいたらもっと詳細が解ったでしょうに」


「え、ティア姉解るの?」


「なんとなくだけど、そうだと思う。これでも、王室にいるときに金属性の先生から物質については学んでいたから、色合いとか、質感とかでなんとなく…見たことないなと思って」


「へぇ」


ヘスティアの知識にマノンが目を輝かせた。


「すごいです、ヘスティアさん。確かにこれは、現代では見られない物質で造られています!発見から今日まで、未だに解明できていません」


ナデアも思わず声を上げた。


「流石、ヘスティア君ですね。続きを話すと、これはルナールが乗って来たもので間違いありません。艦内を詮索しましたが、他属性では使えないようになっていました。そしてこれは父が先祖代々教えられていた土地でもあります。ここに避難してきたのも、父の提案。父は、この戦艦が眠っている場所に知らず知らずのうちに連れて来てくれたんです。発見したのは三〇〇年前、偶然です。そして我々が持っている最古の歴史書は約一二〇〇年前のもの。つまり、これは最低でも一二〇〇年前からここに眠っていたんです」


「一二〇〇年?!嘘だろ、どうみても最新鋭の戦艦だってホラ吹いても騙せるレベルのものですよ!?」


エアルの言う通り、現代の飛行艦とも引けを取らない程の見た目、そして技術が目に見て取れた。


「でも事実なんです。更に言えば、この艦は生きているとも言えます。当時発見したときはもっと損傷が酷かったんです。おそらく不時着して負ったものでしょう。それが、今日にいたるまでゆっくりと歳月をかけて自動修復していっているんです。信じられないでしょう。今でさえ、傷ついた機械は人間が修復しているというのに」


「ハハ…ちょっと、タイム。整理してぇです」


情報量が多すぎて、パンク寸前だった。


つまり、技術面で発展していると思っていた今は、寧ろ衰退していると言われている。着きつけられたものだ。なら何故衰退した。


「衰退…昔、戦争でもあったのかしら。戦争って皮肉だけど技術を発展させるイメージがあるけれど、全てが発展するとは思えないし。どこかで最新技術を持っていた属性や一族が、完膚なきまでに叩きのめされた、或いは滅んだ…とかなら、今の現代技術でとどまっているって辻褄はあうかもしれないわね」


「またティア姉が難しいコト言ってる。それよりさぁ!もっと明るい話しようよ!この戦艦、カッコいいよねぇ!いつになったら飛べるの?!私乗りたいな!なんなら操縦もしてみたいかも…それまでに、免許取っちゃおうかな」


どうして操縦したいと言ったのか、マノンは自分でも解らなかった。興味があったのは本当だ。ただ、ふと母のことを思い出した。記憶にない母を求めて。腕の立つ操縦士だったと父から教えてもらったから。

きっと。この戦艦を見たら、イノは真っ先に操縦許可を要望しただろう。

そう思ったら、思い付きで口に出ていた。

両親が遺してくれたペンダントを服の上から握りしめた。


「いつ飛べるようになるかは解りません。ただ、艦内は案内できますよ。そして、是非マノンさんに見 ていただきたい物もあるんです」


「私に…?」


モアを除いた五人が、艦内を探索する。


戦闘をするため、というより、高級マンションのようだった。喚起はしているらしいが、埃っぽさは残っている。

艦内は暗いので、懐中電灯を持ち歩き出す。


「ねぇ、電気って点かないの?」


「残念ながら点きません。点けるならパンタグラフに電気を通さないと。でもそれは、作業時のみなので、今は」


「そっか」


一家が住める部屋がいくつもあり、遊戯室、食堂、スーパーマーケット、室内庭園と畑。訓練場に武器整備室。


「なんか、思ってたんと違う」マノンが期待外れの様に言う。


「何を想像して乗り込んだんだよ」呆れるエアル。


ただでさえ超が付くほどの貴重な戦艦に乗せてもらえているのに、ガッカリするマノンが理解不能だった。


「だってさぁ、こう、戦艦っていうから戦う操縦室とか部屋がいっぱいあるのかなって」


「もちろんありますよ。でも、見てのとおり、居住区間としてのほうが目立ちますが」


「移住民族だったのかね?ルナールの民って」


マノンがガッカリしていると、デウトがナデアを見た。ナデアはデウトの意図を理解したのか、頷いた。


「他にも見てもらいたい場所があります」


連れて来られたのは、戦闘室だった。砲弾、レーザーガン、その他武器が内部に搭載されており、必要となれば外部に露出する仕組みとなっている。


「そう!これこれ!こういうの待ってたんだよ!」


マノンははしゃぎ、色々見て回っている。


「嘘だろ…ただの移住用の艦だと思ってたのに…」


「えぇ…私も動揺しています」


エアルとヘスティアの困惑する姿を見て、マノンはクエスチョンを掲げる。


「どうして?戦艦って言われてるんだから武器があったって変じゃないよ?」


大砲に隠れていたマノンがひょっこりと顔を出す。


「マノン、よーく思い出してみなさい。私達が乗っている飛行艦に武器なんて搭載されていないわよ」


「まあ、居住用だし」


「軍の戦艦も武器は搭載されているが、あれは兵器としての艦だ。居住エリアがこんな充実なんかしてねぇ」


「…それって、美味しいとこ二つ取りしてるってこと?」


いまいちピンとこない。


そんなやりとりに、デウトが可笑しそうに小さく笑った。


「違いますよ。お二人が言いたいのは、この戦艦が可笑しい、ということです。移住或いは居住用に武器なんか必要ありません。でも戦闘用だったら武器は絶対不可欠です。でもここまで普通に暮らせるほどの設備は付けません。まぁ、現代での話ですけど。でもそれに則ると、昔は戦いながら生活し、移動を繰り返していた。または‘敵’から住民を守るために市民と軍人が共同生活を送っていた。私はそう仮説を立てていますけどね」


「…言われてみれば」


この巨大さ、そして不自由のない生活エリア。そして戦える充実した武器。


何にも不思議に思わなかったが、言われてみれば変な構造になっている。大昔のことだから、昔はこれが普通だったと言われれば終わりだし。だけど長年を生きているデウトでさえ可笑しいというこの戦艦の造りは、やっぱり‘普通’とは違うのだろう。

我々の知らない祖先が、何を目的とし、こんなトンチキな戦艦を造ったのかは知らないけれど。


「…敵に追われてたんかね。で、皆で移住しよう!みたいな」


「そうかもしれませんし、違うかもしれません。どれも推定で憶測の範囲から出ませんがね。さ、ブリッジの方へ行きましょう」


案内され、ブリッジに到着する。


「すご…」


今はまだ洞窟の中だが、それでも解る。この高さと窓からなら、どんな景色が一望できるか想像がつく。


「これを見てください」


壁に一枚のプレートが固定されていた。


「何て書いてあんだ?」エアルが首をかしげる。


現代の文字ではない。古代文字というやつだろうか。

三人が吟味していると、ナデアがすっと割り込んできた。


「ここには、こう記されています。メイヤーズ家女王より、ランドルフ家へ寄贈する。1414・9」


「ナデア、読めるのか?」


「ここに書いてある全部じゃないからね?!ただ、やっと解明できたのがメイヤーズ家とランドルフ家の文字と、贈るって単語を寄贈って訳してるだけ。あとの数字は寄贈日じゃないかって憶測だよ」


「すげーな、お前…」


「デウトさんが持ってる歴史書を見て、十年以上かけて解読できたのが三単語くらいって、悲しいよ」


そうなると、この当時メイヤーズ家はネイサン家と別々である可能性が出てきた。そして現在、メイヤーズ家はネイサン家の親族として扱われているが、どちらかというとスキル・タイムパラドクスではなくスキル・ヒール所持者が追放という形でメイヤーズの名を授けられている。実際、ミラの父親がそうだった。


「あの、現在のメイヤーズ家は俺達と変らない一般家庭です。デウトさんの時代はどうだったんですか…?」


「私達が生きていた時代では数少ない希少スキル所有者として優遇されていましたよ。ですが…噂では、ここ数百年発動者がいないとか」


「そう、ですね」エアルが濁す。


「ミラちゃんも発動していないの?」ナデアが訊く。


「あぁ。本人はスキルが使えなくても努力してるよ。まぁ…気にしてないって言ったら嘘になんだろうけど。寧ろスキル頼りになってない、一番の努力家かもな」


「そうなんだ」


ナデアが微笑んだ。


「本当ならね、この女王の名前も書かれてるはずなんだ。でも私にはまだ読解できなくて。ほら…私達が知ってるメイヤーズ家ってさ、どこかつまはじきにされてるっていうか、ネイサン家の出来損ないが追い出されて与えられた名前って印象が強いじゃない?だから…遅いかもしれないけど、ミラちゃんの祖先様は、女王で、ネイサン家とは別だったかもしれない。何か訳があって統合されたけど…昔は立派だったんだよって、伝えたいなって。お節介だけどね」


「いや、お節介じゃねぇさ。もしかしたらこの女王様もミラみたいに思いやりがあって、統治下にあった人々を想ってランドルフ家にこの戦艦を贈ったんだろ。ミラにしっくりくる」


エアルの言葉に、ナデアははにかんだ。


そんな会話をしていたとき。


マノンはプレートを見ながらぼんやりと考えていた。


ランドルフ家はネイサン家の隠密のような仕事をしていたから、こんな巨大な艦を貰って移動をしていたんだろうと。そして顔も知らない、メイヤーズ家女王を想像しては好奇心を刺激していた。


(どんな女性だったんだろう。やっぱりミラみたいに黒髪でロングヘアだったのかな。豪華なドレスとか着てたのかな。王冠?それともティアラ?スキル・ヒールが使えて…。もしお話しできるなら、ミラに教えてあげてほしいな。どうしたら発動できるのかとか。夢枕に立ってくんないかなぁ。あれ、汚れが付いてる)


錆なのか、埃なのか暗くて解らないが、拭おうとして指で触れた瞬間。


バチバチと黒い火花が散り弾ける。


「うわあああ!」


「マノン!」


ビックリして尻餅を突いたマノンの下にエアルが駆けつける。


「大丈夫、マノン!?貴女、一体なにをしたの?!」


「わ、解んない!汚れが付いてたから拭おうとしたら急にバチッて静電気みたいなのが走って」


ヘスティアがマノンの指を確認するが怪我はしておらず、とりあえず胸を撫で下ろす。


「きっと。主が戻って来たと思ったのでしょう」


「へ…?」


マノンの情けない声。


「私が見せたかったのはこのプレートです。マノンさんがランドルフ家の末裔だと知り、考えた上で見せることを決めました。今火花が散ったのも、きっと偶然ではありません」


「なんか、よく解んないけど…悪い事に繋がらなければなんでもいいや」


マノンは立ち上がると尻をパンパンと叩いた。


「あの、デウトさん。余計なお世話かもしれませんが、俺の知り合いに腕の立つ金属性の技術者がいます。彼等の協力を得れば、修復作業も早くなると思います」


「ありがとうございます、エアル君。ですが…正直な話、君達をこの村に連れてくるかどうかも少なかれ揉めた村なんです。ましてや、無属性以外が来るとなると…」


「あー…、なるほど」


「ですが、考えておきます。前向きに」


「じゃあ、気が向いたら連絡してください。きっと、彼等もすっ飛んで来てくれますよ」



マノンとヘスティア、ナデアは先に戦艦から出る。


出入り口付近で、エアルはデウトを止めた。


「エアル君?」


「貴方に許可を貰いたいことがあるんです」


「私に、ですか?」


「はい。もしかしたら、裏切りだと思うかもしれません」


「まずは聞かないと何も言えません。聞かせてください。エアル君が何を考えているのか」


「…俺はティアマテッタの軍から依頼されて各国を調査しています。そしてマルペルトの事件で偶然的にこの村に辿り着いてしまいました。依頼者からは全てを報告するように言われています。だけど、俺は貴方に恩を仇で返したくない。デウトさん…ここでの話を、依頼者に報告してもよろしいでしょうか。内密にするのであれば、俺はここでの出来事は一切話しません。口を割ることもしません。例え拷問を受けたとしても」


エアルの突然の告白にデウトも驚いた。


偶然、マルペルトにいたわけではないらしい。


しかし、律儀な男だ。わざわざ報告する権利を自分に委ねるのだから。昔、何人か偶然迷い込んだ人間がいたが、彼等は新大陸発見とでも言わんばかりに混血の村を世間に公表しようとした。だから、消した。この手で。


「エアル君に任せます。エアル君が信頼する人であれば…きっと、ここの秘密を守ってくれますよね?もしそれで不審な人物が来ることがあれば。その時は、私は君を始末しに行かなければなりません」


「ありがとうございます。そうならないことを願います」


ナデアが二人を呼ぶ声が反響する。


「さ、帰りましょう」


「はい」



明日、また修業が再開されることを伝えられ、三人は宿舎に帰った。


あの戦艦について語りたいことは山ほどあるが、無暗に口にすることは許されない。


宿舎に戻ると、多目的室からベガの店に在籍していた子供達がわらわらとタブレットを持って出てきた。


「あ、あん時のお姉さんや!こんばんはぁ」


「はい、こんばんは。勉強会ですか?」


「そうなんよ。先生だけじゃなくて、ここの村の人もおしえてくれるんね。知らんことがいっぱい出てきて、みんな大慌てしてます」


独特な訛りは健在で、なんだか急にマルペルトでのことが懐かしく思えた。


「知らないことを知ることは良い事よ。知りたいを沢山見つけてください」


「ありがとうございます!」


お辞儀をすると、もう一人が多目的室から出てきて、はよ行こうと急かし、はしゃぎながら借りている部屋まで戻っていく。


「よかったね、みんな慣れ始めてて」


「えぇ。私も負けてられないわ」


ヘスティアは改めて思い出す。幼いころは強くなれることが楽しかった。今は強くなることに脅迫的になっていることを。あの子達を見て、忘れていたことが蘇る。



ティアマテッタにて…

ミラが玄関口の掃き掃除をしていると、ゾーイとマシューが遊びに来た。


「ミラさん、こんにちは」


「久しぶりに顔を見たくなって来ちゃいました」


「二人とも久しぶり!一ヶ月の訓練、お疲れ様でした」


「ミラさんの救助班での活躍で私達も助けられました」


「今リアムも呼ぶから、ちょっと待っててね!」


ミラが玄関からリアムを呼ぶ。リアムはまだ疲れが取れていないのか、どこか冴えない表情だった。


「久しぶりだな」


「あら、とっても酷い顔だこと」


ゾーイの嫌味。


「仕方ないよ、リアム君大活躍だったんだから!」


マシューが目を輝かせる。


そっか、リアム大活躍だったんだ


玄関先で和やかな談笑が始まる。その時、ティアマテッタに大きな影が覆う。


「なんだ?」リアムの顔が険しくなる。


そこには、エアル達が混血の村で見た飛行戦艦が浮上していた。ゆっくりと進行している。


「敵襲かもしれないわ!急いでハンプシャー少佐に連絡しないと!」


ゾーイがマジックウォッチを通話にした時だった。


「その心配はないよ!」


「その声は、マノン?!」


ミラが叫び、皆は辺りを見回す。


「トロープス!」


その掛け声と共に、マノンは巨人化し、軍服を可愛くアレンジしたノースリーブ、ミニスカートタイプの制服。そして腕と膝下にはデウトのアーマースーツに似たモデルの装備が。


「マ、マノン?!なんだよアイツ。一体どんな修行してきたんだ?!」


リアムが目を丸くする。


「いくよ!ファイナルフローズンスターダスト!」


マノンの必殺技を放つと、戦艦に見事命中し、墜落していく。


「まさか、やっつけたの?」マシューが唖然とする。


「す、すごいよマノン!一体どれだけ強くなって帰って来たの!」


ミラが歓喜の声を上げる。


「あぁ、たまげたぜ。マノンが居れば、アマルティア壊滅どころか、レイラ達の救出だって簡単だ!」


あれ、今ってレイラ達が捕まってる事って、リアム達に教えてたっけ。


ていうか今、いつだ?


リアム達を見下ろすと、徐々に声がくぐもって聞こえてくる。


そして身体が歪み、ドロドロとしながら巨大化していく。


「え?へ?」


そして自分よりも大きくなり、泥の様な状態だったリアム達はエアル、ヘスティア、デウトにナデアと変貌を遂げる。


「あ、皆!」


「マノン!傷つけたら弁償代が半端ないって言ったよな!それなのに折角完成した戦艦を追撃してどうするんだ!」


「マノン、どうしていつもお転婆なの!今回はお転婆では済まされませんよ!あれは古代の貴重な遺産なんです!」


「そうです!もし謎が解明されれば、現代に大きな発展をもたらせる兵器であり古代文字なのに…!」


「私達の三〇〇年、返してください!命を賭け永い間修復してきたのに、貴女は一瞬で破壊した!」


四人から一気に怒鳴られ、マノンはしゃがみ縮みこむ。


「あぁ、あぁ…ごめんなさい、怒らないでェ!」



「ギャアア!」


飛びあがるように起きると、そこは宿舎の部屋だった。隣のベッドにはヘスティアがスヤスヤと寝息を立てている。


「…夢かぁ。よかったぁ」


妙にリアルな夢で、気分が悪いが胸を撫で下ろす。


そして腕をまじまじと見つめる。


「…トロープス、かっこいいなぁ。でもあれってスキル・ガーディアンじゃないと出来ないっぽいし」


氷で防具らしきものは作れるが、アーマースーツのように動ける物とはいかないだろう。ただの一時しのぎ。

手首を動かし、ぼんやりとする。


「そう言えば夢で見たアーマーみたいなのはなんかロボットの腕みたいな感じだった気がする」


ロボット…孤児院にいたとき、おもちゃのなかに何個かあった。手や関節がちゃんと曲がるように球体が埋められているやつや、関節に棒が入り一定の方向にしか動かせないもの。


「…これだ」


マノンは部屋を抜け出すと、宿舎前で何やら模索し始めた。


そして朝を迎える。

70話まできました!これも一重に読んで頂いてる皆さんのおかげです!またまだ物語は続きます。よかったらお付き合い下さい!


原作/ARET

原案/paletteΔ

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