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ETENITY00  作者: Aret
1章・・・旅立ち
21/116

21話・・・ヴェネトラ9

作品を読みにきて頂き感謝です。

オラァ!!!死ねゴラァ!ブス共がぁあ!!!!」


エリーニュはブチ切れ、傷口から血を拭き出しながらも戦い暴れていた。銃を乱射し、短刀でレンとミラを殺そうとする。まず手始めに一番弱いミラを殺そうとした。銃を発射しても外してばかりいて役に立っていない。体術も出来ない、ただのか弱い女。守られてばかりの役立たず。役立たず。


(ティーシ、お前こんな女みてぇになりたかったのかよ!こんな弱い人間なんて生きてる価値無ねぇぞ!!!)


無属性野郎に守られてばかりの弱い女。そんな女が原因となりティーシはリアムに殺された。こんな女が原因でだ。

ミラは対抗しようとしても、銃も外れれば格闘技も出来ず逃げ回るしか出来なかった。銃も初心者向け用で小型に作られているため、短刀を受け止めようにもミラの技術では腕を切られて終わる。


「貴女、自分より弱い人を先に攻めるのは武芸を極める者としていかがなの!」


レンがボディでエリーニュを捕まえると自分の前に引きずり出す。


「テメェにも攻撃してただろぉ!」


「お黙り」


レンは鉛に性質を変えた鈍器製の靴でエリーニュを思いっきり蹴飛ばす。


「ガッ…!」


よろめき跪いたエリーニュは屈辱で堪らなかった。ずっと四姉妹で貢献してきた。人間だっていっぱい殺してきた。四人でいれば無敵で最強だと思っていた。なのに、今はどうだ?お上品で澄ました顔の女にコテンパにいいようにやられて、縛り上げられて、跪かされて…!


「ウザイ、ウザイウザイウザイ!ウザイんだよ、このブス!!!!!!」


エリーニュはレンの足首を掴むとスーツに魔力を供給し、氷で自分の手とレンの足首を結合させた。

レンは鞭を使い、氷を破壊しようとするが間に合わなかった。


「死ねぇええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」


エリーニュがレンの足元に魔弾を撃つと鋭利な氷柱が何本も生えレンの体を突き刺し、貫く。


「っぐ…!」


レンの肩と腹に氷柱が貫通し、太ももや二の腕、頬、背中に刺さり、抉り、動けなくする。


「レン!!」


「はぁ、はっ…大丈夫ですわ…」


「ククククッ。無属性女…お前、人のこと心配する暇あんのかよ…そうだ、お前を殺すショーでも開催するか?その女と、無属性野郎の前でお前のこと解体しながら殺してやるよ」


にじり寄ってくるエリーニュに、ミラは必死に思考を働かせる。どうしたらいい、どうしたら役立たずにならずに済む。どうしたら、戦えないなりに役に立てる!


「これ以上私に近寄らないで」


ミラは銃を構え、エリーニュに向ける。


「ハハ!どうせ外して終わりだろ!強がるなって」


「解らないよ。…無属性ってさぁ、未知の可能性が秘められていて、無限大の可能性が秘められているんだよね」


「…は?」


これはミラのハッタリだ。少しでも時間を稼ぎ、エリーニュの動きを数秒だけでも止めて、なるべく当たる可能性を上げたい。


「今は魔力を無力化させたりするだけだけどさぁ…ここにいる無属性の皆は相当ブチ切れてるんだよね。もしかしたら、無って言われているだけあって、肉体とかも、死体とかも、まっさらに消しちゃうかもね」


「…何言ってんだ、テメェ」


エリーニュの僅かな動揺をミラは見逃さなかった。自分の発言を馬鹿にしているのではなく、疑心暗鬼になっている。ミラは続ける。


「やっぱり、強くても体がこの世から消えちゃうのは嫌だよね。だったら、他の姉妹と一緒に今すぐこの街から出ていって」


「なに、言ってんだよ…そんな事したら、私達は殺されるんだぞ…逃げるなって、戦えって教えられて、生き延びたいなら、殺せって」


「じゃあ、仕方ないよね。私達も生きるために戦っているの」


ミラは内心、今すぐ逃げてほしかった。そうすればこの子を殺さなくて済むと。

だが、それは叶わなかった。


「戦え、エリーニュ!!!!貴様は戦士として生まれたのだぞ!戦うためだけに生まれた!!!それを放棄するのは、解っているのだろうなぁア!!!!!」


コアの怒鳴り声に、エリーニュの緊張と迷いの糸がついに切れた。


「殺します!!!!この体が消えても、殺してみせます!!!!だから、殺さないでください!!!!!!!!」


錯乱したエリーニュが氷の散弾銃をミラに撃つ。ミラは避けるが直撃する。


「痛い!!!」


「死ぬならお前が死ね!!私達を同情するならお前が死ね!!!私達は戦わないと生きる価値が無いんだぉ!!!!死ね、死ね!!死ね死ね死ね!!」


その時、鞭のボディがまたエリーニュの体を拘束する。


「レン!」


「今ですわ…早く」


衰弱し始めているレンが力を振り絞っている。ミラは銃を構え、慎重に焦点を定める。


「もう少し、上の方にあげて」


「ヘスティアさん?!」


負傷した体で、よろめきながらミラに近付き、そっと手ほどきをする。


「相手を良く見て。撃つ瞬間は呼吸を止めて…ブレないように」


ミラは、覚悟を決め引き金を引いた。


「やめろ、やめろおおお!!!!」


ミラが撃った無属性魔法の黒い球体は見事エリーニュに当たる。エリーニュは悲鳴を上げると、倒れ込んだ。魔力が尽きたのか、レンを刺していた氷柱が消滅する。


「レン!大丈夫?!」


「えぇ、ありがとう、ミラ。さぁ、最後の仕上げですわよ」


レンとミラがエリーニュの前に立つ。


「やだ、死にたくねぇよ…」


レンが鞭を硬直化させ、剣に変形させたときだった。


「エリーニュお姉ちゃん!」


メイラが走ってやって来た。


「め、めいら…!助けてくれ!私、今ピンチで!」


「お、おねえちゃん、アレークおねえちゃん、しんじゃった」


「…は?」


「ねぇ、ティーシおねえちゃんは?エリーニュおねえちゃん、ひとり?」


「そんな、嘘だろ…ふざけんな、ふざけんなぁあああ!!!!」


エリーニュはもう武器を使う余裕もなく、ミラとレンの前髪を鷲掴みし、地面に引きずり倒す。そして力のまま、押し付けた。


「きゃあ!」


「お前等のせいで!お前等のせいだ!お前等のせいで妹達は、」


「ひっ!」


目の前に、エリーニュの頭部が落ちた。ミラは思わず小さな悲鳴を上げた。


ティーシ同様、エリーニュの体もドロドロと溶けていく。


「し、にたくない…はっ、まだ、たたかえる…たたかえる…」


「おねえちゃん」


「めいら…お前は、たたかえ…」


頭部は完全に溶け、液体だけが地面に残り、浸透していく。身体ももう少しすれば完全に溶けるだろう。


「ヘスティアさん…」


体を起こしたレンは、炎に包まれた剣を構え、エリーニュの胴体の後ろに立っているヘスティアだった。ヘスティアの剣は、ゆっくりと炎が消え、赤く光り輝いていた刃も元の黒へと戻っていく。


「ごめんなさい。手を出してしまって」


「いえ…助けてくださり、ありがとうございます」


レンとミラは、結局助けられたことに、自分達が役に立てなかったと思うだろう。だが、ヘスティアは彼女達に人を殺してほしくなかった。レンにもミラにも、普通の女の子でいてほしかった。

そこに、レンのマジックウォッチにジョーイから連絡が入る。


『レンお嬢様、そちらは大丈夫ですか?』


「えぇ、ヘスティアさんにも助けてもらい、ミラさんも無事ですわ。でも怪我をしていますの。こちらにも医者を寄越してください」


平気なフリをしているが、実はかなり無理をしている。実はめちゃくちゃ刺されたり切れた場所が痛い。ここで泣いたら負けな気がした。


『承知しました。すぐに向かわせます。こちらはレイラもマノンも無事ですが、ラードナー家より医者を派遣してもらい、治療をしています』


「お姉様達は怪我を?」レンに不安が募る。


『大丈夫よ!レン!それよりさ、頼まれごとしてくれない?』


「頼まれごと…お姉様のお願いなんて、なんでも聞きますわよ♡」


『じゃあさ…』


レイラがレンに何やら説明しているとき、ヘスティアはレイラ達の無事も知り、安心したのか、魔力が切れ、体力も限界だったのか崩れ落ちた。


「ヘスティアさん!」レンが駆け寄る。


「大丈夫ですか?」ミラが支えようとするが、背中に火傷に思わず息を飲み、代わりにそっと手を握った。


「えぇ、なんとか。それより、彼等の方よ…」


ヘスティアの視線の先には、コアと戦うリアムとエアルがいた。



コアは大剣を振るい、爽快に暴れていた。エアルの魔弾を裂き、リアムの刀剣と交え、二人が同時に攻撃してきても正面から受けて立つ。そして無属性魔法の攻撃に当たり、魔力が吸収されていっても腹の底からまた湧く感覚がし、完全に枯渇することが無かった。

大剣で切り裂き、リアムが刀剣で受けるが力で負け、吹き飛ばされる。地面に叩きつけられながら工場の壁に衝突する。


「うがぁっと!あー、イッテェ…あ、刀剣が!」


刀剣に罅が入り、リアムがそっと触れるとパキンと折れた。


「あ、あ…あぁ。あー!!クソゴリラ!!ぜってぇ許さねぇぞ!!!」


リアムは銃に戻すと、魔弾を発射する。


「ハハハ!今度はもっと鍛えられた刀を使うんだなぁ!」


コアは大剣を振り、木を生やし襲い、時には拳で殴ろうとしてくる。もはやこれが戦闘と言っていいのかは解らない。ただ、最強の頂点を見据えた男が暴れ狂い楽しんでいるだけにも見えてくる。

エアルは接近をしたくても苦戦する。魔力消費を抑えるために銃弾でコアを仕留めようとするが、大剣で弾き返され、上手くいっても掠る程度しかいかない。無属性魔法は人を殺せる力は無い。


(クソォ!魂まで吸い取る力があったら最高だったのになぁ!)


もしかしたら無属性魔法のブーストは命を吸いとるのでは?!と妄想までし始めた。


「ダメだわ…エアル、完全に余計なコト考え始めてる」


「え、解るんですか?」ミラが尋ねる。


「まぁ…あれは明らかに気が散ってる。動きにムラが出来てる。仕方ないわね。レンさん、その鞭に魔力を供給できますか?」


「え、えぇ。もちろん!」


レンは鞭を握ると、魔力を供給し始める。


「ある程度供給が終わったらリアムさんに投げて。お願いね」


そう言い残すと、ヘスティアは力を振り絞り、また戦いに戻っていく。


「ヘスティアさん!あぁ!なんでこの世界に治癒魔法ってないんだろう!」


ミラはもどかしくて頭を掻きむしる。


「文句を言っても仕方ありませんわ。誰が挑んでも到達できないのが治癒魔法なのですもの。その代り医学は発展しているのですから。魔法と文明の共存ですわね」


「うん…そうだよね」


ミラが見守っていると、ふと後ろの気配に気が付く。

メイラがどうすればいいのか解らず、突っ立っているのだ。メイラは指示待ち人間というわけではない…が、自分の意志が湧かない以外は殆ど姉達やコア達の言う事だけを聞いてきた。今はもう迷子状態だった。


(よく見ると、マノンと同い年くらいじゃない…そんな子達を、戦争に利用していたの?黄昏の正義は)


ミラは腹が立ってきた。彼女達がどういう生い立ちかは知らない。だが、エリーニュの叫びを聞く限り、戦争しか知らない様子だ。


「ねぇ、独りなら、私達と来る?」


「…え」


メイラは困った。どうすればいいのか。アレークからは生きてほしいと言われた。エリーニュからは戦えと言われた。そして、


『帰ってくるんだよ、姉妹達…』脳裏に、声が蘇る。


「か、帰らなきゃ」


メイラは走り跳び、エルドの方へ向かっていった。



「エアル!何気を散らしているの!」


「ヘスティア?!お前戦って大丈夫なのかよ、相当体キツイだろ」


「誰のせいでまた戻って来たと思っているんですか!」


「それはっ!悪かったな…」


「来ますよ!」


コアが飛躍し、二人の間に大剣を振るい落とす。ブオンと風を切る音と、地面がパックリを抉る鈍い音が鳴る。


「ヘスティア!戻って来たか!」


「俺もいるぞ!」


リアムは背後から魔弾を撃ち、コアが大剣で相殺する。が、ヘスティアが剣を翳しコアの首を狙うが、腕で受け止められてしまう。腕に剣が食い込み服の上からでも解るほど血が滲んでいるのに、コアは微動だしなかった。


(コイツ…!本当に人間なの?)


エアルがコアに向かい魔弾を撃ち放つ。同時にヘスティアは剣を引き、コアの腕を斬る。感触的に骨の近くまで断った気がしたが、それでもコアは痛みを上げることもせず、黙り、仁王立ちをしている。

三人は不気味に思い、距離を取る。

すると、コアが淡々と喋り出す。


「俺は今、とても楽しい。この時間が永遠に続けばいいと願うほどだ。だが、残念ながら魔力がそろそろ尽きようとしている。だから、これで終わりにしようと思う」


するとコアの魔力が一瞬、体全身を包み込み、腕に集中した。


「オフェンス!」


「なっ!」


コアは拳を地面に叩きつけると、地割れが置き、四方に亀裂が生じていく。


「エアル兄、ヘスティアさん!」


リアムとの間に亀裂が入ってしまい、跳んで渡るにも距離がありすぎた。

エアルはミラとレンの方を見ると、二人は一緒に地割れに耐え、危険な場所からは離れていた。それを確認するとひとまずは安心した。


「秒数が持たん。あと二十秒で貴様らを仕留める」


「別れるぞ、ヘスティア!」


「わかったわ!」


二手に分かれるが、コアの狙いはヘスティアへ向いた。


「まずはヘスティア、お前からだ!」


「っ!」

剣を振りかぶりヘスティアと衝突する。しかし圧倒的な力でヘスティアは耐え切れず倒れてしまう。

そしてコアは倒れたヘスティアを思い切り蹴飛ばした。ヘスティアは十数メートル飛ばされ、地面にバウンドすると倒壊した建物に衝突し崩れ落ちた瓦礫の下敷きになる。


「ヘスティア!!」エアルが青ざめ叫ぶ。


「ヘスティアさんのことは任せて!レン、ここで待ってて」


「ミラ、危険ですわ!」


「レン、大丈夫だから…」


ミラが言いたい事が、瞳からレンに伝わってくる。レンは黙ったまま頷く。ミラは急いでヘスティアの元へと駆け寄る。


「次はリアム、お前だ!」


「とっとと来いよ、クソゴリラ!」


リアムは魔弾を撃つがコアに相殺される。


「もっと暴れよう、リアム!!!」


コアはまた拳を地面に叩きつけると、また地割れが起き、最悪なことに、木の根がにょきにょきと枝別れし暴れ、地震の様に常に揺れ始める。


「またかよ!」


「気をつけろ、リアム!」


リアムが銃で撃ち、木の根を破壊するがまた再生し生えてはリアムを刺し殺そうとする。


「リアム、余所見はけしからんぞ!」


「うわっ!」


横から大剣を振られ、咄嗟に銃で受け止める。リアムは押される。そこに地面が急に盛り上がり、リアムの足場を不安定にさせる。


「なんだ?!」


巨大な木の根が現れ、持ち上げられたリアムを振り落とす。落下したリアムは受け身を取る。


「こんなどっから生えるか解らねぇ木に振り回されんのかよ!」


その時だった。

一羽の鷲が急降下し、リアムに鞭をぶつけた。


「イタ!は…レンの鞭か?」


「リアム、それで応戦しなさい!」


「お、おう!」


コアが頭上を見上げると、複数羽の鷲が旋回していた。


「何故鳥が?」


ピー、と金属の笛の音がすると、旋回していた鷲の群れが急降下、コアとエルドに足に持っていた小袋を投げ落とす。

レンがマジックウォッチで起爆スイッチを押すと、小袋が爆発する。


「うわっ!なんですか、この鷲の大群は!」


エルドは爆破を避けるため腕で顔を覆う。


「ラードナー家で飼育されている鷲ですわ。この子達、情報支援も攻撃支援も訓練されていますのよ」


「…嫌なお嬢様ですね」


エルドは空に向かい魔弾を放つと、火球が弾け、大粒の火の粉が辺り一面に降り注ぐ。

レンは鷲の群れに回避指示の音を鳴らす。


「余計なことをするな、エルド!」


すると、コアの体を鞭が拘束する。


「金属性魔法、効いてくれ!」


自分の銃以外での武器での他属性魔法を使用するリアムは、ちゃんと発動するか不安だった。だが、それも杞憂に終わる。

リアムが魔力を供給すると、レンが溜めこんだ金属性魔法が発動する。ボディから無数の巨大な棘が生成され、コアの体を刺す。


「っぐ!」


『オフェンス。ノコリ五ビョウ』


コアは口から血を吐きながら、鞭の棘に刺されると解っていながら、ボディを掴む。


「リアム、俺を捕まえた事を後悔するがいい!」


「な!」


眼にも止まらぬ速さでボディを伝い枝と棘がリアムを拘束する。そしてリアムが言葉を発する前に力ずくで引きずり上げ、力の限りリアムを地面に叩きつけた。


「ぐあっ…!」


リアムは衝撃で一瞬記憶を飛ばす。全身を殴打し、悶え痛む。


「エ、エアル兄…にげろっ」


「リアム!」


「最期はお前だ、エアル!!!お前を倒したら、全員ちゃんと殺してやろう!!!」


エアルは魔弾を撃つが全てコアに相殺される。


「クソ、リロード!」


「エアル、終わりだぁあ!!!」


大剣と銃が激突する直前だったろうか。

エアルの視界はスローモーションのように見えていた。


(考えろ、考えないと、リアムもヘスティアも、ミラ達も殺される。ここで俺がコアを仕留めないと、全滅するんだぞ、エアル・アーレント!リアムとミラの両親が殺されたとき、誓っただろ!俺が死んだら誰がアイツ等守ってやるんだよ!守れ、守るんだ、死んでもコアを道連れにしろ!!エアル・アーレント!!!)


エアルのスローモーションの世界が、真っ白な光で覆われた。


『エアル・アーレント。覚醒ヲカクニン。固有スキル、クラスブーストカイシ。カウント三十、二十九、』


エアルが銃を撃つ。


黒い球体ではなく黒い火炎のような稲光を解き放った。


「グアアアアアアアア!!!」


それを間近に受けたコアは、体から煙を上げ、口からも煙を吐いていた。コアは膝を尽き、白目で気絶している様だった。

エアルは攻撃の手を止めない。コアの顔面に膝蹴りを食らわせ、そのまま口の中に銃口を入れる。そしてそのまま引き金を引いた。

コアの身体が痙攣し仰け反った。


「あれが奴の無属性魔法固有スキル…!あれ以上続けたらコアが死ぬ!」


エルドは魔弾を撃とうとエアルに標準を合わせるが、それよりも早くエアルがエルドに向かい魔弾を放った。距離があったため受ける寸前のところで避けたが、右腕が魔弾に当たる。すると右腕の感覚がなくなり、銃を落としてしまう。


「一体…」


『マリョク、ゼロ。退避スイショウ。退避スイショウ』


エルドのマジックウォッチが警報を鳴らす。


「ッチ、たった一撃で魔力消失…メイラ、転送装置の用意をしろとあの方に、」


「ここまでやりたい放題しておいて、タダで帰すと思わないでくださいませ。磁力魔法!」


レンが即興で作った大型のシリングショットに、金属性で作られた球体があった。それをゴムの限界まで伸ばし、焔と大樹の柱の中へ発射する。すると、エルドとコアが金属の球体に吸い寄せられるように柱の中へ引っ張られていく。


「あの女…!まさか!」


気づかぬうちに、あの鷲共が爆撃に紛れて魔力を供給された金属片を服に着けていたとしたら…

遠くの方で、鈍い光が輝くのが見える。

「この街を破壊した罪、死刑に値するからね」

あらかた治療を受けたレイラが、コング砲を構えていた。



「全員退避!可能な限り爆風に負けない壁を生成しろ!マスタング商会と協力し早急に準備しろ!」


「レイラ様から最終攻撃開始の合図あり!全員退避!」


ラードナー家の厨房を借りていたマイラが外の慌ただしさに不安を覚える。そこに、レン専属とメイドが目にも止まらぬ速さでマイラの元へ走って来た。


「あの、」


「マイラ様、ご無礼失礼します」


メイドにされるがまま、しゃがみ込まされると、メイドが覆いかぶさって来た。その瞬間、立てない程の地震が街を襲った。



レイラがコング砲を焔と大樹の柱に向けて発射した。柱は砲弾を呑み込むと、花火のような火を上げ大爆発し、街全体を爆風で呑み込んだ。


「ぐっ…!」


リアムは力が入らず爆風に巻き込まれるが、エアルがキャッチし、建物の影に避難する。


「エアル兄、大丈夫か?!」


「あぁ」


しかし、エアルの様子がおかしかった。瞳にどこか紫のような輝きを秘め、エアルだけど、違う人のようだった。


「ミラ、大丈夫?!」


レンがミラと気を失っているヘスティアを囲うように金属の壁を作り爆風から身を守る。

「うん!でも、凄い風…!」壁があっても、油断すると吹き飛ばされそうだった。

何分だ。いや、数秒かもしれない。爆発が落ち着き、ミラ達は立ち上がる。


「…リアム、大丈夫かな」


そのリアム達は無事だった。瓦礫や木屑が降ってきたが、振り払う。


「エアル兄、助かったよ、ありがとう。エアル兄、凄かったぜ!いつの間にあんな凄い力身に付けたんだよ!」


リアムは全身痛くてしょうがない身体を無理して動かす。

すると、エアルがハッと我に返り、慌てだす。


「リアム、無事なのか?!怪我は!ヘスティアは?無事か?!」


「え、あ、あぁ…何言ってんだよ、エアル兄が助けてくれたから無事でいるんだよ…」


「は?いや、そうか…」


「?エアル兄、大丈夫か?」


「いや、大丈夫じゃないかもな。記憶喪失かも。それより、コアは?!」


リアムとエアルは影から出ると、爆発のせいで更地になった光景が広がっていた。


「これも、俺が…?」


「いや、違う。これは多分レイラ」


そうか…。とエアルはかなり安心した。もう変な汗が出て止まらない。

爆心地に、金属の大きな球体があった。その球体が解かれると、中からコアとエルドが現れた。


「貴方達のせいで散々な目に合いましたよ。この借り、絶対に返します」


「いらねーよ」


「エアル。今回の勝負、お前の勝ちだと認めよう…だが、命までは奪えていない。次は必ず命を賭けて戦おう。ヘスティアにも伝えてくれ」


「断る。もう二度と会うもんか」


リアムは、エアルからあんなに猛攻撃を食らい気絶までしたのに、たったの数分で目を覚ましていたことに驚愕した。

だが、コアとエルドも最初会った時より、ボロボロになっているのがハッキリと解った。


「メイラ」


エルドが呼ぶと、メイラが跳び羽根駆け寄ってくる。


「準備できてます」


すると空間が裂け、そこにコア達が入っていく。リアムは、自分と同期した武器転送と同じ仕組みで困惑した。


「我々も時間ですのでこれで帰還します。もう黄昏の正義ともつるまないでしょう。あとは煮るなり焼くなり、お好きにどうぞ」


エルドが「さようなら」と挨拶をすると、裂け目は閉じた。

リアムとエアルは立ち尽くした。


「…勝った、でいいのか?」リアムが不安そうにエアルに訪ねる。


「いや。良くて引き分けだな。俺の中じゃ、負けに入る」


「そっか」


リアムは悔しくなって頭を掻いたら、小石や土がポソポソと出てきた。


「はは!リアム、髪が白髪みたいになってるぞ。こりゃシャワー借りなきゃだな」


「エアル兄だって同じようなもんだろ。シャワー使えるのかなぁ」


「おーい、リアム、エアル兄!大丈夫?!ヘスティアさん、眼が覚めたけど動けないの!大丈夫そうなら手伝ってくれない?!」


ミラに呼ばれ、二人はひとまず終結とし、三人と合流し、レイラ達が、そしてマイラ達が待つマスタング商会へ向かい歩き始めた。


次話、ヴェネトラ編完結です。

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