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ETENITY00  作者: Aret
4章・・・不調和
112/113

109話・・・アマルティア激突3

作品を読みに来て頂き感謝です!

ナノスの登場に、ティアマテッタ軍は一斉に銃口を向ける。スキルはタイムパラドクス。一体どんな攻撃が来るのか、その場にいた面々は静かに汗を流した。

ナノスはそんなティアマテッタ軍を気にも留めず、辺りを見渡す。そして品定めを始める。


「うーん。エルドは妹さんと彼と彼、で良さそうだね」


彼と彼、とはエンキとユーリを指さす。


「一体何を考えているの!?」


ヘスティアが剣を構える。しかし、ヘスティアの言葉なんか聞こえていないようにナノスが両手を広げ、声を高らかにする。


「それじゃあパーティでも始めようか!」


ナノスは杖を上に突き上げると、白い光の柱が現れる。


「警戒しろ!」エンキが叫ぶ。


全員が身構え、互いの背中を守り合う。が、その行動が無駄だと思い知らされる。

一瞬だった。


「うわぁ!」


ユーリの身体が急に浮かび始める。同時にエンキ、ヘスティアを飲み込んでいく。


「ヘスティア!」


「ティア姉?!」


エアルとマノンが叫び、助けに行こうとするがアマルティア兵に妨害され、間に合わない。辺りを見渡すと、次々に兵士達が光の中へ取り込まれていく。アマルティア兵は、そんなナノスに敬礼し、光の中へと消えていく。まるで崇拝しているみたいに。


「それではナノス様、行ってまいります」


「うん、楽しんでおいで。だけど殺しては駄目だよ?みんなを実験サンプルにするんだから」


「はっ」


エルドが自ら光の柱に入ると、どこかへ姿を消す。


「ソイルは因縁相手のモルガンがいないね。じゃあ部下であるブラッド・ウォーカーと…あの火属性の子の相手でもしてあげなさい」


火属性の子…ブレイズを指さす。


「かしこまりました、ナノス様。ご期待通り生け捕りにして帰ってきましょう」


「なんだと?!大尉!」


「俺から離れるな、ブレイズ!」


二人も光の中に取り込まれる。


「ブラッド大尉!」


リアムが叫ぶも、「任せたぞ」とだけ口が動くのを目視できただけだった。

周りがどんどんと飲み込まれていく中、コアがナノスに直談判しに来る。


「俺の相手を選んでもいいだろうか」


「コア!勿論さ!どれがいいんだい?言ってごらん?」


「アイツと、アイツの二人を頼む」


指定されたのはエアルとシレノだった。シレノは睨みつける。


「コア…丁度良かった、僕もお前に用事があったんだよ!」


「シレノ、エアル。どれだけ成長したか見せてみろ!」


コアが豪快に笑うと、三人は光の中に消えていった。


「一体何をした!」


リアムが叫ぶと、ナノスは飄々として答える。


「大丈夫、大丈夫。そんな怒らないでよ、リアム・ランドルフ。こんなごちゃごちゃしたところで大事な幹部を戦わせるなんて可哀想だろう?安心して心置きなく戦える場所に連れて行ってあげただけだよ」


「何だと!」


リアムは頭に血が上り、ナノスに銃撃を試みるが、金属の板が突如ナノスの前に現れて阻害されてしまう。


「そういきるなよ。もっと楽しんだ方が良いぞ、リアム」


ナノスは目元を細める。そして次々とティアマテッタ軍、アマルティア兵をどこか別の場所へと飛ばしていく。

そこに、ヒールの音をやけに鳴らしながら近づいて来る人物がいた。


「ナノスゥ。早くわたくしの相手も決めてくださらない?退屈で死んでしまいそうですわ」


「それは困ったねぇ、麗しきお嬢様」


レンが現れたのだ。リアム達は愕然とする。


「レン…?お、脅されているのか?!レイラ達のために、アマルティア軍に身を置いているだけだよな?!」


リアムが叫び呼び止めるが、レンは蔑んだ瞳で一度は見るが、無視する。

レンは後ろからナノスを抱擁すると、蠱惑的に舌なめずりをする。


「レン、君が好きなのを選んでいいよ」


「本当?だったら…マノンがいいわ。マイラに似ているしね。いじめ甲斐がありそうだし。そうね…残っている女達を引き受けても構わないわ。はぁ、これから戦えると思うと、昂ぶって体が火照っちゃうわ…」


至高の笑みを見せるレンに、マノンは引いていた。何故なら、知っているレンじゃあないからだ。どこか壊れていて、あの日一緒に居たレンは、もういない。


「レンが…可笑しくなっちゃった」


「気を緩めちゃダメよ!」


ゾーイの言葉に、マノンは我に返る。


「そうか…マノン、君はネストの子供か。混血だけど強いのには興味があるね。レン、任せるけど殺しちゃあ駄目だよ。絶対にだ」


「ぜったいに、ね。いいわよ。その代わり、ご褒美は頂戴ね?」


レンの唇が艶めかしく動く。

ナノスがまた杖を振るうと白い光が現れる。


「呪いを受けた無属性のおばさんも連れて行こうか。頼んだよ、レン」


「えぇ、任せて。はぁ、やっと戦える…!わたくし、この時をずぅっとずっと待っていたの!ときめきが止まらないわ!約束、ちゃんと守ってね?」


レンはナノスの顎に沿うように指を滑らせる。


「仰せのままに、お嬢様」


その答えに、レンは笑みを見せ、ナノスの頬にキスをした。


「本当に、レンなの…?私の知っているレンじゃあないよ!」


レンの行動に、マノンは混乱する。


「マノン!逃げるわよ!」


ゾーイの言葉に、マノンは光が迫っていることに気が付く。ゾーイと二人で走るが、それよりも早く、光の中に飲み込まれ、どこか知らない場所へと送り込まれる。

レンは四姉妹を連れて行くと、光の中へ消えていく。


「さて。残りの雑魚は放っておいてもいいだろう。残ったのはリアムとデウトの二人…君たちの相手は僕だよ」


リアムとデウトは武器を構える。


「デウト、先に言っておくね。僕の祖先が呪いをかけちゃったみたいでごめんね」


それは謝罪にもならない、面白いものをみたかのような戯言だった。


「願ったり叶ったりです。お前を倒せば何とかなる!リアム君、覚悟はいいですか?」


「はなっから覚悟は決まってます!こいつを倒すために今日まで来たんだ!」


両親の仇を取るために、軍に入ったのだ。この日を、何年も待っていたのだから。


エルドVSヘスティア、エンキ、ユーリ

コアVSエアル、シレノ

ソイルVSブラッド、ブレイズ

レン、四姉妹VSマノン、モア、ゾーイ、ローラ

ナノスVSリアム、デウト


ヘスティアが目を開けると、そこは闘技場に似た場所だった。周りにはエンキとユーリがいる。


「ッテェなぁ…なんだ、ここ」


「闘技場…ですかね。ところどころ焦げた跡がある」


ユーリは冷静に周りを見渡す。よく見ると、人型の焦げた跡もある。


「…不気味ですよ、ここ」


「だな。ヘスティア、大丈夫か?」


エンキの言葉が耳に入ってこない。ヘスティアはゆっくりと周りを見る。見覚えがある。何故ならここは。呼吸が早くなるのが解る。


「どうしますか、エンキ大尉。皆バラバラにされましたよ」


「あぁ。だがこの三人でいれば問題は少ないだろ」


「ですね。他の皆もどこかへ飛ばされていましたけど…無事でしょうか」


「簡単に死ぬような連中は選ばれていない。他人の心配をする暇はないぞ」


「はい」


三人は背中を預けながら周囲を探索する。


「ヘスティアさん…?大丈夫ですか、顔色が優れないみたいですが…」


「あ、いえ…大丈夫よ」


嘘だと、ユーリは解った。明らかに顔色が悪いし、呼吸が早いことも見抜いていた。恐らくここは、ヘスティアに関係ある場所だ。

すると笑い声が響き渡る。


「ハハハハ!ヘスティア、見覚えがないかい?」


エルドが観客席に現れる。どこか楽しそうに、両手を広げ、随分とご機嫌な様子だった。


「お兄様…」


「ここはあの国の闘技場を再現したんだよ。私の復讐が始まった場所!ナノス様が再現してくださった!」


やはりヘスティアが思っていた場所だった。兄を処刑するために投じられた闘技場。そして、兄が処刑人をすべて殺した場所。正義が死んだ場所。


「お兄様、もうこんなこと止めましょう!」


「それは加害者が言う言葉じゃあないよ。少しは楽しませてくれるだろうね。がっかりさせるなよ」


エルドは不敵な笑みを浮かべると、銃を空に向け銃撃を開始する。火球が雨のように降り注ぐ。

ユーリは銃を撃つと、氷のドームを作りだす。


「これで少しは凌げます!」


「おい、そうでも無いみたいだぞ」


エルドの銃が青白い球体を作り出している。それをこちらに向けている。


「まずいぞ…!散開!」


三人がそれぞれ逃げると、引き金が引かれる。青白い球体は凄まじい勢いで直線を走り、地面を抉り闘技場の一部を破壊する。


「なんだ、あれは!まあともに食らったら一発で死ぬぞ!」


エンキは頭の中で作戦を立てる。

幸い火属性には木属性と水属性はすくみでいくと勝てる。だが、エルドは恐らくSSS以上の魔力クラス。


「おい、ユーリ!お前、ブラッドからあの技を教えてもらったんだよな?!」


「え、何故そのことを」


「うちには優秀な秘書がいるからな」


エンキがニッと笑う。


「うぅ…ローラか」


ユーリはバレていたことにプライドが少し凹んだ。


「まぁいいじゃあねぇか。ヘスティア!俺と一緒にエルドを止めるぞ!ユーリに時間を与えたい!」


しかし、ヘスティアは黙ったままだ。エンキは思わず眉を潜める。何か可笑しい。エンキの胸の奥がざわざわとする。


「いいえ」


どうやらエンキの勘は当たったようだ。


「これは私の戦い!懺悔、そして復讐!兄のことはここで決着をつけます!あなた方の援護はいりません!」

「おい、ここで輪を乱すな!」


エンキの怒鳴り声を無視して、ヘスティアは走り出す。


「クソ!ユーリ、お前はあの技に備えてチャージしろ!俺はヘスティアの援護に回る!」


「了解!」


エンキは可能な限りエルドの下へ走る。

ヘスティアは剣を構えるとブーストを使いエルドに迫る。エルドは不敵な笑みを浮かべるとヘスティアの剣を受け止める。


(なっ?!ブーストの威力があってもいとも簡単に止められた…?!)


ヘスティアはもう一度距離を開け、エルドに挑むが結果は同じだった。


「こんなもんですか。期待外れです」


「まだよ!」


何度繰り返しても、エルドは魔力すら出さずヘスティアの攻撃を止めていく。

焦りが見えた瞬間、エルドはヘスティアの腹を思い切り蹴飛ばした。


「ぐっ…!」


蹴りの威力は凄まじく、観客席に転がったため体中が痛い。


(一体何が違うというの…?)


「一体何が違うのか、という顔をしているな」


「ッ?!」


「教えてやろう。全てだよ。覚悟も、魔力も、攻撃も、全て俺の方が有利なんだよ。女なのにSクラスなのはどうなったのかは解らんが…それでもお前は俺に勝てないよ。独りで勝手に先走る行為も、結局は部隊を乱し、攻撃力が落ちるじゃあないか」


「これは私と貴方の問題です!他者に迷惑をかけることなど、できません!」


「迷惑?もうこの時点でお前は迷惑をかけているんだよ!」


エルドの剣が、首を切る直前まで差し掛かっていた。早すぎる攻撃に、ヘスティアはスキルすら使えなかった。その時だ。

緑色の球体がエルドの剣に当たり跳ね返す。


「確かに輪を乱す奴は規律違反で外されるかもな!だがヘスティアを主軸として使う手も考えてある!」


「エンキさん…」


エンキはそのまま攻撃を止めず、エルドに集中砲火する。そして地面に銃を撃つと、エルドの足元から樹の根っこが生え、ヘスティアと離れさせる。


「ヘスティア!お前の好きにやれ!援護する!」


ヘスティアは、自分の行動を恥じた。輪を乱し、結局助けられて。何が助けは無用だ。

自分の頬を叩くと、ヘスティアの目付きが変わる。


「大変申し訳ありません、エンキさん、ユーリさん。私が間違っていました」


「気にすんな!思う通りにやれ!」


ブーステットを使い空中に跳び上がると、そこに根っこが生える。それを足場にし、エルドに向かい剣を構える。そしてエルドに受け止められても、ジャンプしまた違う宙へ舞うと、そこに根っこが生える。そして根を蹴り、エルドへの攻撃。この繰り返しだったが、回数を重ねるごとに加速、そして剣も重くなっていく。そしてエンキの蔦が邪魔をし、エルドは考え始める。


(SクラスとSS以上を二人で相手…。そして一人だけ攻撃に参加していない隊員…何かある。早く芽を潰したい)


エルドはブーストを使うと、木の根の間をすり抜けユーリに襲い掛かる。


「そうはさせるか!」


木の根がユーリを取り囲む。


「その気なら燃やして切るのみ!」


エルドの剣に火が灯る。そして木の根を根絶しようと振るうが、木の根はビクともしなった。相当の魔力を送り込んでいるようだった。


(パッと見Sかそれ以下…くらいの隊員だった。そこまでして守ろうとするのはやはり奥の手なのだろう…それなら、それでいい。守っている人物を先に殺せばいいのだから)


エルドはエンキに剣を向ける。


「お前、ここまでして部下を守るとは…上司の鑑だな」


「まぁな。なぁ…俺を殺せば木の根っこの中にいる奴を殺せると思わないか?」


「丁度思っていたところだよ。あんなクソ女より、君とやりあった方が充実した時間だよ」


「そりゃどうも。だがな、そう思っているのはお前だけだぞ」


エルドの横腹を、ヘスティアの剣が通り抜ける。間一髪のところだった。


「私はお前を許さない…!」


「本当にウザいな、お前は」


あちこちに樹が生える。そこにヘスティアが足場にし、ブーステッドでエルドを攻撃し、そしてエンキは銃でエルドを攻撃する。しかしエルドは一本の剣のみで、どちらも相殺していく。まるで指揮者のように。


「こんなもんですか!なら私も反撃に出ますよ!」


エルドが剣を掲げると、火の渦が巻き起こる。火災旋風は樹を飲み込み威力として更に強大化していく。それを見て笑うエルドは、悪魔のようだろう。


「お前だけが出来る技だと思うなよ!」


ヘスティアが剣を掲げると、火災旋風が巻き起こる。膨大な魔力を使ったせいか、鼻血が垂れる。


「いけ、ヘスティア!」


エンキが叫ぶと、ヘスティアは吠えるように叫び、エルドの火災旋風にぶつけていく。強風が吹き荒れる。


「お前の魔力程度、飲み込める!!」


「飲み込めるものなら、飲み込んでみなさい!」


エルドの火災旋風がヘスティアの旋風を飲み込み始めたその時だ。地面から大樹が何本も現れ、火災旋風を飲み込んでいく。そして闘技場に巨大な樹が生まれる。


「これは素晴らしい。かなりの魔力を使ったんじゃあないか?」


あれだけの魔力を使っておきながら、エルドは笑顔を絶やさない。疲労の影も無かった。


「お前…バケモンだな」


「バケモンでも怪物でもなんでも結構。私は故郷を滅ぼすことに成功し、次なる目標はナノス様のお力になること…その為なら、なんだってする」


「マルペルトのことか…きっとお前は仰山の人から恨まれているんだろうな」


エンキは疲弊し、地面に片膝を突く。


「それがどうした。どうもしない。恨みたければ勝手に恨めばいい」


エルドは爪を弄り、ふっと息を吹きかける。まるでこちらに興味が無いみたいに。


「ヘスティア、動けるか?」


「えぇ、まだいけます!」


ヘスティアは鼻血を手で拭う。

しかしそこで気が付く。エルドがまだ魔力切れすら起こしていないことを。


「それでは、反撃と行きましょうか」


ほくそ笑むと、エルドが青い炎が闘技場を囲み込む。そしてもう一撃引き金を引けば中央へ火の手が回る。そしてユーリがいる木の根に炎が燃え移る。


「クソ!」


エンキが木々を生やし葉が生い茂る。


「ヘスティア!相殺できるか!?」


「やってみます!」


火球を撃つが、エルドの炎より燃え盛らない。魔力切れが近いのだ。


「さぁ、まだまだ止まりませんよ!」


指揮棒…剣が止まらない。エルドの美しい指揮が残酷にエンキ、ヘスティアを追い込んでいく。エンキがなんとか樹を生やし、炎より上に避難する。避難は出来たが、次の手が思いつかない。これ以上魔力を使うと、ユーリを守れなくなる。


「…兄はまだ本気ではありません」


「何?」


「兄が本気を出すときは、炎が紫色になるんです」


「…まだ本気じゃあねぇのにでここまでやられるのか」


ヘスティアはこくりと頷く。

そこにマジックウォッチから連絡が入る。


『行けます、大尉!』


「勝利の神様がどっちに笑うか、賭けの時間だ。いけ、ユーリ!」


木の根が退くと、巨大な氷龍が現れた。魔力で無理矢理動かしている様子だった。


「ッチ、水属性の隠し玉か」


エルドは剣を振ると、炎が龍に向かい襲い掛かる。しかし炎で溶けても魔力が途切れていないため、再生する。そして龍が噴射すれば、炎が相殺され徐々に鎮火に向かっている。


「行くぞ、エルド!」


「来るがいい、一端の隊員が!」


氷龍の口から氷柱が落ちていく。エルドは避けながら火球を撃つが、相殺されてしまう。龍は更には客席に乗り込み、破壊の限りを尽くす。


「いけぇ!」


ユーリの魔力の回転が速くなる。暴虐の限りを尽くす龍を見て、本当にブラッドの部下なのかと、ヘスティアは思う。


「面白い!気に入ったぞ、貴様!捕らえた暁にはナノス様に行って私の部下にしてもいい!」


「そんなのお断りだね!俺には最高の上司がいるんだ!」


エルドはまた火災旋風を起こす。氷が徐々に解けていくが、しかしそれすらもユーリの範疇だった。氷龍が完全に、水へと変化したのだ。そして火災旋風を沈めてしまう。闘技場の地面は水がひたひたになり沈没する。


「へぇ。随分とやるな」


エルドは眼鏡を直す。ユーリは睨みを利かせる。


「お前の最大と俺の最大…どちらが上か、解らせてやろう!」


エルドが引き金を引くと、紫色の炎の鳥が高らかな声を上げる。


「ヘスティアさん、力を貸して下さい!」


「…!解りました!」


ユーリの意図が解ったヘスティアは、標準を合わせる。そして二人揃って撃つと、炎を水が重なり合い、二頭の龍が出現する。

そして焔の鳥と龍が激突すると、熱波と衝撃波がヘスティア達を広がる。


「っく…!」


「くる、しい…!」


相殺が出来たと、思った瞬間だった。

キィイ…と鳥の声が聞こえた。


「そんな!」


その瞬間、巨大な炎がヘスティア達を襲う。

ヘスティアの魔力のお陰で、軽度の火傷で済んだ三人が、中央で倒れている。


「愚かだ…。しかし、とても楽しめました。これでナノス様にお褒めいただける」


ククク、と喉の奥で笑う。そして高らかに笑う。邪魔だった妹を仮にも始末したこの爽快感。そして生け捕りが成功したことに、興奮が止まらない。きっと褒められる、ナノスに褒められる。これこそ崇高な誉だろう。何にも似も変えられない。

もうこの時のエルドは、ナノスをアマルティアのボスとしてではなく、一人の人間を崇拝していた。自分の復讐心を否定せず、耳を傾けてくれた。何より、瀕死状態だった自分を見つけてくれた。


「ナノス様、今戻ります!どうかこの愚かな人間を、お役に立ててくださいませ」


そうすると光が現れ、また吸い込まれていき、光は消えた。闘技場には、誰もいなくなった。


・・・

爆発音が、レイラ達の部屋にまで聞こえてくる。


「何かしら、物騒ね…」


「エルドさんの研究でしょうか」


マイラもどこか不安を隠しきれない様子だった。


「よし、様子を見て来るわ。子供達のこと、お願い」


「わかりました。気を付けてくださいね」


「任せて」


レイラは笑顔を見せると、部屋を出て行った。残されたマイラは、ジェイとノエミを膝に乗せる。

「ジェイくん、ノエミちゃん。お姉さんと絵本を読みましょうか」

双子は、嬉しそうにはしゃいでいる。それにつられて、マイラも笑顔になるのだった。


原作/Aret

原案/paletteΔ

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