かくれんぼ
僕の母が心を病むようになったのには僕におおきな原因がある。
二十年前のその日、僕は妹の葉子と近所の児童公園で遊んでいた。
葉子とかくれんぼをして遊ぶことになった。
いつものように僕が鬼になり、妹が隠れた。
もういいかい。
まあだだよ。
もういいかい。
まあだだよ。
もういいかい。
もういいよ。
その声を聞いたあと、僕は妹を探した。
しかし、その日にかぎって妹はみつからない。
最初はすぐにみつかるだろうとたかをくくっていたが、公園中を探し回っているうちにそれは明らかな焦りへと変化した。
どんなに探しても妹はみつからないのだ。
今思えば、あのもういいよという言葉が妹の最後の声だったのだ。
妹が見つからないまま、僕は家に帰った。
そのことを両親に告げると、一緒になって妹を探すことになった。
だが、どんなに探しても妹は見つからない。
必死に妹を探す僕たちを見て、交番の警官や近所の人たちも一緒に探してくれたが、ついにみつかることはなかった。
僕たちは疲れきって、家に帰った。
きっと明日になったら葉子はひょっこりあらわれるだろう。
そんな根拠のない楽観的な思いを頼りに眠りんいついた。
そして次の日、妹は見つかった。
しかし、それは僕たちが望んだ姿ではなかった。
葉子は児童公園近くの廃屋で見つかった。
その姿は死体であった。