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チームバトル③

「ねぇ、一つ質問してもいいかい?」

「……なによ?」


 行き成りパスタからの質問に仮面の中で怪訝な顔をするアーシェス。

それに変わりリドリーがパスタの質問に答えた。


「いやさ、アー君達のパーティの3人目、随分離れちゃったけどもしかしてチームバトル始めたなのかなぁって思ってさ」

「そんな事あんたに関係ないでしょ」

「いや、だから親切に教えてあげようとしてるんじゃないの。

ねぇ、そんなに離れちゃったらそこにいる貴方たちと連携取れないでしょ?

芋っててもこっち遠距離対策バッチリだから意味ないよ?」

「――うるっさいわね!」

「キャハハ! 何? 図星なのぉ?」

「これは――リドリー時間稼ぎだっ!」


 パスタの後ろにあのゴーレムが2体出現している。

アーシェスは自分の失態に顔を顰めた。どうしてもパスタが何かをする前提で考えてしまい他の相手メンバーに気を回すのが遅れてしまう。

スキルのリキャストタイムを稼いでいたようだ。

 左右から同じタイプのゴーレムが回り込むように突撃してくる。

手動操作でこのような複雑な動きは出来ないはず、つまり自動操作という事か。


「アーシェス! 私が2体相手にするから、この女を潰して!」

「――任せる! 聖なるオーラⅢ」


 蒼いオーラを纏いアーシェスはパスタに突っ込んだ。

ゴーレムはリドリーが対処すると信じ、視界にはパスタのみを捉えそのまま速度を維持する。


「おいおい、アタイの事忘れてね?」


 アーシェスの目の前に白衣を着たプレイヤーが現れた。

手甲を装備している事から恐らくモンクか拳闘士のどちらかだと予想し、そのまま斬撃を繰り出した。

アーシェスの斬撃は相手が装備している手甲によって防がれる。しかし、それはアーシェスも予想していた通りだ。


「そこをどけぇっ!!」


 ()()()()()

それをトリガーにアーシェスの纏っているオーラが大きく耀いた。


「っ! 糞なんだよ、目くらましかっ」

「――斬光剣」


 アーシェスの放ったスキルは一瞬隙だらけになった首に目掛けて放ち、それに的確に命中した残光はこの白衣のプレイヤーのライフを奪っていった。

そしてそのまま前進しパスタの元へと走る。


「やるね! さっすがアー君。私もまさかナルちゃんがこんなに早く落とされると思わなかったよ」


 パスタの声が()()から聞こえた。

すぐさま軸足を止め腰を回転させ後ろに剣を振る。


 しかし、そこには誰もいなかった。

呆然としてしまうアーシェスに対し、またパスタの声が背後から聞こえた。


「私のスキルでね、武器をカード化すると強度も重さも変わらないんだよ?

でも、普通のカードのように投げられる。さて何ででしょうか♪」


 右腕に衝撃が走る、見るとトランプカードが腕に刺さっていた。

鈍い痛みが走りるがそれを無視しまた振り返る。

そしてそこには先ほど倒した白衣の女、ナルがいた。


(しまったっ! もうリスポーンしたのか)

「いよぉ! 借りを返しにきたぜぇ!」


 そうしてナルは掌を開きアーシェスの鎧に触る。

すると、幾重もの幾何学模様がアーシェスに走った。


「オーバードテクスチャーッ!」

「っ! なんだこれは」


 特にダメージは無い。だからこそ違和感を感じた。

何も起きないはずはないのだ。確かにスキルが発動していた。

いったいどういう能力なのか、アーシェスは考える時間を欲したが、それを今馬鹿正直に考えている時間は無いのだ。

そのためにも一旦距離を取ろうとするアーシェスにナルが追撃を行った。


「オラァァア!」


 ナルから放たれた左の正拳突きをアーシェスは一度防具で受け、距離を取ることを優先した。

今使っているスキルであれば防御性能も上がっているうため対したダメージにはならないという判断であった。


「グァッ!」


 ナルの拳はアーシェスの予想とは大きく違い、鎧を砕き、そのまま鎧の中の肉体にまで達した。

思わず手に持っている剣を離しそうになってしまった。

意味が分からなかった。アーシェスの装備している防具は最高品質の金属で作られており何度も攻撃されたなら兎も角、たった一撃で砕けるなんてあり得ない。


「……まだか」


 アーシェスは思わず口に出てしまった台詞を噛み締め、さらに追撃を放とうとするナルを睨んだ。

その手の形から恐らくは抜き手。今の自分では予想外のダメージで身動きが取れないためこのままではまともに受けてしまう。


「――トリエスティッッ!!!」


 目の前まで迫ったナルの首が飛んだ。

それに流石に驚いたのかパスタが僅かに眼を見開いている様子だ。


「遅いぞ」

『すまない、だが、良いポジションに着けた。こっからは頼りにしてくれ。

それにしてもこの通信用スキルってのは便利だな』

「用意しておいて良かっただろう」


 パスタに気取られないように小声で話すアーシェス。

まだこのスキルについて知られるのは早いと考えているからだ。

そのため、トリエスティとの会話は必要最低限にした方が良い。


「本当に驚いちゃったなぁ。あの鳥さん。いったいどこから……。

いや、それよりもあの遠距離からあそこまで威力のあるスキルは危険だなぁ。

まぁでもこれでそっちの大将ユニットは分かったからまぁいいか」


 また、パスタの虚言だろうか。いや、何か意図があるのかもしれない。

ナルのリスポーン待ちの可能性が高いが、今は自分も時間が欲しいというのが本音でもあった。


「あはは、教えてあげるよ。簡単な事だしね。リドリーちゃんだっけ? 

今もあっちでゴーレムと戦ってるけど結構劣勢なんだよ。

なんせ今3体目のゴーレムが向かったからね。

そこから考えるとさ、リドリーちゃんかアー君のどっちかが大将ユニットだから落ちちゃまずい方を鳥さんは助けに入るよね?

つまり、アー君のほうに助けに入ったからアー君が大将ユニットって事だよ」

「何をいうかと思えば……。

単純にリドリーはまだピンチではなく僕がピンチだったから援護に入ったというだけだろう。それになぜリドリーと僕に限定するんだ。

トリエスティの可能性だってあるだろう」

「ははは! いやいやいや、それはないよ。

だってアー君なんだよ? 芋ってる鳥さんが大将ユニットなんてそんなつまらない事絶対しないでしょ!」

「勝利を優先している場合は違うだろう」

「いや、それはない。アーシェスってプレイヤーはエンターテイナーだからそんなつまらない事は絶対しない。賭けてもいいよ」

「まったく、そこまで分かりやすいつもりはないんだがな」

「いや、流石に分かるって。さて、さっきは失敗しちゃったけど、鳥さんの対策も考えてあるから楽しみにしてよね」


 ナルを2回落とし現在ポイントでは100対60になっている。

一見有利に見えるが、パスタのスキルとナルのスキルの効果を読み解かないと次死ぬのは自分であるとアーシェスは考え、目の前の敵に睨んだ。





お読み頂きありがとう御座います。

評価、コメント等頂けるとモチベが上がりますので、

よろしくお願いします。

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