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幕間2

今週からまたしばらく毎日投稿できると思います。


 私がこのゲームを始めてたての当初、中々バトルに勝てず、燻っていた時期があった。自分でいうのもなんだがプレイヤースキルはそこそこある方だと思っていただけに中々勝率が上がらなかったのは本当にショックだったのは今でも苦い思い出だ。

 女である私が男を倒す。シンプルな話だがそういう俗物的な強さに憧れてこのゲームを始めた。アナスフィはレベルの概念はあるが、それは直接的な強さには直結しない、どのようなジョブで、どのようなスキルを設定し、それを使いこなすかが勝利の鍵となる。どうしてもオンラインゲームでは、後発組は中々先発組に勝つことは出来ない。なぜならオンラインゲームでの強さとはイコールプレイ時間という形になるからだ。学生である私にはある程度時間はあるが所謂廃人プレイをしているプレイヤーと勝負する事は中々出来ない。エンジョイ勢として割り切ってしまえばよいのだろうが、それでも私は純粋に自分の技量で勝てるゲームを探し、アナスフィにたどり着いたのだ。


 名前をリドリーという名前にした理由も父が持っていたゲームをやった時、初めて倒すの投出しそうになったボスキャラの名前から取っている。

この悪魔のような見た目のボスは私の中ではゲームでの強者のイメージがあったため、その名前を拝借しているのだ。このボスを倒すのに1週間掛かったのはよい思い出だ。

 そんな強さに拘った私だが勝率が伸びず苦戦していたのは1年ほど前の話。理由も自分なりになんとなく分かっていた。

 

 私には自分という物がないのだ。


 中級者くらいのプレイヤーであれば普通に倒すことが出来たが、上級者になると途端に勝率が下がる。自分のスキルの問題なのかと思ったが、負けた対戦相手の事を研究してみるとやはり客観的に見ても自分の方がプレイヤースキルは高いように感じた。では負けた理由はなんだろうかと考えた際にすぐに理由にたどり着いたのだ。

 このアナスフィの上級者達は自分のプレイスタイルという物が確立している。

しかし私はネットなどで目立ったプレイヤーと同じジョブに変更したり、

流行のスキルを購入して有名な人の使い方を真似したりなどそればかりしていた。

つまりリドリーというキャラの戦い方は誰かの模倣でしかなかったのだ。

 ユニークスキルがあれば勝率が上がると安易に考えた事もあるが、それを生産できるプレイヤーは今では限られている。

それはユニークスキルというのは別の第三者が同じスキルを作った場合、ユニークではなくノーマルスキルに変更されるからだ。

だから、上位プレイヤーは自分のスキル効果が広まることを避けるため、

情報がほとんど回らないらしい。

つまり今ユニークスキルを作ろうと思ったら同じような効果でも見た目のエフェクトを大きく変えたり、代償効果を重くして能力を上げるなどの調整が必要になるが、

今ではほとんどのスキルがユニークとして認定される事は少ないようだ。


 そんな色々な葛藤があった中結局私が取った結論はやはり他人の模倣であった。

でも今までの模倣ではない。どちらかというとリスペクトという方が近いと思う。

私がアナスフィ内でもっとも憧れているプレイヤー白黒(ビャッコク)

漆黒のフルプレートアーマーに銀色の仮面、そして両手剣を携えた最強のプレイヤー。

 彼のプレイスタイルは私が目指す頂にあったと思う。

誰もが近距離戦闘で彼に勝つことが出来ず、すべて彼の剣技の前に倒れる。

私は彼の剣技に夢中であった。彼の剣を模倣し再現するためにスキルも変更した。

ただ真似るだけではなくそれを昇華するために私はより速さも求めるようになり、

気づけば私は自分のプレイスタイルを確立出来たのだと思う。


 前のシーズンの終わりに白黒(ビャッコク)はゲーム内に現れなくなってしまい私も枕を塗らす事もあったが、彼の剣は今でも私の中に生きている。

そう思えば問題ない。いつかまた彼と戦う事を夢見て私もより自分を磨くように今日もゲームをしている。いつか彼と対戦出来る事を夢見て。



 だからこそ気になる。なぜアーシェスは白黒(ビャッコク)の仮面を持っているのだろう。アーシェスのいう通りゲーム内で圧倒的な強さを誇っていた白黒(ビャッコク)は他のプレイヤーによって模造された装備品は多く出回った。彼と同じようなデザインの剣や防具などだ。

私自身も使っている剣は彼と同じデザインの武器を持っているため、最初アーシェスと対戦した時は同じく彼のファンなのかとしか考えていなかった。

 だが、先ほどのパスタのいう事が本当であれば話が変わってくる。

アーシェス自身が白黒(ビャッコク)なのか? いや違う。剣の腕は彼と同じものではなかった。

 気になるが今それを考えると負けてしまう。このバトルが終わったら必ず聞き出さなくてはならない。そのためには勝つ。

負けてしまえば聞けるような雰囲気にならないだろうと思っているからだ。


 もう私では行方が分からない彼の情報を知るために。





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