表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

プロローグ

直ももコンビのスピンオフ☆


直くんのお兄ちゃん、三井三兄弟の長男のお話です!

「ふー。」


仕事も切り良く終わり、俺は一息つく。今日はもう帰るだけだ。

パソコンの電源を落とし、誰もいなくなった社内の戸締まりを確認し、電気を消して会社を後にした。



三井結仁(みついゆいひと) 22歳。 家族構成は弟二人、12歳の直之(なおゆき)と8歳の貴将(たかまさ)

そして、お手伝いのキヨさん。4人暮らし。

3年前に両親を亡くして、弟達の親代わりをしている。



(遅くなったな。(なお)くんと(たか)ちゃんにお土産を…)


会社を出て歩いて帰る途中、家で待っているかわいい弟達にとケーキ屋に立ち寄る。ここは開店時間が遅い為、夜遅くても多数の品数があるありがたいお店だ。

先に一人先客がいたため、選びながら待つことにする


(直くんはショートケーキ。貴ちゃんはチョコレートケーキ。キヨさんはチーズケーキ…)


そんな事を考えていたら、隣の先客の女性に話しかけられる。


「あ、ミルフィーユ、買って大丈夫ですか?」


(…ミルフィーユ?)


視線を落とすと残り一つのミルフィーユが目に入る。

これは最後のミルフィーユを買ってもいいかと問うてくれているんだろう。


(優しい気遣いのできる人だな。)


じんわりと暖かい気持ちになる。


「構いませんよ。私は別のものを買う予定ですから。お心遣い、ありがとうございます。」


俺はケーキのショーケースから女性に視線を移し、その通り伝える。


「ありがとうございます。」


そう言い、ふんわりと柔らかく微笑むその先客の女性に目を奪われた。なんとも言えない胸騒ぎと妙な安心感を覚える。


ドキドキと鼓動が速くなっているのを感じる。なぜ?

俺はこの衝動の名前を知らない。



会計を済ませその女性が店員と俺にまで会釈し、店を出る。


(…たまたま会った客同士、もう二度と会うこともないだろうな。)


なんだか寂しい気持ちになったが、俺は家族の喜ぶ顔を想像しながらケーキを買って帰った。




✽✽✽


「お兄ちゃん!おかえりなさい!!」


ようやく家に帰り着くと、下の弟の貴ちゃんが出迎えに玄関まで出て来てくれた。


「貴ちゃん、ただいま。良い子にしてた?」

「うん!」


俺はしゃがんで、弟の目線に合わせる。目を見て微笑み、聞くと、すごくいいお返事が。


「直お兄ちゃんとキヨさんの言う事ちゃんと聞いた?」

「うん!」

「そっか。じゃあ遅くなったからお土産。はい、どうぞ。」


買ってきたケーキを貴ちゃんに渡す。


「やったー!!ケーキ!?ケーキだ!!わーい!!」


貴ちゃんは喜んでケーキを持ってリビングまでかけていく。


「おかえりなさいませ。」

「おかえり。」


お手伝いのキヨさんと上の弟の直くんが出迎える。


「直くん、ただいま。キヨさん、ただいま戻りました。いつもありがとうございます。」


挨拶を返し、ネクタイを緩める。


「いえーい!!俺チョコレート!!お兄ちゃん、もう食べていい?いいよね!?」


貴ちゃんはケーキの箱を開けて、思った通りチョコレートケーキを選ぶ。


「もう夜遅いよ?明日にしたら?」

「明日より今日の方が美味しいよ!!」

「…もう歯磨いたでしょ?」

「大丈夫!」


…何が大丈夫?




結果、与えてしまった。寝る前に。直くんからは白けた目で見られてしまった。…子育ては難しい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ