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こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
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鬼?に美形

ドミニク達救出隊は、物凄いスピードでローレの森に辿り着いた。

俄然やる気を出した第1小隊隊長が、先頭に立ってグングンスピードを上げたからだ。

そして驚いた事に第1小隊の隊員達は、探索に必要な優れた能力を持っていた。

「隊長見つけました!轍の痕跡です!」

1人の隊員が叫ぶと隊長は確認に向かう。

ドミニク達も一緒に向かうと、ぬかるみに残った複数の轍の中から一種類を指差す隊員の姿があった。

「この轍を辿って行けば隠れ家を見付け出せる筈です」

隊員がそう言って示した轍は、他の轍とどう違うのかドミニクには分からなかった。

そこで隊員に尋ねてみると、轍のへこみ方に違いがあると言う。

彼等第1小隊は行方不明者探索の為の特殊訓練を受けており、今回の救出隊には打って付けなのだとシモンが説明してくれた。


「隊長、ここからは貴方に指揮をお願いします」

ドミニクがそう言うと、隊長はニカッと笑い

「お任せ下さい!我が第1小隊の能力をお見せ致しましょう!ドミニク殿下には私のいい所を見せたいですからな!」

と言って歯を光らせながら胸を叩いた。


あの趣味さえなければ、これ以上ないくらい頼もしい人なんだけどなぁ‥

それにしても、さすが兄さん!

隊長のアピールにも全く動じていない!


ルイスは改めてドミニクを尊敬していたが、ドミニクは単にそういう趣味に疎く、気付いていないだけだった。


「先見の者が轍を辿って猟師の使っていたらしき、古い小屋を発見しました。外には辻馬車と馬が3頭用意されていましたので、連中はまだ出発していない模様です。ここからは馬から降りて徒歩で向かいますがよろしいですかな?」

全員が頷くと、隊長は段取りを説明し始めた。


まず自分達の馬を守る為隊員3人を残し、残り全員で小屋へ向かう。

退路を断つ為最初に馬車と他3頭の馬を放す。

気配に気付いた連中が出て来た所で一斉に踏み込む。


「少々強引ではありますが、何といっても相手はミドラスの手練れ、油断は禁物です。我々の有利な点は人数で勝っている事!決して手を緩めない様、心してかかって下さい!」

「しかし、姫君を人質にとって逃げようとするのでは?」

ずっと黙っていたエドゥアルドが尋ねると、隊長はまたニカッと笑いながら2人の隊員を指差した。

「この2人はボウガンの名手です。我々が踏み込む時外に待機させて、出て来た連中からこの2人が狙い撃ちをするという段取りですよ。フム。貴方も中々目の付け所がいい。やはり美しさと賢さは比例する物なのですかな。いや、貴方にも私のいい所を是非見て貰いたくなりましたよ」

隊長はバチンと片目を瞑ってエドゥアルドにウインクを送った。


うげっ!

あれは耐えられない!

いやしかし、あの兄さんが連れて来た赤毛の美形な従者は全く動じていないぞ。

よく耐えられるなぁ‥


ルイスは尊敬の眼差しでエドゥアルドを見ていたが、エドゥアルドはそれどころではなく、隊長のウインクに全く気付いていなかった。


森に入ってから嫌な予感がして、どうしようもなく不安な気持ちが収まらなかったからだ。

それに比例してレイリアの印が痛い程熱を帯びている。

エドゥアルドの様子がおかしい事に気付いたドミニクは心配して話しかけた。

「どうしたんだエド‥‥。やはり体調が良くないのか?」

「体調は大丈夫‥です。ただ‥‥嫌な予感がして、少し不安なのです」

ドミニクはエドゥアルドの肩をポンと叩いて

「レイリアは強い子だよ。大丈夫!」

と微笑んだ。


猟師小屋に着くと隊員達は一斉に広がって小屋を取り囲み、2人の隊員が素早く馬の綱を切り尻を叩いて馬を放した。

馬は勢いよく嘶くと四方に散って、走り去って行く。

すると半分小屋の入口が開いて、中から男が顔を覗かせた。

「かかれ!!」

隊長の叫び声と共に、隊員達は扉を引っ張り小屋の中へ雪崩れ込んで行く。

ドミニク達もそれに続いて中へと突入して行った。

読んで頂いてありがとうございます。

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