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こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
55/175

お土産選びは?

ルイスは面倒見がいい。

レイリアがイザベラと市場へ出かけると聞くと

「僕も一緒に行く」

と言ってやっぱり着いて来た。

勿論目立たない様護衛も着いて来てはいるが、それだけでは心配なのだろう。

アマリアは少し嫌な予感がした。

レイリアは市場へ出かけるのが好きで、たまにバルコスへ遊びに来るルイスとも、何度か一緒に出かけていた。

しかしその度に、2人がドミニクや大公に買って来たお土産を思い出すと‥‥

アマリアは2人の買い物には目を光らせようと決心した。

この2人は市場で変な物ばかり買うのだ。

一度大公に買って来たお土産に、鼻の穴が笛になっている人の顔の置物という物を買って来た。

その置物の顔は妙にリアルで、貰った大公は複雑な顔をして、一度も鼻の穴の笛を鳴らす事は無かったのを覚えている。


「レイリア、君が忙しくて言う機会が無かったんだけど、あと数日後にドミニク兄さんが王都に着くんだ。だから今日は兄さんにお土産を買えたらと思ってさ、本当、イザベラ嬢の提案に感謝しているよ」

「お兄様が!?王都に!!うわ〜嬉し過ぎて飛び跳ねそう!やっぱりお兄様は世界一だわ!私の為に来てくれるんだもの!あ、でも本当にこのタイミングでのイザベラの提案には感謝ね!ありがとうイザベラ!」

イザベラは喜ぶレイリアを眺めながら、レイリアの頭を撫でていい子いい子している。

「ドミニク殿下はどんな方なの?レイリアに似ているのかしら?」

「似ているかしら?そう聞かれるとよく分からないんだけど、誰よりもステキなのよお兄様は」

「僕から見ると、兄妹だから顔立ちは似ているけど、何ていうか兄さんは‥‥とにかくカッコいい!甘いマスクにプラチナブロンドの見た目に、物腰の柔らかさや爽やかな雰囲気は、本当にレイリアと兄妹?って時々疑ってしまうよ」

「正真正銘の兄妹よ!むしろなんでルイスが従兄なのかの方が不思議ね!」


ウォッフン!

アマリアの咳払いにルイスとレイリアは黙った。

「ドミニク様がこちらへいらっしゃるなら、お2人は尚更言い付けを守らなければいけませんね。ひと言我慢する約束では?」

「「‥はい」」

「それからお土産は私が良いと言った物以外買わないで下さい。いいですか?」

「「えー!何で?」」

「はっきり言ってお土産を選ぶセンスがないからです!エンリケ様のネーミングセンスくらいセンスがありません!」

「「その例えは‥酷すぎる!!」」

イザベラも残念そうに言う。

「助け船を出したい所だけど、エンリケ並のセンスとなると‥何も言えないわ。そうだわ!私も一緒に選びましょう!どうかしら?」

「イザベラ様が一緒に選んでくれるなら、何の問題もありません。よろしくお願いします」

アマリアはそう言ってホッとした。


初めてオセアノの市場に来たレイリアは、その規模の凄さに、驚きの余り口をあんぐりと開けてしまった。

市場はとにかく広く、天候不良にも対応出来る様、アーケードになっている。

果物、鮮魚、野菜と並んで雑貨や衣類、カバンに靴‥‥とにかくありとあらゆる物が並んでいた。

規模に比例して買物客も多い。

王都でも有名なレストランや、小売店からも買い付けに来ていると、イザベラが説明してくれた。


「レイリアどうだいこれ?つけ髭だってさ。つけ眉毛なんてのもあるよ!」

「面白いわルイス!貴方面白い物を見付ける天才ね!」

つけ髭とつけ眉毛の何が面白いのか分からないイザベラは、微妙な顔をしている。

後ろで見ていたアマリアは、やれやれ始まったかと思い、さっさと次の店へ2人を促した。

ルイスはよっぽど気に入ったらしく、つけ髭とつけ眉毛を購入して、更に丸いフレームの伊達メガネまで購入していた。

「名付けて"君は誰?実は僕セット"だよ。早速やってみようか?」

そう言ってルイスが装着すると、レイリアは

「いいわねぇ!後は帽子を被れば完璧じゃない!ちょっとこれ被ってみてよ」

と言って目の前の店からチェックの鍔広帽子を渡した。

思わず笑ってしまいそうなルイスの風貌ではあったが、確かに"君は誰?実は僕"だった。

それを見て笑いを堪えたアマリアが

「ルイス様はお土産選びのセンスは絶望的ですが、ネーミングセンスはいい線いってます」

と珍しく褒めた。

これにはイザベラもうんうんと頷いて、レイリアと一緒に納得している。

調子に乗ったルイスは帽子も購入して被り、完全に"君は誰?実は僕"になった。


ドミニクへのお土産選びだったが、相変わらず変な物ばかり選ぶ2人に愛想をつかして、イザベラは1人真剣に選んでいた。

暫くすると護衛の1人がルイスを呼び、ルイスはその場を離れる事になった。

どうやら何かに気付いた様だが、レイリアとイザベラは気にせず2人で選ぶ事にした。


少し離れた場所へ連れて来られたルイスに、護衛が説明を始める。

「先程から見ていましたが、怪しい男がずっと姫君達の様子を伺いながら着いて来るんです。ただ、どうも素人丸出しで、バレバレなのが何ともお粗末なのですが」

「どの男だ?」

「あの古着屋でワザとらしく青い服を持って、服の陰から姫君を覗いているあの男です!」

ルイスは護衛の言った方を素知らぬふりでチラリと見た。

男の顔を見たルイスは、意外な人物であった事に驚いた。

「えっ?なんであのバカ(ミゲル)がこんな所に?」

「お知り合いですかルイス様?どこかの商人の荷運び人足で来た男の様ですが?」

「ああ。よ〜く知っているよ。でもお知り合いなどという良い物では無い。むしろとっちめてやりたいと思う間柄だ」

「では捕まえて牢にでも放り込みますか?」

「いや、それは後にしよう。あのバカ(ミゲル)の目的が何なのか、暫く泳がせて掴んだらそうしよう」

「分かりました。ではその様に」

ルイスは護衛と一緒にミゲルを見張る事にした。


しかしあいつはレイリアの素顔を見た事が無い筈だが‥‥どうして分かったんだ?

‥‥ああ!アマリアか!

アマリアが付き従う人物はレイリア以外いないもんな。

あのバカ(ミゲル)にしては良く気付いた。

いったい奴の目的は何なんだ?

どうせ碌な事じゃ無いだろう。

読んで頂いてありがとうございます。

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