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こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
28/175

乗りかかった船

一夜明けて王宮での最初の朝、レイリアは早朝からルイスに叩き起こされた。

叩き起こしたといっても、レディ(?)の部屋へルイスが入る訳にはいかないので、直接起こしたのはアマリアだ。

想像以上にフカフカで、寝心地の良いベッドに後ろ髪を引かれつつ、渋々身支度を整える。

「姫様、フワァ〜やっぱりこれやります?」

「当たり前よ。今更後には引けないわ、フワァ〜殿下に啖呵を切った後だもの。アマリアの欠伸が感染ったわ」

アマリアはベールをレイリアに被せて、顔が見えない様整えた。

「ルイスはなんだってこんな早く起こしに来たの?」

「神殿がどうのって言ってましたよ。昨日の奇跡って騒いでたヤツじゃないですかね?」

アマリアは心底どうでもいいという感じだ。

「まさか本当に供物を捧げろって言うんじゃないでしょうね?そんなに信心深かったかしら?」

「さあ?行ってみれば分かりますよ。さっさと戻って二度寝しましょう。今日は休むって決めてるんで」

「賛成よ。あ、アマリアが決めてるのね」

二人は支度を終えて、部屋の外で待つルイスに合流した。


「なんだってこんな朝早く起こしに来たのよ?」

「神殿で供物を捧げる為に決まってるだろ!君は奇跡を目の当たりにしたんだから」

まだ言ってる。

眠いし、朝からルイスとやり合う気力もないし、言う通りにしてさっさと二度寝と決め込みますか。


ルイスはご丁寧にレイリアの分の供物を用意していた。

「僕は日の出と同時に済ませたから、君は一人で行っておいで。逃げようったってそうはいかないからね!」

「はいはい。言う通りにしますよ。やればいいんでしょ、やれば」

「分かればいい。ここでアマリアと待っているから、この先の突き当たりにある祭壇に供物を捧げて祈って来るんだ。分かった?」

面倒くさくなったレイリアは、黙ってルイスに頷いた。

神殿入口の階段を上り、言われた通り真っ直ぐ進む。

オセアノは多神教で様々な神を祀っているが、神々の頂点に立つのは全能神シントラとされている。

この王家の神殿では、シントラが祀られていた。

神殿の中は広間になっており、細かい彫刻が施された立派な柱が何本も並んでいる。

広間の先には人一人が通れるくらいのアーチがあり、そこをくぐると祭壇があった。


まだ半分頭が寝ている状態のレイリアは、祭壇の前に着くまで、先客がいる事に気付かなかった。

「姫君、早いな。貴女も祈りを捧げに来たのか?」

誰?と思って振り向くと、そこにいたのは

「で、殿下!!」

「ああ、おはようと言うべきだね。昨日は良く眠れたかい?」

「あ、ハイ、おかげ様でグッスリ眠れました。でも殿下、ナゼココニ?」

「私の日課でね。この時間しか都合が付かないんだ」

驚いてカタコトになってしまったわ。

考えてみたらそうよね。

王家の神殿に殿下がいても、何の不思議もないんだから。

それにしても、殿下の話し方に違和感を感じる。

どうしたのかしら?

「殿下、つかぬ事を伺ってもよろしいでしょうか?」

「私に答えられる事なら何でも」

やっぱりなんか違う!

なんかフレンドリー!

「昨日と印象が違うんですけど。話し方とか」

「神の前で自分を偽る事は出来ない。普段はそうあるべき自分でいるんだ」

なるほど!とは言い難い。

それ程知っている訳ではないし。

「殿下は信仰心が強いのですね。バルコスでは宗教より妖精第一なので、あまり祈りを捧げる機会が無いのです」

「信仰心というよりは、懺悔の様な物かな。昨日貴女に話した通り、私は罪人だからね。どんなに祈っても罪は消えないんだ」


うう‥朝一からその話題は‥かなり重い。

かといって、聞いたからには気になるし。

こういうのを何と言ったかしら?

渡りに船じゃなくて、アレだわ!

「今ここにいるのは私と殿下だけです。良ければ少しだけ聞かせて頂けませんか?懺悔には聞き手が必要でしょう?」

ジョアンは少し考えて、静かに頷いた。

「では少しだけ。私は生まれながらのと言ったね。その話から話すとしよう」

半分頭が寝ていたレイリアだったが、ジョアンの話が気になって、すっかり頭が冴えていた。

私が受け入れられる範囲の話ならいいんだけど‥

静かに話し始めるジョアンを前に、レイリアはそんな事を考えていた。

暑いです!

これ以上ないくらい

暑いです!

熱中症には気を付けて下さいね。


読んで頂いてありがとうございます。

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