表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
24/175

にわかには信じ難い

レイリアの言葉に、ジョアンは再び跪いて頭を下げた。

「姫君にそこまでさせてしまった事、そして傷付けてしまった事、いくら謝罪しても足りる物ではない。何と言ったらいいのか分からないので、せめて頭を下げさせてくれ。本当に申し訳なかった」

「ではお気の済むまでどうぞ。それで私はこれから何処へ追いやられるのでしょうか?このままこの小屋へ留まれば良いのですか?」

慌ててエンリケが口を開く。

「とんでもないことでございます!姫君には陛下が戻られるまで、国賓として王宮に留まって頂きます。そもそも、離宮などと言い出さなければ、この様な場所に姫君をご案内する事もございませんでした。私共の失態、重ねてお詫び申し上げます。只今迎えの馬車を手配致しますので、この様なむさ苦しい場所で大変心苦しいのですが、もう暫くお待ちください」

外の捜索隊に指示を出しに行ったのだろう。

エンリケは慌てて飛び出して行った。


アマリアはまだ泣いている。

ルイスは慌ててアマリアに駆け寄り、背中を摩りながらヒソヒソと話す。

『アマリア空気を読んでくれ。もういいから』

『鼻の穴からグスッ!タマネギが抜けまグスッ』

あたふたとルイスは、アマリアを外へ連れ出した。


ちょっと!殿下と二人きりって!

ないわ〜!

このシチュエーションないわ〜!

レイリアの心の叫びとは裏腹に、ジョアンは顔を上げるとレイリアに話しかけてきた。

「姫君、どうしても二人だけで話したい事がある。私が頼める立場ではないが、時間を頂いても良いだろうか?」

図らずも二人きりになってしまったこの状態で、レイリアに断れる訳がない。

「仕方がありませんわ。実際二人しかおりませんもの」

レイリアが投げやりにそう言うと、ジョアンは「人払いをしてくる」と言って出て行った。

戻って来ると扉を閉めて、レイリアの手を取りソファへ座らせる。

エスコートって訳ね。

物凄く今更って感じ。

二人で話とか。

サッサと終わらせてしまいましょう。


ジョアンがレイリアの向かい側に座ると、レイリアが徐ろに切り出した。

「で?お話とは何ですか?」

ジョアンは一度深呼吸してから話し始めた。

「姫君に出した条件、あれは本当に酷い物だった。本当に申し訳ない。いくら焦っていたとしても、やってはいけない事だった。結果として当初の目的通りになったとはいえ、姫君を利用した上傷付けた」

「利用?聞き捨てならない台詞ですが?」

「こんな事を言うのはどうかしていると思われるだろうが、私は失脚するのが目的だった。私より相応しい人物に王太子の座を譲る為に。その為に姫君を利用して、自分の評価を著しく下げた。姫君には陛下に訴えて貰う予定だったのだ。あの様な非道な人間は、王太子に相応しくないと」

「マジ?いえ、正気ですの?まともな考えじゃないわ?」

「誓って言うが、いたって正気だ。私は国王になってはならない人間なんだ。私より相応しい人物は既にいる。私は陛下に何度もそれを訴えて来たが、全く聞き入れて貰えなかった。それでも時間をかければ、いずれ理解して貰えると思っていたのだが。ここにきて急に状況が変わった」

「それはミドラスと私というお荷物かしら?」

「いや、確かにミドラスの圧力が一番の原因だが、陛下が私にこう仰ったのだ"速やかに姫君と結婚せよ。結婚した暁には即王位に就け"と。姫君には私が王太子の座を退き、相応しい人物の元へ嫁いで貰う予定だったのだが、陛下に先手を取られてしまった。焦った私は何としても阻止しようと、バカな条件を出して姫君を酷い目に遭わせてしまった」

「殿下は国王になってはならない人間と仰いましたが、その理由は何ですの?そこに殿下の想い人とやらは関係しているのですか?」

「私が退く事で、私の想う相手は幸せを手に入れる事が出来る。その為なら私は、どんな手段も厭わない。理由‥‥か。それについて今は詳しく話せない。陛下と私以外、誰も知らない事だから。ただ、今一つだけ言える事がある」

「一つだけ言える事?」

「ああ、一つだけ。私は生まれながらの罪人なんだ」


何を言っているのだろう?

殿下の言う事は理解出来ない。

アマリアが言っていたアレかしら?

「色々と複雑なんですよ、大国の王族という物は」

複雑にしても程があるわ。

それにしても殿下、罪人とか、そんな爆弾投下されても困るんですけど!

読んで頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ