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こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
169/175

【その後】リサーチ3

カドカワフロースコミックより、コミカライズがスタートしました。

漫画家van様により、レイリアも元気に動いています。

ありがたや〜!

「えーっと、時にエンリケ様は、何と言って求婚したんですか?」

まあね、こんな時は困った時のエンリケ様だ。

「私ですか?いや、私のはあまり参考になりませんよ。以前ジョアン殿下にも参考までにと聞かれましたが、本当に参考にならないと言われた実績もありますし」

何回参考って単語を言うんだって位、参考を連発してるから、きっと本当に参考にならないんだろうな。

ジョアン殿下も深く頷いてるし。

「ルイス殿、エンリケのは聞くまでも無いぞ。まあ、どうしても知りたければ、不本意だがレイリアの侍女殿の本を読んでみるがいい。不本意だがな」

そうか、恋愛小説は柄じゃないから、タイトルだけしか読まなかったけど、アレはやっぱりジョアン殿下をネタにしてるのか。

う〜ん‥読むべきか‥読まざるべきか‥


悩む僕の肩を、エドゥアルド殿下が軽くポンと叩く。

以前はライバルの名乗りを上げる前に、圧倒的な敗北を喫したこの方だけど、全く悔しいとは思えない位、僕はこの方を尊敬している。

だってあのレイリアを妻に出来るなんて、尊敬しかないだろ?

どのみち僕じゃ相手にもされなきゃ、手に負える筈も無かった。

「ルイス殿、君は君らしく、思ったままを伝えるのが一番だと思うよ。飾らない君の言葉を受け入れてこそ、お互いに相応しいと思える相手だと私は思うんだ」

あ、ヤバイな‥ちょっとグッと来た。

この方は常に真っ直ぐレイリアと向き合って来たんだ。

どんな目に遭っても諦めずに。

よし!ちょっと勇気貰った!

上手い言葉でカッコつけようとしたって、結局僕は僕だもんな。


「なんかお騒がせしました。ちょっと急用を思い出したので、今日の所は失礼させて頂きます」

僕の都合でさっさと帰るのも失礼かと思ったけど、殿下達もエンリケ様も快く送り出してくれたから、そこは国のトップ、流石に懐の深さを感じるよ。うん。

とにかく僕は一目散に、彼女の元へと馬を飛ばした。

目指すはカストロ子爵邸。

行儀見習いを終えて、実家に戻ったイネス嬢の家だ。

一応今日訪問する事は、事前に手紙で報せてあるけど、予定よりは大分早い訪問にはなる。

にも関わらず快く迎えてくれた執事に、僕は応接室へと通され、イネス嬢の訪れを高鳴る胸の鼓動を抑えて待った。


「お久しぶりでございます、ルイス様」

柔らかな笑顔を浮かべたイネス嬢は、記憶にある姿よりもずっと輝いて、うるさいぐらいに心音が高まる。

僕は相当舞い上がっていたんだろう。

いきなり聞いたのは自分でも、何でそんな事を?ってやつだった。

「ひ、久しぶりだねイネス嬢。えっと、大きくなった様に見えるけど、身長伸びた?」

「は?身長ですか?変わらず156センチですが?」

僕のバカ〜!!

何聞いてんだよ!

でも、ここで怯んでいられない。なんとか巻き返しを図ろうとして、いつもの言葉遊びを持ち出した。


「そ、そうなんだ‥。うん、相変わらず君の笑顔に、君の身長と同じダメージを食らったよ」

「身長と同じ‥ですか?」

訳が分からないといった顔で、小首を傾げるイネス嬢。

ああ、こんなんじゃ全然伝わらない!

だけどこれも僕らしさだ。

「えっと‥つまり、その‥156…イチコロって事なんだけど‥」

「えっ!?」

みるみる顔を赤くして、両手を頰に当てる仕草を見せるイネス嬢に、高鳴る鼓動は最早ドクンどころかズキュウンに変わる。

ああ、やっぱり可愛いなぁ。

うん、全てにイチコロだよ。

「イネス嬢、僕は近い将来、ブラガンサ辺境伯の跡を継ぐ。だけどブラガンサ領は王都と違って、楽しい事も何も無い所なんだ。そんな魅力も何も無い土地だけど、僕は生まれ育った土地をとても誇りに思っているよ。先祖が命を懸けて守った、大切な土地だからね」

イネス嬢は僕の話に、黙って頷いている。

ああ神様、ここからがいよいよ本場です!

「だけどね、僕にはもう一つ大切な物が出来たんだ。それが今、目の前にいる君だって言ったら、君は嫌かな?」

「ルイス様‥」

「嫌ならはっきり断ってくれて構わない。だけど僕は、君にブラガンサ辺境伯夫人になって欲しいと思うんだ。楽しい事も何も無い所だけど、ブラガンサ辺境伯は守る事にかけては、このオセアノのどの貴族にも負けないつもりだよ。だから君の事も、守らせて欲しいんだ‥」

ドキドキしたけど、これが正直な僕の気持ちだから、一生懸命伝えたつもりだ。

どんな答えが返って来るのか、ズキュウンを抑えて返事を待つ。

すると意外な事に、イネス嬢はクスクスと笑い出した。


「もう、ルイス様ったらおかしな事を。ルイス様がいて、楽しくない筈がないじゃないですか」

「えっ!?それじゃ‥返事はオッケーって事?」

「ええ。毎日ルイス様のセンスある言い回しが聞けると思うと、とても楽しみですわ」

思わずガバッと抱きしめて、二人で顔を真っ赤にしたよ。

やっぱり神様は見てるよね〜!

ともかくこれからの人生が楽しみで仕方がない!

あ、散々聞いておいてなんだけど、殿下達やエンリケ様には、僕のプロポーズの言葉は内緒にしておこう。

彼女にイチコロと言った経緯を、エンリケ様に聞かせたら悔しがるだろうからね。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱりルイスが一番センスありますね(笑)
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