表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
167/175

【その後】リサーチ

久しぶりに王都の大神殿で祈りを捧げる。

もちろん供物もバッチリだ。

え?何でそんなに熱心に祈っているのかって?

そりゃあまあ、ちょっと精神統一的なアレかな。

だってこれから僕の将来に関わる、大きな事をするんだから。


大神殿を後にして、王宮横から森に入り、真っ直ぐに離宮を目指す。

ここを因縁の場所と言えばそうなるんだけど、今となってはいい思い出かな。

基本僕も田舎者だから、自然が豊かな場所は好きだ。

僕よりもっと田舎者の従妹にとっては、最も相応しい場所とも言える。

多分言えばムッとするだろうけどね。

昔はそういうのも気を引きたいが為に、ワザと言ったりしたよなぁ。

結局何も上手くいかなかったけど、いい勉強にはなったかな?

そう、今度は失敗したくないんだ。

だからきちんとリサーチしなきゃ。


「ブラガンサ様、遠い所をご苦労様です。レイリア妃様もお越しになるのを、それはもう楽しみにしておられましたよ」

迎えてくれた女官長の、額の部分につい目が行く。

どうやらあの時床にぶつけた跡は、残っていない様だ。

なんせ派手な音がしたからねーあの時!

ちょっとまずいんじゃないかと思っていたんだよ、うん、跡が残っていなくて良かった良かった。


「あらルイス、意外と早く着いたのね。せっかく待ってたのよ〜!っていうのをやりたかったのに」

「それに何の意味があるのか知らないけど、君は相変わらずだねレイリア。変わったのはお腹が大きくなった事ぐらいだ」

「そうなの!最近急に膨らんで来たのよ。あと3カ月程で産まれるんですって。だから最近重くって、それでゆっくり歩いてるのに、エディったらいちいち抱き上げるから、運動にならないのよ。本当、過保護過ぎて困りものだわ」

おやおやこれは愚痴なのか?それともノロケ?

まあ、どっちでもいいか。

結局幸せって事なんだから。


「それは良かったね」

「えっ!何よそれ、全然感情がこもってないじゃない!」

「幸せそうで良かったねって事だよ。殿下が過保護なのは前からだろ?今更って気がするよ」

「それはまあ、そうなんだけど」

「それよりアマリアはどうしたんだい?姿が見えないけど?」

「ああ、何か最近恋愛小説家になって、出版社へ原稿を届けに行ってるのよ。多分もうじき帰って来ると思うけど」

「なんだ、せっかくお土産も持って来たのに」

僕がお土産と口にすると、レイリアは珍しく真面目な顔をした。

まあ、そこはお互いによく知った仲だ。

なんとなく言われる事には察しがつく。

特に僕は察しがいいからね。


「お土産って‥ねえルイス、多分アマリアはそのお土産いらないんじゃないかと思うわ。だってルイスが選んだんでしょ?」

「いや、君に言われたくないね。それに、今回は僕じゃなくて母上が選んだんだから、何の問題もない筈だよ」

「なら良かった。じゃあ私にもお土産頂戴!」

「あー君のは僕がじっくり選んだからね、かなり自信があるいい物をあげるよ」

「えっ!?なんで私だけ?」

「そりゃあ選びたかったからさ。僕のセンスを理解出来るのは、レイリアだけじゃないか」

「否定はしないけど、選ぶのと貰うのじゃ訳が違うわ。‥まあいいか、エディにあげよう‥」


うわーなんかエドゥアルド殿下が雑に扱われてるよ。

ん?僕のお土産が雑に扱われてるって事じゃないか!

全く、こういう所は変わらないな。

レイリアはやっぱりレイリアだ。


「まあ!ルイス様、お久しぶりですね!」

勢いよく扉を開けて、お待ちかねのアマリア登場だ。

そう、今日はどちらかというと、アマリアに用がある。

こういう話はアマリアの専門だからね。


「やあアマリア、待ってたんだよ。とりあえずこれ、ブラガンサ地方のお土産。言っとくけど、それは母上が選んだやつだからね」

「まあまあ!私にですか?どういう風の吹き回しですかね?いえ、ありがとうございます」

母上と聞いて、そうあからさまにホッとしなくてもいいじゃないか。

僕のセンスもそう捨てたもんじゃないよ?

でもまあ、これは所謂謝礼代わりだから、確実な方を渡すしかないや。

アマリアは早速箱を開けている。

ああ、やっぱ普通に喜んでるし!


「さすがブラガンサ伯爵夫人はセンスがいいです!このブローチはブラガンサ地方の伝統工芸品なんですね。で?どういう風の吹き回しですか?」

「えーと、実はちょっと折り入って相談したい事があってさ、年頃の女性はどんな物を貰ったら喜ぶと思う?」

「おや?これはこれは、そういう事ですか。なるほど、勝負に出るつもりなんですね?」

「えっ?何?何の勝負よ?アマリア、私にはさっぱり分からないわ」

「奥様は不得意分野ですから、そこのお菓子でも食べていて下さい。これは私の専門分野ですからね。ルイス様、無難なのは花ですよ。大抵の女性は花を貰えば喜びます」


花か‥。

まずは第一候補だな。


「えー花なんか貰ったって嬉しくないじゃない!どうせ枯れるし、食べられないし」

「それは奥様だからです。それじゃあ聞きますが、奥様はエドゥアルド殿下に貰って、何が一番嬉しいと思いましたか?」

あ、なんかそれ聞いてみたい気がする。

殿下はロマンチストだし、いつも甘いもんな。

あの甘さは、レイリアと出会っていなかったら、相当勘違いする女性いただろうなぁ。

ただでさえあの高身長で美形だし。

きっとさりげない甘さを演出した系の、アクセサリーとかそういう類じゃないか?


「エディから貰って嬉しかった物?そんなの決まってるわよ、プロポーズの言葉!」

えっ!ちょっと待って、予想外なんだけど。

「奥様にしては中々いい事言いますね。さすが母親になろうとしているだけはありますよ。まあ、私もそういう物なんだと思っていましたが。ルイス様、要は贈り物より真心です。無難な物を渡して、真心を伝えるのがベストですね」

「真心って‥何て伝えればいいのさ?」

「それは‥先輩方を参考にしたら如何でしょう?エンリケ様ですとか、ジョアン殿下やエドゥアルド殿下とか」


う〜ん、アマリアの言う事も一理あるな。

個人的にジョアン殿下のプロポーズの言葉に興味あるし。


「分かった、ちょっと行って聞いてみる。また後で顔を出すから、レイリアのお土産はその時に渡すよ」

「ええ。ルイス様の健闘を祈ります!」

グッと親指を突き出したアマリアに激励されると、僕は来た道を引き返し、王宮へ向かった。

遠くでレイリアが叫んでいる。

「お土産は忘れていいからね」だって?

おいおい、もっと他に言う事ないのか?

あんなにズレていたら、エドゥアルド殿下も苦労してるだろうなぁ。


さてと、それでは先輩方の言葉を、リサーチさせて貰いますか!

読んで頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ