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こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
146/175

予感がします

お茶会も終わり、王宮にいる必要の無くなったレイリアは、ポンバル邸へ向かう馬車に揺られていた。

戻れば間違いなくドミニクのお仕置きが待っている。

それを考えると暗い気持ちにはなるのだが、それ以上にレイリアには一つ気がかりな事があった。

今夜はいよいよエディが襲撃される晩だ。

襲撃するのはリカルド達で、その後の準備も万端に整っている。

だというのに、何故か妙な胸騒ぎがして、落ち着かない気持ちになるのだ。

これは単に心配のあまり、そういう気持ちになるのだと、自分に言い聞かせてはみたものの、こういう胸騒ぎは案外当たるのだという事も知っている。

それは今迄の経験上、殆どが当たっていたからだ。

ソワソワと落ち着かないレイリアを見て、同行して来たアマリアは溜息を吐いた。


「姫様、いくらドミニク様に叱られるのが怖いからって、少しは落ち着いて座って下さいよ。そんなソワソワしたって変わりませんよ。やらかしたのは姫様なんですから」

「それは分かっているわよ。あーやっちゃったな〜じゃ済まない事位、十分承知しているわ」

「じゃあソワソワするだけ無駄ですよ。無駄なエネルギーは使わないで、省エネを意識して下さい。どうせこの後、たっぷり絞られるんですからね」

「うっ!ねえアマリア、これ以上無い位のお兄様の怒りって、どんなのか想像出来る?」

「さあ?基本私は、ドミニク様に叱られる事はありませんから、まず姫様が叱られている所しか、見た事がありませんね。でも、いつも決して声を荒げる事も、怖い顔をする事も無いじゃないですか。穏やかな笑顔で優しく叱っていましたよね。まあ、それを見ていた使用人の若い女の子達は、胸キュンで悶絶していましたが」

「知らぬが仏だわ。あの穏やかな笑顔がどれだけ恐ろしい事か!お兄様はきっちりやる事はやらせる人よ!前なんか、分厚い哲学書10冊の書き取りだったもの」

「ああ、大公様の執務室に、オタマジャクシの入った洗面器を置いた、あの事件ですか。あの時は大変でした。執務室がカエルだらけになったんですから」

「あんなに早くカエルになるとは思わなかったのよ。可愛いからお父様に見せようと思っただけなのに」

「大公様はカエルが苦手です。知ってましたよね?」

「う!‥知ってました」

「じゃあ姫様の自業自得です。とにかくきっちりやる事はやらされて下さい」

「‥はい。それは覚悟が出来ているんだけど、私がソワソワしているのは、違う理由でなの」

「なんですか姫様、お手洗いに行きたいんですか?」

「そうじゃなくって、なんていうか‥胸騒ぎがしてね。ほら、今夜の襲撃の事よ」

「胸騒ぎですか?しかも今夜の!?」

「そう。嫌な予感みたいな物がして‥」

「予感!?恋の予感なら私の得意分野ですが、そういうのは姫様の方が良く当たりますよね。しかもエドゥアルド殿下に関する予感というと、考えたくない事を考えてしまいます。ここはやはり、ドミニク様に相談してみた方がいいかもしれません」

「あ、やっぱりそうよね。でも怒ってるから‥」

レイリアは言いながらチラリとアマリアを見た。


「そうやって私に仲介させようとしている、魂胆が見え見えですよ。ハア、分かりましたよ。なんとかドミニク様を取り成します」

「流石アマリア!分かってるぅ!」

「分かりたくないんですけどね、まあ、今回の姫様の暴走も、恋心からだと思えば理解出来なくも無いので。あ!そういえば私の予感は当たりましたね!」

「えっ!?何の予感?」

「オセアノに来てから言ったじゃ無いですか!あの時は赤毛をやめて、金髪はどうですか?なんて言いましたけど、結局赤毛に落ち着いたんですから、私の予感も捨てたもんじゃありませんね」

「そんな事言ってたかしら?よく憶えてないわ。憶えているのはアマリアが持って来た『ツンデレ王子の恋愛指南』って恋愛小説のタイトルだけだわね」

「ん?姫様せっかく貸したのに読まなかったんですか?」

「え、ええと、いくらかは読んだんだけどね、忘れちゃった!かな?」

「はー‥!まあいいです。もっといい本を貸しますから。絶対読んで下さいよ!」

「はぁい‥」


こういう時のアマリアには、逆らわない方がいい。

レイリアはポンバル邸に着くまでの間、お薦めの恋愛小説の話をジッと聞いていた。

そしてポンバル邸の門を潜ると、ドミニクが極上の笑みを浮かべて出迎えてくれた‥‥。

滅多に病気をしませんが、数日前から何故か体調不良です。

これ、熱あるんじゃ‥と思って計ったら、35度でした。

もしや私は爬虫類になるのかもしれない。

この体調不良は爬虫類化!?

読んで頂いてありがとうございます。

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