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こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
141/175

片を付けるつもり

ポンバル家でのお茶会の準備を手伝うドミニクの元へ王宮から手紙が届いたが、差出人はエディでレイリアを無事捕まえたという連絡だった。

その他にお茶会もある事なので、もう少し預かるという事と、変装したままエディの雑用をさせて、夜は隊長の実家で預かって貰うという事も書いてある。

そして、海よりも深く反省しているという事も‥


けれどもドミニクは知っている。

レイリアの反省は3日と持たないのだ。

これほど信用のない反省の言葉は無いからな‥

そう呟いたドミニクは、溜息を吐いた後イザベラに手紙の内容を伝えた。


「カステーニョ、棚から二番目の青い表紙の記録簿を、取ってくれないかい?」

「はい殿下、これですね。どうぞ!」

「ありがとうカステーニョ。それからキスをしてくれないかい?」

「は、えっ!?な、何を突然‥!む、無理です!」

「残念。引っかからなかった」

「うう‥お仕置きは‥お腹いっぱいです。もう勘弁して下さい!」

「ショックだなぁ‥私にキスするのは、そんなに嫌かい?」

「そ、そういう訳じゃなくて、えっと、仕事中だし、人目もある事だし‥なにより私の心臓がもたないんです!」

「心臓がもたない?何故?」

黙々と仕事をこなしていたエンリケは、たまらず会話に割って入った。


「あーコホン!お二人共、人目と仰いましたが、ちっとも私の存在を気にされておりませんね。殿下も仕事中は慎んで下さい。そのイチャイチャに私が勘弁ですよ!」

「悪かったよエンリケ。ちょっと配慮が足りなかったな。気を付ける事にするよ」

「そうして下さい。それよりも殿下、例の寝る時間と場所ですが、マルグリット嬢の侍女に流しました所、早速手紙を送っていたそうです。ほら、ブラガンサ殿の話にあった、ハメスの監視役らしき侍女ですよ」

「うん。流石はエンリケ、仕事が早い。マルグリット嬢の様子はどうだ?」

「ポンバル家のお茶会へ、いそいそと出かけて行きました。今頃はエサを探している事でしょうね」

エサと聞いたレイリアは、不思議に思って問いかけた。


「エサ?ポンバル家でエサって、何の事?」

「それはですね、実は‥」

「エンリケ、リカルドとルイがそろそろマンソンの所から戻って来る筈だよ。ちょっと様子を見て来てくれないか?」

「えっ?そうなんですか?でも彼等は、戻ったら真っ直ぐに殿下の元へ報告に来る筈ですが?」

「いや、急いでいるから見て来て欲しいのだよ。行ってくれるかい?」

何故かやたらと勧めるエディに、エンリケは何となく事情を察した。


「あっ!そういえば私も他に寄る所があったんです!行ったついでに寄って来ますね」

そう言ってエディにこっそり片目を瞑り、エンリケは慌てて出て行った。

「エディ、また何か隠してるでしょ?」

「君が知りたがるという事は、ドミニク殿の怒りが増すという事だよ。私は君の為に話さないつもりだが、それでも聞きたいかい?」

「ヒェッ!怒りが増す!?う、ううん、全然!これっぽっちも聞きたくありません!ふー危なかった!」

「リアが好奇心旺盛なのは結構だが、知りたいと思う気持ちが、必ずしも知られていい物とは限らないからね。気を付けて」

「はい。気を付けます」

「うん。素直なリアはいいね。いつもそうだと苦労しないのだが、それだとリアではなくなってしまう。悪戯っ子なリアも好きなのだから、私も困ったものだよ。頼むから、あまり気を揉ませてくれるな」

「はい。自分でも滅茶苦茶だと感じる時はあるの。本っ当に気を付けます!」

「まあ、お説教はここまでにして、ソファへ座ろう。多分すぐにリカルド達が戻って来るよ。私はこれからの計画で、一気に片をつけるつもりなんだ」

真剣な表情で話すエディに、レイリアはゴクリと唾を飲み込んだ。

一気に片をつけるという事が何を指しているのか、説明を聞かなくても分かっている。

そうしてチョコンとエディの隣に座ると、エディはレイリアの肩を抱いた。


「これから私のやろうとする事は、もしかしたら君に軽蔑されて、嫌われるかもしれない。それでも私はやらなければならない。それがオセアノの第1王子としての、私の務めなのだから」

「‥‥私は‥のんびりしたバルコスで、務めとかそういう物と無縁の生活を送って来たの。ところがオセアノに急に行く事になって、初めてそれが私の務めだと知ったのよ。だからエディの言っている事は理解出来るし、嫌う事は絶対に無いわ。だから遠慮なく、ドーンとやっちゃって!その時はこんな格好じゃなくて、きちんとした姫君の姿でエディを迎え入れるから」

「ドーンとね。全く君には敵わないよ。私の姫君は逞しいね」

エディはクスッと笑って、レイリアの頰にキスをした。

不意打ちに赤くなるレイリアに、エディはもう一度キスをする。

すると扉が開く音がして、リカルド達を連れたエンリケが入って来た。


「おや、またイチャイチャしていたんですか?イチャイチャしている所悪いのですが、彼等の報告を先に進めさせて頂きますよ。もう一度言いますが、イチャイチャしている所悪いのですが」

「分かった分かった、愼むよ。リカルド、ルイ、ご苦労だったね。では、報告して貰おうか。マンソンは何と言っていた?」

「はい主人、マンソンから指示が出ました。三日後の夜、主人を殺害しろとの事です」

「そうか。やはり、なりふり構わずだったな‥。よし、もう一度計画を確認しよう!」

全員が頷いて、ゴクリと唾を飲み込んだ。

読んで頂いてありがとうございます。

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