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こじらせ王太子と約束の姫君  作者: 栗須まり
第1部
128/175

女性心理は理解不能

執務室へ戻ったドミニクが、一部始終を話し終えると、エンリケが頷きながら口を開いた。

「フムフム、成る程!女装だとそんな反応になるのですね。ドミニク殿下の微笑みは、やはり強力だという事が分かりました。これでマルグリット嬢の関心は、一気にドミニク殿下に向くでしょう!」

「‥すまないが僕は、彼女に二度に会いたくない。この役を下ろして貰えないかな?他に方法を考えるから」

「そんな、せっかく追い払えたというのに!もう少し我慢して頂けませんか?」

「いいえ、ドミニク様はこれ一回限りで大丈夫ですわ。エンリケ、何か勘違いしているわね?彼女の注意を引くのは私よ」

予想外の言葉にキョトンとするエンリケに、イザベラは溜息を一つ吐いて話を続ける。


「もう!だから女性心理を学べって言ったのよ。いい?彼女は私の侍女を欲しいと言ったのよ。それも話を聞く限り、断られても諦められない程にね。だとしたら、私の元に居辛い状態を作れば、自分の所へ来易くなると、多分そう考えるでしょうね」

「居辛い状態ですか?具体的にどんな状態なんでしょう?」

「私の醜聞を流すのが、一番手っ取り早いでしょうね。だから多分、これから色々仕掛けてくると思うわ。ワザと殿方と2人きりにして、密室に閉じ込めたりとか。使用人‥特に侍女は、醜聞まみれの主人の元で、働きたいとは思わない物よ。評判の良い主人の元で、働いていたという実績があれば、その分箔がつくし給料も良いのよ」

「ほ〜成る程!しかし何とまあ、陰湿なやり方ですな。これは‥ある事無い事大作戦!でどうでしょう?」

「‥エンリケ、どうでもいいわ。ドミニク様には悪いけど、餌の役割をして貰ったのよ。それも、中毒性の高い餌ですから、確実に引っかかったわね。でも残念だわ‥私はその格好、気に入っているのですけど」

「いや、もう勘弁してくれないか?本当に、二度と御免だ!」

「せっかく名前まで考えていたのですけどねぇ。ねえエドゥアルド、ドミニカなんてどうかしら?可愛らしいと思わない?」

楽しそうに言うイザベラとは対照的に、エディは暗い表情をしている。


「‥すまないイザベラ‥。また君に迷惑をかけてしまったね。私が迂闊だったばかりに、リアにまで余計な不安を与えてしまった‥。リアは、リアの居場所は、見当がついているのかい?一刻も早く探し出さなければ!」

「どこにいるのかは、まだ分かりません。ただ、絶対見付からない場所という事だけは、連絡して来ました。アマリアを問い詰めたら、衣装箱ごとルイスの部屋へ運んだそうです。でも肝心のルイスがどこかへ出たとかで、居場所が分からないのですよ。まあ、ルイスが一緒なら、そこまで心配する必要は、無いかと思いますが‥」

「いや、やはり心配だよ‥。私の蒔いた種なのだから。策士策に溺れるとは、こういう事を言うのだね‥」

「まあ、そうね。エドゥアルドには、そういう所があるわね。それにしても‥やっぱり兄弟ね。落ち込み方がジョアンとそっくりだわ」

「あ、やっぱりイザベラ嬢もそう思いますか?私も常々そう思っていました。ただエドゥアルド殿下は、私のネーミングには寛容なので、私としてはやり易いという利点があります。お陰で大分名作が出来ましたよ。発表しても?」

「いやエンリケ、直ちにルイス殿を探してくれ!ネーミングなら、後でいくらでも聞いてやる!今はそれが最優先だ!!」

「な、なんと!エドゥアルド殿下、今の言葉を忘れないで下さい!このエンリケ、必ずやブラガンサ殿を、探し出して連れて参ります!おっと、こうしてはいられない、行って参りますっっ!!」

慌しく出て行くエンリケの後姿を見送ると、イザベラは可哀想な者を見る目でエディに言った。


「‥いいの?エドゥアルド?あんな約束して、後で後悔しても知らないわよ?」

「リアの身の安全の為なら些細な事だよ。それよりイザベラ、君こそ大丈夫かい?」

「そうだイザベラ嬢、彼女は酷い癇癪持ちだ。それに、余り話が通じる相手では無い。何か他の方法を考えないか?」

「お二人共、心配ご無用よ!分からないかもしれないけど、女には女の戦い方があるのよ。久し振りに‥腕が鳴るわね」

イザベラはそう言って、にっこりと笑ったが、エディとドミニクは、少しだけ背筋が寒くなった気がして、思わず首筋を手で擦った。

読んで頂いてありがとうございます。

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