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第三話 心化粧

帰り道はずっと花火大会のことを考えながら歩いた。家に入ると、幾分か暑さが和らいだ。

この暑い中背負って帰ってきたリュックサックを玄関に下ろすと、リュックと背中の間のモワッとした空気が解放されていくのがわかった。シャツの背中部分は汗でぐっしょり濡れている。


リュックの背中に当たる部分と肩に触れている部分にかなり汗が染み込んでいそうだなあなんて考えながら、冷蔵庫を漁りキンキンに冷えた麦茶を取り出す。朝水筒に入れて行った分など、部活が始まる前に飲み切ってしまった。それからの水筒にはぬるい水道水が入っていたが、それも部活の後半にはなくなっていた。


コップに注ぎ、冷蔵庫の扉が閉まるのも待ちきれずにグイッと飲み干す。そして、もう一杯注いでから冷蔵庫にしまった。アイスを手に取り、肘で天国への扉を開けた。

入った瞬間、背中から気化熱を奪われた。身体の表面が一気に冷え、身震いする。だが、それが心地よい。

一度入ったら出る気などさらさら起きない。母親が専業主婦で良かった、と心の底から思う。母の日の感謝の半分はきっと夏の日のエアコンだと思う。あと半分は・・・・・・冬の日の炬燵かな?


どれくらい経ったのか分からない。だが、洗濯物を干し終えた母が部屋に入ってくるまではだらだらしていた。・・・・・・ごろごろかもしれない。母に勉強を急かされ、自分の部屋へと追いやられた。無論、部屋にはエアコンなんてない。相談室に置いてあるのより少しスリムな首振り扇風機があるだけだ。

既に、エアコンの効いたあの部屋が恋しくなってきた。さっさと予習を終わらせて、早くあの部屋に戻らなければ、そう思って椅子に腰掛けた瞬間、見計らったかのように、スマホが鳴った。帰り道の間中胸ポケットに入りっぱなしだったスマホの画面は汗でじっとり濡れていた。確認すると那智からRAINが来ていた。


[那智:花火大会何時集合にする?]


私は少し考えてから返信した。この時、ご飯を食べ終わるまで、もう勉強出来ない気がしてきた。


[さやか:そもそも何日?(--;)]


すると、送った瞬間に既読が着いた。


[那智:ちょっと調べてくるわ]

[さやか:oκ! ٩( ˙꒳˙ )و ]


そう返してから、学校で配られた手帳を取り出す。白い表紙に箔押しで西暦が刻印されていて、ハードカバーの本程度のサイズ感。しっかり“今週の目標”や“今週の反省”の欄があるあたりがいやらしい。


それを見て、思い出す。悲しい事実を。

そういえば、西高(花綵西高校の通称)は頭がおかしいことに土曜日まで課外があるんだった。もし土曜日だったらどうしようかと考えていると、那智から返信が来た。


[那智:7月27日だった!]


事態が飲み込めず、スマホから天井へ流れるように視線を移す。そして少し首を捻る。嫌な予感がする。

手帳に手を伸ばす。たしか、27日は土曜日だったはずだ。恐る恐る確認してみると、嫌な予感は的中していた・・・・・・。


この残酷な現実を、那智にも伝えなければならない。


[さやか:その日、課外あるんだけど・・・(T_T)]

[那智:まじか!!]

[さやか:どうする?]


ここまで返信した時点で、母に夕飯の準備に呼ばれた。


その後の話し合いで、学校帰りにそのまま制服で行くと夜遅くまで制服でいることになってしまうこと。そうすると、補導される危険性があるということ。一旦家に帰ってから17時に現地集合するという風に落ち着いた。

思ったより情景描写が長くなってしまいました・・・(--;)本当は4話で花火大会に行かせるつもりだったんですけど、5話になりそうです・・・・・・。

次は、こんな失敗しないようにしなければ!!

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