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第一話 凪日和

私の名前は青椿あおつばき さやか。花綵西高校はなづなにしこうこうの2年生で演劇部唯一の理系。

そんな私は今、睡魔と戦っている。今日は夏休みのはずなのに夏課外と称して学校に来ることを強制されているのは何故なのだろうか・・・・・・




キーンコーンカーンコーン




長かった授業の終わりを告げるチャイムがようやく教室に響く。

ここから先は放課後・・・・・・というより部活だ。


最期の授業が担任の先生だったこともあり、SHRは挨拶だけで終わった。

手早く机を下げる。今日は掃除当番が割り当たっていないので足早に教育相談室に向かう。


いちいち事務室に鍵を借りに行かなくてはならないのがかなり面倒くさい。廊下は人通りが少ないし、日当たりが悪いので少々不気味だ。

旧校舎ということもあって、壁の塗装が少し剥がれていたりするのが更に雰囲気を醸し出している。


相談室の扉に鍵を差し込み回す。だが、扉が軋むだけで開かない。もう一度力を入れる。不吉な音がして扉が開いた。中には誰もいない。


中に入るとひんやりとした、でも少し埃っぽい空気が私を出迎えてくれた。荷物を置いて一息ついていると、聞きなれた声が私に向かって呼びかけた。


「ただいまー」


その声の方に目線をやるとそこには那智なちが立っていた。彼女も演劇部で、部長をやってくれている。私が挨拶を返す前に那智は言葉を続けた。


「あれ、さくらは??」

「まだ来てないよ。教室で誰かと話してるんじゃない?」

「『掃除で遅れる』じゃないあたりが桜だよね〜」

「それな~」


そんなことを話していると、扉が開いた。


「ただいまー」


今入ってきたのが3人目にして演劇部最後の部員、桜坂おうさか 珠莉しゅり。“さくら”というのは【部ネーム】なのだが、私と那智は、お互い名前で呼び合ってしまっているし、桜は気恥ずかしいのかなんなのか変なあだ名で呼んでいるので、私たちの【部ネーム】はあってないようなものなのだ。


「「おかえり」」


私と那智が声を揃えて返す。

「ただいま」「おかえり」と言うのは、部室に入る時の挨拶。基本は「おはようございます」とか「こんにちは」とか部室に入る時と言うよりは中にいる部員に呼びかけるものだったのだが、付き合いが長くなるにつれて桜がふざけて「ただいま」と言ったのが始まりだった。

それからは3人とも「ただいま」「おかえり」と言うようになった。


本当は、【演劇部】だからいつでも「おはようございます」と言わなければならないのだけれど・・・・・・。

【部ネーム】というのは一部の文化部(運動部でもあるのかな?)の中で入部すると先輩からもらえるあだ名のようなものです。


基本的には部員同士でしか呼び合いませんが、部員と仲のいい他の部活の人には結構馴染むこともあるようです。


講習会など、他の学校との交流がある際は基本的に【部ネーム】で呼び合います。


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