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「なろう系」の目玉ジャンル「異世界転生」は何故「異世界」「転生」なのか?

 異世界転生(いせかいてんせい)

 小説家になろうのサイト内で、親の顔より見たワードだと思います。

 では、何故異世界転生なのか?


 まず、「異世界」。


 これは特に深い理由はありません。この太陽系の地球の日本の48都道府県のどこかに住んでいる我々(外国在住でも一緒なんですが)は、魔法とか大きな軍隊同士の戦争などが絶対に起こらない世界に住んでいます。


 まあ戦争は今後起こるかもしれないですが、魔法に関してはほとんどありえないでしょう。よく分からないし、小説内で語られても「ウソばっかり言いやがってクソボケがよォ!」と思うだけでしょう。そこで、異世界の出番です。


 こことは異なる世界という世界観を用意することで、「ああ、うちらとは別の世界なら事情が違ってもおかしくないな」と読者は思うのです。これ自体はそもそも昔っからファンタジーで採られていた手法なので、「なろう系」だけの特徴、というわけではありません。



 で、問題になってくるのが「転生」。こちらはまさに「なろう系」の典型と言っても過言ではないでしょう。


 異世界転生というジャンルを初めて知った人は、まず十中八九「なんで死ななきゃいけないの?」と思うんじゃないでしょうか。

 これにはちゃんと理由があります。




 小説の絶対鉄則として、「主人公は読者が共感できるものにする」というものがあります。




 死ぬ前の主人公は、「現実世界」の人間です。つまり、私たちと同じ。金も地位も才能も名誉も恋人もなく、毎日をなんとなく過ごしている、私たちと同レベルのごくごくごくごく普通の人間です。ここで一度、「主人公≒読者自身」という認識をむりやり植え付けます。


 そんな主人公が死に、新しい世界へ旅立ちます。しかも異世界では自分は最強だし、女の子たちはみんな好感度MAX。まるで自分が世界の頂点になったような錯覚を覚えられるのです。


他のジャンルだと、主人公への感情移入は描写に描写を重ねてじっくり行うものなので、これほどスピーディに読者に共感させたうえで満足感を得られる展開は、ある意味実に合理的だったりします。



 で、ここまで読んでくださった聡明な読者さまの中には、「死ぬ以外でもいいでしょ。ワープとかでよくない?」と思われた方もいらっしゃることでしょう。

つまり、「異世界転移」ではダメなのか?という話です。


 これも推測ですが、理由はあります。


 物語を大きく動かすには、「理不尽な事件に巻き込まれる」必要があります。でも、「ワープ」なんかは現実世界じゃ絶対に起こらない。では、「現実世界でも起こり得て、人間の人生で一番理不尽なこと」は何か?



 ……もうお分かりかと思います。それは「死ぬこと」なのです。



 それも交通事故などの理不尽な死が多い。一時期「異世界転生は大半がトラックに轢かれて死ぬ」なんて蔑まれていた時期がありましたが、現実にも起こりうる一番理不尽な死に方として、トラックに吹っ飛ばされるというところに落ち着くのは自然でしょう。確かにぶっちゃけ嫌だけども。


 しかも、今を生きている私たちは、誰一人として死後の世界を知りません。だから死後の世界にどんな妄想を膨らませても「絶対にありえない」とは言い切れないので、「突然死」は物語作りにおいて実に都合のいいターニングポイントとなるのです。

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