008
今日は寒いな。
さて、ダンジョンだ。
8階層のバッファローは大きく重い。剣での攻撃も力を込めて打抜く必要がありそうだ。
手持ちの剣は柄の部分が片手で持つように短くなっている。
両手で持てるような剣も必要ではないか?
昨晩、就寝前に考えだした結論だ。
棍棒を3本だして鉄塊にて、剣の柄を倍の長さになるようイメージし鉄塊を圧縮するよう魔力を流していく。
なかなか難しい、鉄塊が錬金エリアでうねり徐々に小さくなっていく。
剣の形ができてきたが大きいので圧縮のイメーシを重ねていく。
できた!片刃で刃渡り65cmの両手剣だ。だがちょっと重い。
これだけ圧縮していればバッファローの巨体でも折れることはないだろう。
重さに不安を感じつつも8階層へと入っていった。
バッファローは3頭ほどが纏まっているが向かってくる個体から斬り付けていった。
先頭は首筋に上段から一撃、全力で斬りつけた。
斬り落とすことが出来なかったが、8割くらいは切断できたので消えていった。
近くの1頭は頭を下げて突進してくる。角が左右にあるので躱す距離も大きくなる。
2頭から離れる方向に避け、手前の1頭が突進を始めるのを待つ。
向かってきた。後ろに1頭いるが前の個体が邪魔で突進できない。
最初と同じように向かってくる首筋を一撃。
最後の1頭が向かってくるので額に突き刺した。
かなりの衝撃で俺は後に飛ばされたが、バッファローは額に剣が刺さったまま消えていった。
正面から力を受けるのは悪手だったな。剣を広いながら考えていた。
角が2本と肉塊が1個、魔石3個が残されていた。
一端入り口まで戻り、肉を確認してみた。
重さは15kgくらいか、赤身で脂もあり美味しそうだ。
しかし、食用が本当に肉塊だったとは思わなかった。漫画の世界そのものだな。
ダンジョンの仕組みを知りたいものだ。
でも肉が入手できるのは良いことだ、これから自炊が増えていくだろう。
さて、戦いだが予想したとおり攻撃が通りにくい。首が太いのもあるが。
俺の筋力で一撃できれば倒す事はできる。再度バッファローと戦ってみよう。
今度は5体向かってきたよ。
足止めに2m位の水球をぶつけてみるが怯まず向かってくる。
先頭は一撃入れて消し去り、2頭目は背中に一撃入れるが15cmくらいで止まってしまう。
「ブギュ―――!」
痛みなのか怒りなのか吠えながら向かってっくる。
横からは別の1頭が向かってくるのでそちらに向かって進み、躱しながら首筋に一撃。
正面になった個体の前足付根付近に剣を突き刺す。
剣を持っていかれそうになるが腹を斬り裂くように引き抜く。
「ブギャッ!」
泣き声だろうな、こちらは後回しにして次に向かう。
背に傷を与えた1頭を消し去り、無傷の1頭と正面から向き合うが、一気に突進してくるので一撃で打倒した。
最後の1頭は前足が使えず立ち上がれないので難なく消えてもらう。
5体でも対応できたが、水球は不発だったな。
今度は角が3本と肉塊2個が落ちていた。
次の群れは4体だ。
体力が少しづつ削られるが問題無く進んで行く。
最後は5体の群れを消し去り、部屋にたどり着く。
【ビッグホーンバッファロー】
魔物
Lv18
スキル
無
●動きは少し速い。攻撃耐性小。食用。
強いんじゃないか?そう思った。
体格も1廻り大きくなり角が大きい、バッファローの倍以上だ。それが5頭だ!
階層主って5頭もいたら呼び方を変えよう。大奥!禍々しい感じしかしないな?普通にボス部屋でいいか。
とりあえず落ち着いて休憩しよう。剣の状態は問題無し、魔力も大丈夫。
体力は7割程減っているので休憩と昼食、昼寝の時間にする。
角が29本、肉塊が20個、魔石が46個か。
全ての個体が肉塊や角を残していないな。肉が上手ければ牧場変わりに使うか。
ビッグホーンなんで大角か、なんて思いながら部屋に入っていく。
攻撃を躱す距離を多くしないと角が迫ってくるので慎重に対応していく。
1頭づつ丁寧に対応すれば大丈夫だ。躱しては攻撃を繰り返し、時にはダメージだけを与え戦っていく。
一撃で倒すのを止め、こちらの大振りを控えれば体力も残るだろうと考えたのだ。
1回目の戦闘が終わった。
角3本、肉2個、魔石5個が残されていた。肉は30kgはあるな。
体力も残っている。剣を握る力も十分だ。
この階層も8回の戦いでリポップが終了した。
角22本、肉塊18個、魔石40個、今までの魔石と合わせて随分と集まってきた。
使い道も考えないと、そう思いながらダンジョンカードの8個目の玉確認し9階層に向かう。
【ゴブリンファイター】
魔物
Lv17
スキル
無
●動きは少し速い。
名前からして強そうだ。
万が一に備え防御を考えなければいけないか、そう思い盾とプロテクターを取り出す。
大角、重量は結構あるな、密度が高い感じがする。
とりあえず盾にしてみると1頭分で少し余裕があった。
出来上がった盾は鉄よりは軽くできているが、長時間の使用は無理だが短時間なら使えるかも。
次はプロテクターにしてみよう。
胸当て、ブーツのプラスチック部、グローブのプラスチック部、肘から手首のプロテクターを角に置き換える。
なかなか良さそうな感じだ。もともと厚みが薄いので重くは無い。
これも圧縮できるか?再度プロテクター類を3倍の体積が圧縮される感じで錬金していく。
圧縮のコツも掴めてきたので難しい事は無かった。
少し重くなったがプロテクターが完成した。
ヘルメットはカーボン素材だし軽いのでそのまま。
乳白色の角色の装備だ。ワンオフだぜ~!と言ってみた。
今日のはゴブリンファイター、強いだろうな。
いかんいかん、弱気になるとダメだ、変なフラグが立つぞ。
9階層の入り口で両頬を叩き気合を入れる。
「ゴブの戦士と戦いの始まりだ!」
独り叫んでゴブリンファイター4体に向かって走り出す。先頭の足元に向け水球を放つ。
横に躱され左から1体が棍棒を振り下ろしてくる。危なげなく躱し、胸元を一突き。次いで後1体の首を目掛け剣を振る。動きを一瞬止め躱されたが剣をかえして両腕を切断する。
「グッ!・・・グギャギャッ!ギャッギャ―――――」
叫びながらのたうち回る。これで他の2体との間に距離ができる。右に廻り棍棒の一撃を剣で受け流し、首を斬り落とす。横殴りの棍棒を半歩下がって躱し、振り切って無防備な体を叩き切る。
転がってる1体を倒して一息ついた。
「フゥ―、水球が躱されるとは。」
思わず言葉が出てしまった。魔石と棍棒、盾を回収して入り口に向かった。
躱す時にゴブリンが剣を持つ側に廻るのは正解だったようだ。俺が盾を使った時も盾側から飛んでくるウサギを止めるのは簡単だったからな。
次は6体だった。多いな。
水弾の連射をやってみる事にした。20m程の距離になってから先頭に向けて連射開始!
横に躱すので合わせて撃っていく。先頭と後の2体に当たったので逆側の3体に向けて撃つ撃つ撃つ!
3体が消えたが最後の1体が棍棒を振り下ろしてくる。これを躱し無防備な頭に一撃、消えていった。
何か違う感じがする。
次も6体だったので先頭から3体に向けて水弾を撃つ。1体は消え去り、1体は腕がはじけ飛んで残りは無傷だった。しかし、右側に2体が集まったので前の1体は剣で突き刺し、斬り裂くように抜くと同時に横の首を狙うが躱された。動きながら水弾を撃たないとダメだな、俺の動きが止まっている。躱された1体に向かいながら水弾で頭を狙う。命中。
残り2体に向かって走る。
並んで向かってくるが、左が先に棍棒を振り始めたので、一端下がってから左に廻り一撃を腹に入れた。右の攻撃を躱すように左に廻り首に一突き、消え去った。腕を落とした1体はのたうち回っているので胸を突き刺して倒して行く。
水弾を使うと俺の動きが止まってしまう。
水弾の速度が遅かったようだ、もっと速く打ち出さないと倒せない。
次の5体が向かってきている。
水弾の速度を倍にして先頭と左側の2体に撃ち込むと、2体同時に消えていった。残り3体は迫る順に斬り倒していく。スムーズな動きだったな。
次は先頭の2体を水弾で倒そう。ボス部屋に着く頃には6体でも2体を水弾で倒せば無理なく動けるようになっていた。
【ゴブリンウォーリア】
魔物
Lv20
スキル
無
●動きは少し速い。
強い、その一言だな。
しかも斧を持った個体が交じって、7体も相手にするのか。
先頭と左右の3体は水弾で倒したいな。フロアを走りながら水弾を撃ったり、剣を振りながら撃ったり練習してみた。今は右手に剣、左の掌で水弾なのだが掌ってのが曲者だな。
相手に向けていないと撃てないし、相手に攻撃が読まれている。8階層の奴らは知能が高いので、こちらの動作で読まれるんだろうな。
かなり悩んだが、この日はダンジョンを出る事にした。
日がある時間に外に出るのは久しぶりだな。
もう14時過ぎてるが部屋で昼食だ。
まずは魔法の練習だ。庭先でやってみる。
水弾を飛ばさず掌の先に浮かせる。そのまま2発目を浮かび上がらせる。1発目が消えてしまう。。。複数を同時に操るのは無理か。水弾を目の前に浮かび上がらせてみる。
魔力の流れが目の前で起こるように、イメージしていくが魔力は流れるが掌から離れていかない。
難しい。本当に難しい。無駄に魔力を消費していく。もう一度、水が集まり圧縮されて水弾が出来上がるイメージで魔力を流してみる。掌から魔力が流れ出て水弾が浮かび上がってきた。どんどん大きくなる。
ストップ!ストップ!魔力を止めたら消えた。
周囲から水を集めるイメージだと水弾は消えるんだよね。消える、表現が違うな元に戻る、だな。
水球を使って複数同時に操る事を試してみる。出しては消えて、消えては出して、繰り返し何度も練習する。周囲が暗くなり始めた頃、2個の水球が同時に浮かび上がる。
「できたっ!」
思わず叫んでしまった。
浮かんでるだけでは芸が無いので、2個の水球を同時に回してみる。
回る回る、グルグルと回るよ、楽しいな童心に返って回していた。
翌日の早朝、魔法の練習をすることにした。
水球を2個回しながら3個目を出す。回ってる1個が崩れるのは昨日と同じだね。
また繰り返し練習していくと3個が保持できた。後はすんなりと数を増やせていける。
7個を縦に並べて俺の周囲を回す。水球の回転シールドだ。一段づつ回転方向を変えてみるが動きがギクシャクして綺麗ではないな。しばらく続けるとスムーズになってきたので、速度を上げてみると「ヒュ――ン」音を立てて回転していく。
次は水弾で同じ事を試して、一つだけを前に撃ってみるが、全部が前に行ってしまった。
個別の動きをさせるのは疲れる。頭が重くなってきた感覚があるので休憩。
離れた場所に複数の水弾を同時に発生させてみる。できたな。
それぞれ違う動きを同時にさせたい。全部が視界には入ってこないので寄せてみた。
だが動かすことはできない、どうする。再度遠ざけて水弾の動きを確認する。
視て動かすのではなく、魔力を感じて動かしてみればいいのか?探索すると水弾の位置が解る。
これに地図を重ね合わせるとどうなる?立体的に水弾の位置が把握できた。
よしよし、次は思考を分けていけばいいのか?「音を聞きながら本を読む」みたいな感じで水弾を1個づつ違う動きをさせていく。
やった!7個がバラバラの動きで制御できるようになった。
最初の目的は どこでも水弾を出す事 だったのが随分と違った練習になったな。
でも、有効な攻撃方法だと思うので、明日が楽しみだ。