007
朝、ポストに「お知らせ」と書かれた封筒がポストにあるのを見つけた。
今日の夜、地域の自営業者が集まった交流会があるようだ。いつ投函されたのか不明であるが。
爺さんも参加していたのかな?地域との付き合いも大切なので参加することに。
まずはゴブリン、4体も向かってくるよ。動きは遅い。
「グギャッギャッ」
何か叫んでるが聞こえない聞こえない。最初の1体が棍棒で打込んでくる。躱しながら棍棒を持つ手首に上段から一太刀。
そのまま右後ろの1体に向かい横殴りに一太刀。腹に当たって中身が出てくる。見ないように。
最初の1体が邪魔なので、動かないうちに首を落とす。スッと消えていく。一撃で倒さないと吐いてしまうので無駄に斬りつけないよう考えながら戦う。
消えたゴブリンの後から1体が突進してくる。棍棒の一撃を剣で受け流そうとするが力負けして思った方に流せない。残りの1匹は水弾を放つ。腹を裂かれた1体がのたうち回っているので頭に一撃入れて倒して行く。
棍棒を振り切って体制が崩れていた1体が再度向かってくる。もう一度剣で受け流してみるが失敗。
そのまま水弾で倒して4体全てが消えてなくなった。
魔石と棍棒4本が残っていたので回収していると次は3体が向かってくる。
先頭の攻撃を躱し、後の一体が棍棒を振り上げていたので胸を一突き。剣を抜くと同時に消え去ったので残りの1体の攻撃を剣で受け止める。下から振り上げるがこの体制では力負けして膝が折れる。むき出しの腹に水弾を撃ち込んで倒していくと、横から棍棒が迫ってくる。
転がるように横に避けて水弾を放ってゴブリンを消し去る。
こちらに向かってくる5体が探索で分かっているので魔石だけ回収して入り口に戻りたいが、かなり迫ってきたので大き目の水球を5発、ゴブリンを後ろに弾き飛ばす。
ダンジョンから出て庭先のベンチで考える。
戦えてはいるが、棍棒を受け止めた剣は刃が欠けている。回収した棍棒を解析すると材質は低級の魔鉄だった。
同じ魔鉄だが、剣は薄いので棍棒にまけてしまった。どうしたものか?鍛冶師がいれば鍛造できるのに。
剣の欠けた部分を錬金術で修復して、対処方法について考える。
剣も負けたが攻撃を受ける向きも注意しないと。打ち下ろしを受けるのは避けよう。戦闘の常識だとか定石だとか勉強するか。
水弾のように錬金術で魔鉄を圧縮できないかな?棍棒2本を圧縮しながら剣の形に整えていく。棍棒1本でも剣の体積の2倍ほどあるので2本だと結構な圧縮になるはず。
棍棒を鉄の塊して形を作るだけでなく密度を高めるような、そんなイメージを魔鉄に込めて。今よりも10cm長くなるよう錬金してみる。
魔力がゴソッと減った感覚がしたら剣が出来上がっていた。
早々に棍棒と打ち合わせてみる。「カキンッ」いい音がする。棍棒に傷が入っているが剣に変化は無い。鍛冶師の鍛造が無くても大丈夫そうだ。
早めの昼食と休憩をして、6階層に向かう事にした。
先程の5体か?前3体、後ろ2体の並びで向かってくる。
左右の2体は上段から振り下ろしてくるので、左に狙いを定め空いている腹に一撃を入れる。胴体部分で切断されて上半身が飛んでいきながら消えてなくなる。続いて真中の一体も切断してやる。
後の2体は仲間が消えて動きが止まる。2体まとめて首筋に一撃を入れてみる。2体目には刃が届かなかったが1体は消し去った。
残り2体。並んで棍棒を前に突き出すようにを構えているので左の1体に向かう。剣の腹で棍棒を払いながら胸に突き刺す。右の1体はこちらに向かい横殴りの攻撃を仕掛けてくる。後ろに躱してから首に突き刺すように俺も前進する。
全てのゴブリンが消え去り5個の魔石と棍棒が残った。
剣に刃の欠けは見られず、魔法を使わなくとも5体を倒せた。
次の3体が走ってくるのが視界に入る。この階層は休みが無いな。次から次へとゴブリンが沸いてくるようだ。
その後、苦戦する事も無くゴブリンを倒しきった。
階層主は
【ゴブリンリーダー】
魔物
Lv11
スキル
無
●動きは鈍い。雑食性。
若干強化されたゴブリンが5体だった。
今日は交流会があるので時間に余裕はあるが引き上げることにした。
シャワーを浴びて向かうのは地域の公民館。
まだ2月だから日が暮れると寒い。厚手のジャケットを羽織って足早に向かう。初参加で遅刻はいただけない。
開始15分前に到着すると10名ほどの方がいた。
「勅使瓦さんとこのお孫さんかね?」
初見の老人が話かけてきてくれた。
「はい、勅使瓦九郎太です。祖父が亡くなって引っ越してきました。挨拶ができていなく申し訳ありません」
軽く謝罪の言葉を入れておいた。
「俺は交流会長の西東喜一だ。葬式の時には居なかったよな?」
ちょっと棘のある言い方だと理解した。
周囲の人たちも同じ感覚なんだろうか。
会長さんにいろいろと聞かれて、答えていると人が集まりだした。
会員の中に税理士さんも居た。相変わらず美人さんだなぁ~。
「では今年度の交流会を開催します」
会長さんの仕切りで話が始まった。
要は地域の活性化の為、個人商店や事業主さんでできる事はないか?が議題らしい。
毎年同じ事の繰り返しなんだろうな、と思いつつ話を聞いていると新人紹介となった。俺の他に二人の紹介があり打合せは終了した。
最後に月千円、年1万2千円の会費の徴収があった。、人付き合いだと思えば安いものだ。
帰り際、一人のおっさんに声を掛けられた。
「勅使瓦さん初めまして、電気工事業をやってる鈴木鉄二です。自分は去年入会したての新参者なのでよろしくお願いします。勅使瓦さん、仕事は何をやっているのですか?」
腹の探り合いか?あまり好きな行為ではないので適当に答えておいた。
別れ際に名刺をいただいたが、自分は持っていないので、と告げて帰ってきた。
この鈴木さんが心強い仲間になってくれるとは考えてもいない時期だった。
頭の中はダンジョンで一杯なので今後は2回に1回の割合で参加することにした。
6階層制覇の日だ。
最初から5体のゴブリンが向かってくる。
今日は殺陣のように舞いながら倒してみよう。
なんて考えてたらピンチになってしまう。
先頭の1体を斬り倒したのはよかったが、勢い余って体制を崩してしまう。
と、同時に正面と左右、3方向から同意に打込んでくる。
不味い、絶体絶命、逃げる方向が無い。パニックになりあたり構わず水弾を撃つ撃つ撃つ! 剣をグルグル振り回す。
どこからも攻撃がこない事に気付くのに何分掛ったのか。
周りには9本の棍棒と魔石が落ちていた。
パニックになり撃ちまくった水弾が当たっていたようだ、次の4体も倒していた。
逃げるように入り口に向かう。
いや~最初の一撃、昨日が巧く倒せたので調子に乗りすぎた。
気を取り直して再度進んで行こう。
油断しなければ問題無く倒していける。5体でも3体でも大丈夫だった。
剣が良くなったのもあるが、受け流す事ができるようになり戦う方法が多くなった。
階層主の部屋だ。
5体、問題ないだろうが1体は確実に倒したいので魔法も使おう。
強化されたゴブリンでも問題は無かった。ゴブリンの動きを考え俺の動きがつながるように倒していけばいいのだ。言うのは簡単だが行動は、5回に1回の確立で動けるようになってきた。
前回もそうだが、何か掴めそうになるとリポップが止まってしまう。
ダンジョン、見てるのか? 知ってるのか? 少しは協力しろよ! と叫んでしまいたい。
6階層ではLv10の魔石118個、Lv11の魔石60個、棍棒178本が手元に残った。ダンジョンカードには6個目の玉が増えていた。
棍棒は素材なので保管しておく。フロアに低級の魔石があるが棍棒で足りるだろう。
7階層に転移すると
【ホブゴブリン】
魔物
Lv13
スキル
無
●動きは鈍い。雑食性。
本当に体力だけの魔物になっている。
ここは岩場だった。
昼食がまだだったので休憩も兼ねて食べる。
時間は14時を過ぎたくらい。
少し戦っておこうと7階層に入る。
いきなり6体のボブゴブリンが向かってくる、面倒だからゴブでいいや。
2体ならんで左右から打込んでくる。右に躱し1体の首を斬り落とし後にいる1体の額に剣を突き刺す。ゴブ越しに見える1体に水弾を撃ち込んで3体を倒す。
残り3体、正面から1体が棍棒を突き出して向かってくるので剣で弾き胴体を切断する。
右側から迫ってくるゴブから逃げるように残りの1体に剣を突き付け動きを止める。
振り向きざまにゴブの体制を確認、上段から打込もうと棍棒を振り上げるところだったので、胸に一突き。横に斬り裂きながら最後の1体、横からの殴打を腕から斬り落とし、頭を叩き割る。
6体は少々手ごわかったが倒すことができた。
魔石を広い次にゴブが4体だったので、そのまま倒すことにした。
先程掴みかけた動きを確認するようにゴブを倒していく。
無駄が無くなってきたのか疲れなくなってくる。と言ってもここは7階層、油断は駄目だ、自分い言い聞かせるように慎重に倒す。
動きを確認しながら進んでいくと階層主の部屋に着いていた。
同じホブゴブリンが8体いた。
休憩もほどほどに魔法を使いながら8体を倒して行く。
後方の邪魔になるよう前方のゴブを俺が移動しながら水球で弾き飛ばし、他を斬り付けて倒す。
なるべく剣で倒し、スキルを上げる戦い方を試していた。
8回目の戦いが終わったところでリポップが終了した。
126個の魔石と棍棒が手に入った。
【勅使瓦九郎太】
人族
職業 ダンジョンマスターを目指す者
Lv14
体力 231
魔力 1583
筋力 166
敏捷 97
スキル
解析Lv10、探索Lv10、地図化Lv10、模倣Lv10、棒術Lv2、盾術Lv2、剣術Lv4
魔術
錬金術Lv10、聖魔術Lv10、時空魔術Lv10、水魔術Lv5、雷魔術Lv1
俺のステータスも随分と上がってきたな。
剣術がLv4になったのは素直に嬉しい。
8階層に転移し次の相手を確認。
【バッファロー】
魔物
Lv14
スキル
無
●動きは普通。攻撃耐性小。食用。
次の相手はバッファローか、牛より2廻大きいから力は強そうだ。
食用だと!上手いのか?その前に解体できるのか?
それに攻撃耐性小? 攻撃に耐えるか、どれくらいまで耐えるのだろうか。
明日の戦いが楽しみだ。
そろそろ21時になるか、結構遅くまでダンジョンで戦っていたので腹が減った。
残りの弁当を食べてから、近所のコンビニへ朝食用のパンを買いに。
入口で鈴木さんと出会い、
「こんばんは、買い物ですか?」
「こんばんは、明日の朝食用にパンを買おうかと思って」
「そういえば畑を始めたのですか?先日、お宅の前を通ったら耕してありましたが」
「ええ、夏野菜に挑戦してみようかと思いまして、準備してます。収穫できるといいのですが」
内心、よくみてるな~と思いつつ。
「いいですね~。自分も庭で簡単な野菜を育てているんですよ」
興味があったから見てたのか。、周りには畑も多いが個人の畑は珍しいからな。
「解らない事があったら教えて下さい。初めての作業で分からない事ばかりですから」
他愛のない会話をして家に戻っていった。
会話にでるまで忘れていた。畑どうなってる?帰りに確認してみるが特に変化は無い。枯れ葉が積もっているくらいだ。
これを見て言ってくれたのか。
明日は掃除しないとダメだな。