表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/57

057

山里地区で宴会が始まった。

生まれて3日も我慢?していたので昼から宴会である。今回も総理と隊長さん、マスコさんが参加だ。

「総理には参加自粛をお願いしていたのですが・・・」

マスコさんが総理を見るが、本人は上機嫌で酒を飲んでいる。

「集団移転も終わったし、総理を辞めてもいいよね?」

マスコさんに絡んでいる。

「自分も隊長職を辞めたいです」

隊長さんが敬礼しながらマスコさんに絡む。

「・・・全く、辞めていいなら私も辞めたいですよ・・・」

中央で働く人達の気苦労は相当なのだな。

「敦美が生んだ男の子は、勇一。これから勇ましい人になってくるよう、勇一です。

 えりかの産んでくれた男の子は、豊明。豊かで明るい未来に向けて、豊明です」

その後も日付が変わるまで盛り上がり、総理たちは食堂で床に寝てしまった。


翌日、総理と一緒に拠点に移動した。これからの話をするためである。

「大国が衛星写真を見て、状況の説明を求めています」

マスコさんが大国との状況を説明してくれる。

「正直に『広範囲を開放する事が出来たので集団で移転した』でいいのでは?」

俺の意見に総理が首を横に振る。

「どうやって開放したのか、それを説明しないと納得しないでしょう。

 今回は海に近い場所、しかも川沿いです。原潜でそのまま乗り込んでくる可能性もあります」

おっと、海に近いって事はデメリットもあるんだな。他国からの侵入を防ぐ手立てを考えないと拙いな。

「前回同様、相手が動くまで放置でいいのでは?」

「勅使河原さん、世界樹の種は残ってますか?」

「あれはLv10ダンジョンを制覇して入手できた種なので、他には無いですね」

「大国のダンジョンを制覇して得られる可能性は?」

「そこは・・・制覇しないと解らないですね」

「そうですか、可能であればチャレンジしていただけませんか」

総理が頼み事をするのは珍しい。

「理由を聞いても?」

「そうですね、人の生存のためでしょうか。

 日本は勅使河原さんのおかげで数万人が助かりました。

 大国も同様に助けてあげたい、まあ、自国が落ち着いたからの偽善ですかね」

最近、総理が砕けてきた気がする。疲れが溜まっているのか。

「もう少しで成江が出産します。その後に再度、考えます」

そこで違う話題を出してみた。

「魔物が居ない範囲が更に広がってます。

 世界樹の影響がどこまで広がるのか、時間も必要ですね。

 このまま地球全体に影響を与えるとは思えませんが、隣の大陸まで作用すれば大国が移転できませんかなね?」

「そこまで広がるのですか?」

「このペースなら3か月くらいで沿岸に掛かりそうですが」

「その国の人々は?」

「居ないと思いますよ。少なくとも九州から索敵した時には内陸まで居ませんでした」

おぉっと声が上がる。遠い大国とやり取りするより、近くに移転したほうが都合がいい。

「簡単に祖国を捨てるとは思いませんが、世界樹の話と合わせ大国に打診します」

大国に移転を促す事で一応は決着した。

最悪はダンジョンを制覇に行けば済むのだが、遠いから行きたくないのだった。




各拠点を繋ぐ道を整備する事になった。

総理の居る拠点、東京地区を中心に江戸川方面と多摩川方面の2本。玉川方面は厚林を経由させていく。各河川沿いに上流に向かい整備。厚林と立河は繋がっているので、入聞から東京地区につなげれば山里地区も繋がる事になる。

木々の伐採と舗装工事を行っていく。舗装と言っても土魔法で固めるだけの作業だ。皆で一斉に始めたので1週間ほどで終わってしまう。人が多いっていいな。

装甲車の台数は増えないが、これで各地を繋ぐ定期便を出す事ができると喜んだが、転移陣があるので不要だと言われてしまった。道路も不要だったのだ。

皆で肩を落としていたが、マスコさんに慰められた。ジョギングのに使おうと思ったのであった。




大国からの回答は『移転しない』であった。まあ、当然と言えば当然である。

自国に来てダンジョンを制覇、世界樹の種を入手できないかと打診してくるが、こちらに利が無いと突っぱねる。だが、黙って引く相手ではない。次の手を考えているのだろう。

今回は海側にも壁を作るか、検討をしたが見送りとなった。だが干潟や砂浜があれば海産物も手に入りそうなので改良する事になった。

まずは海底のヘドロを掬い上げ、左側の半島に捨てる。深くなった部分には他から岩や砂を盛る事を俺が提案した。面倒な作業だが収納で全てが解決する見込みだ。

最初にヘドロを集めて捨てる。結構な魔力を使うが数日掛けて壁の内側を終わらせた。可能なら湾内全てと言いたいが、広いので諦める。

次に埋め立てした部分を海に戻すしていく。他の沿岸から持ち込んだ岩や砂も一緒にだ。

こうやって干潟や深みを作り、海岸の整備をしていったのだ。海苔が食べたい!が本音であったが。


その内に第四子が生まれた。元気な男の子だ。これで一姫三太郎だ。

「この子の名前は幸次。幸せを次に繋げる、幸次です」

また宴会になった。毎度の宴会だが楽しいので良しとする。

この子たちが5歳になったら魔力順間を始めるつもりだ。幼少から魔力に触れていれば増えるのではないかと思っていたのだ。

4人の子供をあやすのは疲れる・・・もっと計画的にすれば、と後悔しても始まらない。

それでも里の奥様方の協力もあるので逞しく育つと思う。



そろそろ海苔が採れるか?なんて思っていたら原潜が来た。

最後の連絡から1か月、また艦長が降りてきた。

「我が国を救ってください」

艦長さんが頭を下げてくる。今回は通訳なしで話ができるよう日本語を学んだようだ。

この状況は予測できたので総理とは打合せをし、準備を終わらせていた。

俺が取り出したのは2mほどの木板だ。これには転移の魔法陣がかいてあり、俺だけの魔力に反応するようになっている。これを持ち帰ってもらい、俺は転移で移動する事になっていた。

乗組員たちは3日滞在する事になった。その間は食料と水の補給を行う。

武装無に普通に生活する東京地区を唖然を見つめていた。出される料理にも唖然としていた。





やはり手を差し伸べるべきだろうな、俺はこの時の考えを後々に後悔する。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ