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家作りも終わり、6人が引越してきた。


武井英明 26才

堀越春佳 23才


横田耕一 23才

倉田雛乃 21才


竹中典大 24才

宍戸沙耶香 23才


島崎義弘 27才

中西百合子 22才


外山洋司 25才

奥田雪乃 26才


服部泰夫 23才

長谷法子 21才


8月の暑い時期の引越しだが、手荷物程度で終わってしまった。

春先から咲いていた花と米のりで家に色を付ける事になった。元が黒なので米のりと岩を砕いて白をつくり、その上から希望の色にする。

綺麗に塗れないが見た目の違いは分かるな。他の家も休日の塗装作業がブームとなっていた。

夏の作業こそ長袖の作業着だと思ったのは、真っ赤に日焼けした腕を見てからだった。

智恵理のお腹も大きくなり、アオイちゃんとモモちゃんは弟か妹かで悩んでいた。性別はいいから元気に生まれてほしいな。そう、妊娠してからは人前では智恵理と呼ぶことにしたんだ。

淳美とえりかもそろそろ目立つようになってきた。この2人は体力が余っていて、この時期でも力仕事をこなそうとするので、食堂で子供たちの世話係になっていた。

子ども達も雅ちゃんが7才となり、皆が出会って一つ年齢を重ねていた。

ちなみに黄ポーションを腕にかけたら日焼けは治ってしまった。美白効果もあるのか?女性には黙っていないと注文が殺到しそうだ。

そうそう、ポーションで治せない事があった、虫歯だ。これは治らず、痛みは無くなるが綺麗な歯には戻らない事が分かった。金ポーションを試していないが、欠損部位の修復はエリクサーだけなので歯磨きが朝晩の必須項目となった。俺の聖魔法なら治せるけどね。

裾野ではプールを作っていた。子供も多いので、夏の遊びとしては最高だ。山里地区では池を開放して水遊びの場にした。オイカワは全て煮干しへと変わっていた。

水量の調整と水深の変更で、少ない子供たちだが楽しそうに遊んでいた。監視は暇な旦那方だった。

旦那方は監視の傍ら、麦わら帽子を編んでいた。見た目は黙っているが、効果は抜群で水の中の子供たちも被っていた。作り方は裾野から教えてもらったんだけどね。

敷地を拡大して作った運動場は空き地を化しており、用途に悩んでいる最中だ。

暑くて屋外スポーツには不向きなので、余った敷地でボーリングを初めてみた。

作りは簡単だ。小屋の中に真直ぐで平なレーンを作るだけ。ピンは漆黒樹、球は石を丸めて作った物だ。ピンの設置は人力なので交代制として旦那方が遊び始めた。

ピンを並べるのに時間が掛かるので、穴の開いた板を置いて時間短縮だ。

そのうち、自動で作れないかと言い出しそうだが、今はピンを並べるのも楽しそうに遊んでいる。

裾野から来たマスコさんに見つかり、各拠点に設置する事になってしまった。

力技ではスコアを伸ばす事は出来ないので、全員が楽しめると好評だ。風魔法で球の動きを変えるのは禁止事項になった。罰則は2か月のボーリング禁止。

冬と夏は屋内のボーリング、春と秋は野球とサッカーになりそうだな。



原潜は東側に抜ける前に換気の為、浮上していた。

そこで見たのは雲の上まで連なる山だった。標高で1万メートルは超えているであろう山は大きな一塊の岩のようだった。

それはLv10のダンジョンが放出した岩山で、中には龍がいるのだが、乗組員では知る事はできず通過していった。魔物を放出していないが、周囲の環境を整えていたのだ。



そんな事は露知らずに山里地区でボーリングをしている俺だった。

ボーリング人気は錬金術を使える人には多忙となる出来事だった。指の太さ、球の重さを各人の好みに合わせて作る事になったからだ。だが中空で真円を作るのは難しく、訓練にもなっている。

レーンの数も増えて5レーンになっていた。3回目の小屋増築で10レーンまで対応可能な広さにした。

暑い夏は続いているが、重要な仕事を忘れていた。コーヒー豆を探さないと!

俺は10州方面へと飛んで、探してまわった。コーヒーの赤い実をやっと見つけて収納に入れる。

ついでに他も探していくとサトウキビを見つけた。これで砂糖が作れるな。

拠点は8ヶ所あるから全てに配置できる数を収納してある。サトウキビは裾野で設備を考えてもらい、全てを一緒に設置するのが効率的だな。まずは裾野に行こう。

ダンジョンで吸収させたあと技術者の方々と打合せ。魔法で動く設備を考えてもらう。紙の設備を作ったのだから砂糖くらい簡単だとうな、と思っていると本日中に仕上げるとの事。

明日、午前中に作りに来る事にして山里地区に戻った、コーヒーを飲む為だ。

ダンジョンにサトウキビとコーヒーの木を吸収させて、コーヒーの実を収穫する。中の種を取り出して乾燥さえるのだが、早く飲みたいので魔法と使って乾燥させていく。乾燥といっても火で焙るので焙煎と同じになっているかな? 乾燥ではなく焙煎になってしまったので、粉にして炒れてみたがコーヒーだが美味しくはない。手抜きはダメだな。外に出て乾燥から始める。今は夏なので日陰に広げて乾燥を待つ。

旦那方が集まってきたのでコーヒーを振る舞ってみるが、それなりに好評だった。今まで飲めなかったからコーヒーの味に満足しているようだ。明日は乾燥させたコーヒーを飲める。朝食はパンにコーヒー、時間がかかったがモーニングセットが完成だ。

サトウキビも出し皮を剥いて噛んでみる、甘いな。だが美味しい。

翌朝は念願のモーニングセット、スクランブルエッグ付きだ。旦那方も美味しそうに食べている。

その後は裾野で砂糖の設備を作っていた。技術者さんの指示にしたがって設備を作っていく。簡単な構造なんだな。糖分を絞ってだす、そんな設備なので難しいことはなく、稼働させていく。搾った汁を沸騰させないよう温めて水分を抜くのだが、設定温度70度で行ったら時間が掛かった。

量を多くすると乾かないので、薄くのばせるように鉄板を使って乾かす事にした。今度は80度で温めていくと黒糖のできあがりだ。白い砂糖は無理だったが、黒糖でも十分に甘い。

転送で各拠点に設備とサトウキビ、コーヒーを配置していく。

山里地区は最後になったが砂糖の設備を設置する。

あと必要な食材や設備がないか、各拠点でも考えてもらう。必要というのは最低限であって最高ではない事も話をしておいた。

ボーリング場を建てたり、コーヒーを探したり、マッタリとしていたら夏も終わり、9月になってしまった。

そこで真畑さんから妊娠の報告があり、山里地区は宴会となった。

俺も肩の荷が下りた感じだ。

年内に智恵理は出産予定なので、11月からは地区を離れたくないな。裾野にも伝えておくか。


そんな感じで過ごしていると、山里地区で少しづつ雰囲気が変わっていた。極端に変わってはいないが、少し棘がある感じだ。皆がイラついているような雰囲気で居心地も悪い。鈴木さんまで棘のある話し方になっている。

毎日同じ人としか顔を合わせないし、話をしないからストレスかと思っていたが、裾野でも同じようだと聞いた。マスコさんに確認に行ったら

「そんなの見て解りませんか?」

一言で終わってしまった。これは可笑しい。裾野だけでなく立河や厚林にも行ったが皆イラつている。

じっくりと観察すると特にイラついているのは普通の人のようだ。隊長さんに確認するべく裾野にいくと囲まれていた。

「ダンジョンで食料を多く採ればいいだろうが!」

「作業の割合が偏ってるぞ!」

日々の不満を隊長さん達にぶつけている。

「我々も改善していきますから、時間をください。」

隊員さん達が説得しているが聞く耳を持たずに一歩的にまくし立てている。

俺が少しだけ威圧するように

「人の話も少しは聞いてみてはいかがですか?」

そう言うと少し落ち着いたようで謝りながら家に戻っていった。

「どこの拠点も雰囲気がわるいですね」

「そうですね、先ほどのような抗議や苦情が多くなっています」

隊長さんが難しい顔をして答えてくれた。

「ストレスですかね?」

「・・・・・・何とも言えませんが、隊員は普通なのでストレス、いや ・・・・・・難しい、解りません」

ふと空気が淀んでいる感じがした。ダンジョンが出来てから魔力のある世の中になったが、空気中にも魔力が漂いだしたのだろうか。

ダンジョンが森や岩、山や砂漠まで出して魔物が住む世界にしているのだから魔力が影響してるな。

対策は魔力の元であるダンジョンを無くせればいいが、無理な話だ。制覇しても新たに生まれるダンジョンがある限り無理なのだ。

だが、隊員達に問題が無いなら魔力を使うことが解決策につながるかもしれないな。

「隊長さん、魔法の講習会をしませんか?」

俺は今思いついたことを隊長さんに告げてみたら、そのまま総理の所に行き打合せとなった。


結果、隊員さん達が希望者と一緒にダンジョンに入り、魔法の取得を行うことになったのだが、希望者がいない。すでに希望する者はダンジョンに入っており、新たな希望者は現れなかった。

山里地区では女性陣が花壇を作っていた。花を見れば癒される、確かにそうだな。

俺も花壇作りに協力していく。

そいえばドラゴンを倒したときに種を入手していたな。鑑定して良さそうなら植えてみるか。

鑑定の結果は『世界樹の種』だった。魔力を吸って成長する!これを植えれば問題も解決か?

関東平野の真ん中あたりに植えてみるか、ダンジョンコアと一緒に植えれば魔力も豊富だから成長も早いだろう。夕霞の基地があった場所でいいかな。




俺は美しい樹木を創造しながら世界樹の種を植えていた。


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