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ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第三章 ダンジョン食物倉庫
51/57

051

翌日は浮かれ気分で生け簀に向かい餌やりから始めた。

魔力は魚は大丈夫だな、カニは全くダメだ。エビ、イカもダメか、餌に魚を使うのがいいかな。

アジを捕まえて切り身にするが、下手だな。俺が食べる気にならない程だがカニには分からないだろう。魔力のある切り身を生け簀に入れれば食べ始めた。

とりあえずは成功だな。アジが減ったので捕まえて補充していく。しばらくアジは甲殻類の餌にしよう。

牛の様子を見に行く11頭は小屋の中にいた。壁を壊して中の糞尿を風魔法で外に出し、水球で床を掃除していく。牛は昨日よりは動きがいい感じだが、痩せている。1日で太るって事はないな。

壁を戻して餌と水を出していく。牛の魔力は微妙だ。体重と合わせてこれから増えていくだろう。

周辺の魔力も探ったが3キロ圏内には無いので、そのままにしておく。

牛は穀物を食べ終えていたので、追加していく。よく食べる牛だな、満腹になれば寝るのかな?

藁を敷き詰めて生け簀に戻るとアジの生け簀に鳥が群がっていた。俺の魚を食べるなよ!水球をぶつけていく。

困ったな、網を収納から出して生け簀に被せていく。目は粗いが大丈夫だろう。

マグロの魔力もだな、急がなくてもいいので、ゆっくりと待とう。

まだ時間も早いので鶏を探しに行くことにした。今日は南西方向に向かう。

おっ、生き物の反応が沢山あるな、鳥で間違いなさそうだ。近づいていくと大きな養鶏場だった。

つい最近まで管理棟に人がいたようだが、人の気配も魔物の気配もないが、奥の鳥小屋が1棟だけ無傷で残っていた。

鶏を食べたりして食いつないでいたようだな、羽や骨が散乱している。人はどこかに移動したのかもしれないな。鳥小屋に餌を入れて歩き状態を確認する。餌と水を飲むのに必死だな。あと少し遅ければ死んでいたかもしれない、そんな状態だ。

だが、卵も手に入りそうだ。今まで拠点との移動時に探してはいたが、牛や今回のように内陸部まで廻り込まなかったので見つけられなかったのか。

しばらく餌の追加を続けてから生け簀に戻った。鳥は居ないな、網の効果は抜群だった。

山里地区に戻ると米のりが完成していた。

着色にダンジョンの野菜を採ってきて試している最中だった。赤は唐辛子を煮込んで作っている。

黄色はトウモロコシを炒って乾燥させて粉末にして混ぜる予定なのか。

緑はピーマンをすり潰していく、ミキサーがあれば早いけど手作業だ。

青は花が咲いたら試す事にしたようだ。青い果物も野菜も無いからか。

それらが上手くいけば布の染料として試してみる事も決まったそうだ、いいことだ。

ただプランターは更に追加する事も決定して4人組は製材所で忙しいそうに働いている。

カニや鯉を食べてから少し活気が出てきたな。次は敷地を広げれば更にいいかもしれない。

夕食後は予定通りに妊娠の報告となった。要望で最後のビールを全て出した。皆から祝福されて嬉しいやら痛いやら、大変な騒ぎになっていた。

「これからも子供を沢山増やしていかないとね。」

奥様方の言葉はトシ君に向かっていた。頑張れ!3人組は ・・・ 頑張れ!

結婚が決まっている4人も頷きながらガッツポーズしてるよ。隊員さん、早く来たほうがいいな。

裾野への報告をどうするか、3名が聞いてくるので構わない旨を伝えておく。いろいろ世話になってるし世話してるから、報告するのが筋だよね。

その晩、チーちゃんと3名が一緒に来た。

「私は妊娠中なので、出産するまで3人にお願いするわね。」

「お願いって・・・ 分かった、山守さん、真畑さん、多門さん、よろしくね。」

「「「 ・・・ はい。」」」

山守さんだけが残り、3人は帰っていった。

「4人で話はしてあったの?」

「少し前にできたかもって話を聞いてましたから。」

そうか、チーちゃんが根回ししたのか。ごめんね、と心の中で頭を下げていた。


それから3日間、餌やりを続けていた。海の生き物は魔力も持ちダンジョンに吸収できる状態だ。

牛は痩せていて乳搾りができるとは思えないので、そのまま餌を与えていく事にした。

鶏も一緒だ。見にいっても卵は産んでいない。時間が掛かりそうだ。

水球でダンジョンまで運び塩水と一緒に吸収させる。

8階層の鯉を止めタイ、アジ、イカ、クルマエビ、イセエビ、カニの生け簀にした。それぞれ200匹を泳がせているので、150mの円形で6ヶ所を生け簀とした。

さて、解析を見ると魔物になっているので1匹づつ捕っていく。鯉と同じで消えないといいが。

俺の心配は杞憂だった。全てが消えずに残ってくれた。

俺は魚を持って食堂に行き、今晩から食べられる事を伝えると

「タイとイカでお刺身にするわ。20匹お願いできる。」

「了解。」

俺はダンジョン生け簀で捕まえて生きたまま食堂に運んだ。

奥様方が捌いていく横で若い娘たちも教わりながら捌いている。

俺はダンジョンに戻りサザエとウニを入れた生け簀とマグロ、アサリの生け簀を出していく。

よしよし、海産物もこれで大丈夫だな。

いろいろな物が揃ってきたな。魔物が出てから167日か、次の放出があるかもしれないな。

食堂で3名に拠点作りの予定を裾野に確認してもらうが、未定だった。移動してくる隊員の予定も連絡のないままだった。家は明日から7棟分を開始する事で話がついた。4人組もいろいろと忙しいかったからな。。俺は牛と鶏の世話で手伝えないよ。

翌日から1日1棟で家の建設が始まった。5人での作業だ。ごめんね。

牛は元気になっているが、もう少し体重が必要に思えた。乳搾りをしたが下手なのか全然でない。

餌が悪いのかな?穀物と藁なんだけどトウモロコシも加えてみるか?

鶏も卵を産んでいないな。掃除と餌を与えて生け簀に行く。

数に余裕があるので裾野に持って行く事にした。

ダンジョンの中に入っていき、8階層を生け簀エリアにしてからマスコさんを呼んでもらう。

「マスコさん、ご無沙汰ですね。」

「おめでとうございます。お子様ができたそうですね。」

祝いの言葉をもらってから生け簀を案内する。甲殻類と魚は15000匹、アサリ、サザエは15万づつだしておいた。マグロは50匹だ。

「ありがとうございます。これで食生活にも幅ができます。」

「山里地区でもそうですよ、最初にカニを持ち帰った時は大騒ぎでしたから。

 あと、牛を11頭、今は弱っているので吸収させませんが、もう少ししたら乳製品が手に入りますよ。

 鶏も同じように探し出しました。」

「総理に報告に一緒に行きましょう。」

久しぶりに総理を話をして借用書を追加で用意してもらった。

そんな話をして生け簀に寄ってから戻った。

まだ暗くなる前だったが、家は建て終わっており、製造所で5人がくつろいでいる。

「家は順調ですね。製材所では何を作っているのですか?」

「今日はプランターの台だよ、劇場みたいに段付きの丸い台が欲しいってさ。」

「奥様方の要望なら断れませんね。」

「そうそう、断ると怖いからね。」

叶井さんと笑って話しているが、4人は真剣に作っている。

「半径で10m、分解式で持ち運びを簡単にしろって注文だ。」

「それは随分な大きさですね。」

「そこの中心で花見をするんだよ。綺麗に見えないとな!」

そういって息子の肩を叩く。夕食まで作業を続ける4人を見守る叶井さんも大変だな。

俺は3名のいるダンジョンに向かった。ミノタウルスを相手に1対3で訓練をしている。

もう次の階層に行っても大丈夫そうだな、今後はどうするのかな、相談だな。

声を掛けて食堂に向かう、

「そろそろレベルも上がってダンジョン制覇できるかもしれないね。」

俺の言葉に3人は驚いている。

「可能ですか?それなら最後の仕上げに制覇しておきたいですね。」

山守さんが嬉しそうに答えてくる。他の2人は首を横にふる。

「この先は後継者について考えているので、訓練も終わりにしよかと思ってます。」

多門さんが言うと山守さんの顔は『シマッタ!』という感じだ。

3人は部屋に戻ってしまった・・・打合せだろうな。


3人の部屋では

「どうする?」

「どうするって、えりかはどう考えているの?」

「私は訓練はそろそろ終わりかなって思ってる。成江は続けるの?」

「ん―――終わりにしようかな。隊長には申し訳ないけど・・・」

2人の会話を聞いていた山守さんは

「終わりにする!」

「そうね、他の隊員もレベルが上がってるし、私達は終わりにしましょう。」

真畑さんの一言で3人は着替えに各自の部屋に入っていった。


食事の時に訓練終了を告げられ、少し寂しい気もしたけど

「ご苦労様」

といって握手した。多分、この世で一番強い女性達だろうな。他の人にも労われて照れる3人が少しだけ嬉しそうだった。

食事には魚も加わり、おかずの種類も増えてきたが、調味料は変らずだ。

7棟の家、全ての建築が終わった翌日、鶏が卵を産んだ。牛の世話も続けているが乳はまだ出ない。鶏が先だ。

裾野に行き鶏を出して階層に向かう。鶏のレベルを確認する為だ。階層に入ると鶏は逃げていく。

あれ、魔物と違うのかな?解析すると魔物だがレベルは1だ、普通の隊員でも倒せるが逃げるなら殺す必要もないだろう。5000羽の設定にしておく。足りないかな?ついでにトイレットペーパーなどの紙製品も置いておく。もちろん借用書を置いて集めた物だ。近隣の店の在庫は無くなっている。

外にいた隊員に階層と明日の朝、卵があるか確認して卵だけを採取するよう伝えて養鶏場に戻る。

残りの鶏をどうするか、考えてなかったな。大松に向かい、裾野と同じ事を説明して戻る。

あとは千里と四沢か・・・ 行くか、それぞれの拠点に鶏を持っていく。こっちは寒いな、雪が一面に残っているな。それぞれに鶏を吸収、配置して、厚林、立河、入聞にも廻ってから山里地区に戻る事にした。

これで全ての拠点に魚と鶏を設定する事ができた。もう少しで俺の役目も終わりだな。

他の地区にも紙製品を出していたが、収納の在庫も少なくなっている。離れた場所にある店を探しに行く事も考えなければいけないな。

山里地区に戻り、ダンジョンでの対応を終わらせて明日の朝、卵を産んでいるかが楽しみである。とりあえず40羽の設定にしてある。


朝、卵があるか確認に入ると、あった!卵があったよ。全部で23個も生んでいた。でも、中を広げすぎたな。探して歩くのも大変だった。他の拠点も大変だろうな、次に行ったら狭くしよう。

卵を持って食堂に行くと、どの料理に使うかで話合いが始まった。夕方まで待って卵の数が増えれば今日のおかずに、足りないなら明日の分と合わせて作る事になった。数を増やそうかと聞いたら、余っても無駄になるので十分だと言われた。

魚も最初は続いたが、今は毎日では無くなっているし、いい数なのだろう。そこは任せる。

牛の様子を見に行く。最近の餌に魔石は使っていない。これ以上の魔力は不要だと判断していた。

乳を搾ってみるがダメだった。何が悪いのか分からない、困った事だが気長に続けるしか思いつかないので、掃除をして餌と水を与えて拠点を廻る事にした。

やはり階層が広く、四沢では卵の収集が終わっていなかった。人を増やしてもらい収集を終わらせてから階層を半分以下の面積に変更しておく。千里も同じだった。

入聞、立河、厚林、裾野、大松を廻り、山里地区に帰ったが、作業がなく暇だった。

チーちゃんは普通に作業していて、お腹も目立ってはいない。3名は各班に入り作業を教わっている状態だが、今日は真畑さんが食事の班だ。苦労しているな、剣と包丁は違うからね。

味噌、醤油の仕込みは終わっているが、前回仕込んだ醤油と味噌は秋まで熟成させるので在庫が心配だな。そこは奥様方の知恵で乗り切ってもらうしかないのだが。

時間を持て余しているので紙の生産について旦那方と考える事になった。

まずは木材を薄くするのだが、カンナで作ってもらう。次の工程で煮込み、冷えたら叩いて繊維をほぐしていく。それを砕いてペースト状にして薄く延ばす。

これで作業してみる事にした。ダンジョンの木材にカンナを延々と掛けていく。4人は大変そうだな。

それを大鍋に入れて煮込むのだが、ごみを取りながらの作業で人目を省く事はできない。

今日はここまでで終わりとなった。明日は煮込みを続け、木材の状態を確認してから次を考える。

夕食の時に裾野からの引越しについて聞かれたが連絡は山守さんに任せる事にした。

家もできたので早く移ってほしいが、卵の収集も増えたので厳しいかな…黙っておこう。

翌日も牛の餌やりと紙作りだった。

木材を叩いて砕いて細かくしていく。ちなみに細かく砕いたのは魔法だ。ここの工程も必要なら何らかの機材を作る必要があるな。

水と混ぜ合わせて薄く延ばして乾燥させる。漂白はしていないので木材の色、そのものだ。

乾いて出来上がった物は紙、なのだろうな。でもトイレットペーパーとは違う、和紙のような感じだ。

固い、もっと薄くする事と繊維を細かく砕く必要があるかもしれない。あとゴミ?不純物?も多いか。

紙作り2日目は木片をカンナではなく、おがくずで試してみる事になった。おがくずは板の厚みを揃える時に大量に発生している。煮込みながらゴミを取っていく。

だが、失敗だった。紙と呼ぶ物には遠い物しか作れない。やはり製造方法を学ばないとダメだ。

紙作りを諦めた翌日に牛の乳しぼりができた。栄養も十分にとり元気になったようだ。

早速1頭を連れ帰り、ダンジョンに吸収させ10頭を配置する。多門さんを連れカードを収納して階層にいくと、牛は逃げる事なく乳しぼりができた。

二人で鍋に乳を搾って食堂に向かう。

「生乳ってこのままでは飲めないわよね?バターとかクリームに使いましょう。」

節美さんの一言でバターとクリームを作り始めた。

「あれ、温めればのめますよね?」

夕布子さんが料理本を探しにいく。沸騰しないように加熱すれば飲むこともできるようだ。

これで料理のレシピが更に広がった。クリームとバターだけでも十分に増えるね。

そのまま各拠点に牛を設定していく。食材の調達がやっと終わった、次は拠点作りかな。牛は3頭余ってるから大丈夫だ。

言われているのは浜杉、大牧だ。それより西方面は・・・ 一日で行ける距離ではないからな。

裾野との話で7日間で準備をして浜杉、大牧と連続で回る事となった。

いつもの設備、家を3000棟、脱穀と厨房を200セット、ダンジョンは6個で牛や魚は1個づつの配置として完了だ。7日間も掛からないが裾野の都合もあるのだろう。

俺が出かけるのと入れ違いに12人がこちらで生活を始める事となる。戻ってきたら自己紹介だな。

7日間はまったりと過ごしていた。機織りや油搾りの作業や魚を捕まえたりしていたが、4人は不安と期待が入り混じった顔で家具の相談をしてくる。

在庫にベッドはあるが残数は34個でダブルは6個。すべてタイプが違うので食堂の隅に並べて見せる。誰が使うかで話合うが、好みが分かれていたので即決だった。

予定の新居にベッドを入れて他の物は製材所で作る事になった。

一緒に来る家族のベッドは勝手に選んで家に入れておく。もめても困るからな。

各拠点での家具や布団は足りてはいるが、そろそろ作っていく事も考えたいな。

旦那方は4人の希望で家を塗る事になった。色は白、米のりに石を砕いて混ぜた物だ。簡単なはしごを叶井さんが作って塗っていく。ふむ、白いな。奥様方も塗りたそうだが、花が咲くまで待って色を決めたいらしい。赤や青の家ってどうかと思うけど好みだな。


そんな作業をしていたら出発の日になっていた。


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