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ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第三章 ダンジョン食物倉庫
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夕食後に簡単な報告をして、大松に行っていた間の事を聞く。

山里地区に問題は無く、普段通りの生活が続いていた。

そこから、隊員達と女子の事を教えてもらった。結果から言うとお見合い成功だ。

あとは裾野からここに移るわけだが、家族が一緒の隊員もいるので時期は相談してから。

そうか、4組が結婚するのか、良かったね。

家族と一緒の隊員は3名なので家を7棟、建てるようだな。

そうだよ、最初から一緒の家でいいよね?4人が照れているが、嬉しそうだ。

「家は任せてくれよ。多めに建ててもいいぞ。」

叶井さんも久しぶりの大工仕事で嬉しそうだ。4人も手伝うよね。

「今後の仕事は未定なので、機織りでも食料調達でも言って下さい。」

隊員さんが言ってくる。改めて自己紹介してもらうからね。

12名が増える事になり、今よりも賑やかになるだろう。楽しみだ。

そこから話も弾んでいるが、俺は部屋に戻って休む事にした。


翌日、全員で仕事について話し合うつもりが、隊員達は不在だ。

午後には出発するので最後の訓練をしに階層に行ってしまった。

だが、12人増えて負担も増えるのは食事の担当だけだ。今より格段に負担が増える。

食事は人数が必要だが、ダンジョンでの収穫は午前中に終わってしまうので、午後は機織りに参加しているらしい。

休みの班は食堂で子供たちと一緒だが、子ども達も少なく手持無沙汰は感じているそうだ。

「これから味噌と醤油の仕込みを開始するのですか?」

「明日から始めようかと思っています。」

鈴木さんが答えてくれる。

こうなると旦那方7人は忙しくなる。叶井さんは家を建てるから余計に忙しい。

新しく来る男性は7人、女性が5人だから男は余る。難しい問題だ。

最後まで結論がでないまま昼食の準備となった。

昼食後に隊員たちは裾野に戻っていったが、食堂では話し合いが継続された。

鈴木さん兄弟と有國さんが醤油、田垣さん、古湊さん、道守さんが味噌。叶井さんは随時サポートで話は決まったが、7人の割り振りが決まらない。

「酒が造れれば問題ないよな。」叶井さん

「麹をどうするか、ですよね。」古湊さん

「それが解決できずに止まっていますからね。」道守さん

麹の作り方を手持ちの本で調べたが、料理本にそこまで詳しく書いてはいない。

そもそも酒造りは許可製で、家庭や店舗で勝手に造ると罰せられるから本にも載っていないのだろう。

今は罰を与える機関も機能停止しているので、勝手に造っても大丈夫だよね。

味噌と醤油作りの為に大鍋を6個用意した。直径で1.5mだ。

この大きさがないと樽にいれる大豆を一度に煮る事ができないからだ。

味噌、醤油作りに必要な布は明日から縫い合わせて作る事できまった。

サイズを言えば裁縫は奥様方に頼んでも問題ないだろう。

旦那方は機織りを開始し、4人はイス作りに製材所に。俺はダンジョンに行き赤い角を見ていた。

レッドドラゴンの角と鱗は赤い、これを何かに使えないか考えていた。

まずはエンシェントの角で赤い剣と作ろう。いつもの工程で完成させる。綺麗だが、ちょっと違うかな。

他に思いつかないので、19階層で糸を集める事にした。最近、布の生産量が多くなったので多めに集めておく。カードを持っていなければボス部屋は無限に糸を集められる。

糸集めを終えて食堂に向かう。

まだ準備中だ。そうだ、鯉がどうなってるか確認しないと。

俺は池に行き鯉の魔力を計ってみた。ある!魔力がある!

そのままダンジョンに行き、吸収させてからコアの部屋で確認をすると魔物として登録されていた。

8階層を池にして鯉の設定にして確認に走る。大丈夫、鯉だな。1匹水球で持ち上げて解析を掛けると 【鯉】 魔物 と表示された。これを殺してみると消えずのそのまま残っていた、成功だ!

解析では 鯉 食用 だ。すぐに食堂に行き調理をお願いする。

とりあえず唐揚げにしてくれたので、一口食べてみた。うん、美味しいな。

追加で1匹を収穫して渡す。夕食の手間を増やしてしまったが、おかずは1品増えていた。しかも魚。

「この魚、美味しいわね。」

女性からも声が上がる。

「これは鯉です。ダンジョンで捕れるようになりました。

 ゆくゆくは他の魚も捕れるよう試していきます。」

俺はどうやって魚を吸収させたのかを説明していた。

アジでもサンマでも試してみるから、待っててほしい。マグロも試すよ!

アジ、サンマ、マグロ、エビ、イカ、タイが最初の候補だ。これだけでも十分だよな。

食事のバランスも取れるな。そうか、牛にも同じ事をすればいけるかな?

その前に魚を充実させていこう。明日はマグロを探しに海に行くぞ。

その晩は気分よく寝る事ができた。


翌日は昼食を断り、魚を捕まえに出た。まずはマグロだな。小間のマグロを目指して飛んでいく。

寒い地域なので防寒は大切だ。在庫のダウンを着込んでいる。

上空から探すと大小のマグロが泳いでいるが、今回は100キロ程のマグロを選んだ。

前回は大きかったので捌くにも苦労したからだ。このサイズなら丁度いいだろう。

イカ、マダイ、マアジもここで捕まえる事ができた。

帰りにクルマエビも確保して山里地区に戻らず、海で生け簀を作っていく。

マグロは大きい生け簀に入れ、小魚を捕まえて放しておく。

アジとタイは同じ生け簀にいれ、イカ、エビはそれぞれの生け簀にした。

小麦粉と魔石の粉を混ぜて餌を作り、生け簀に入れてみた。

食べてるな、毎日ここに通って餌を与えて魔力がつけばいいな。

サンマは秋まで待つかな、やはり脂ののったサンマがいいからな。

サザエとウニ、アサリも追加で捕まえた。同じ餌でいいのか?他に無いし、試してみるか。

おっと、アサリの生け簀に砂を追加しないと死んでしまうよ。

アサリの味噌汁が飲みたくなったので、持ち帰り用を捕まえて戻る事にした。

水球にアサリを入れれば砂抜きにもなるので、戻れば食べられるかな。

昆布は収納して、他の食材を探してみる。いくらの時期は違うしニシンの時期はもう少し先だ。

おっとタラバカニを忘れてるぞ。大松方面まで急いで飛んでいく。アサリも一緒だ。

おっ!発見!タラバガニ!30匹捕まえて戻る事にする。30匹は今日消費しよう。

食堂はカニとアサリで騒ぎになった。カニが嫌いな人は少ないからな。

「酒があればな~・・・」

誰が言ったか想像はできるが、黙っておこう。

夕食は静かだった。カニを食べると静かになるよな、誰でも一緒だ。

食べ終わってからは騒がしかったな。でも食材に飢えているのは理解した。

もうすぐ解消してできるかもしれない。結構ストレス溜まっていたんだな。俺は動き回っているからかストレスは無いが、狭い範囲での生活も厳しいか。子供たちはどうだろうか。

「カニもダンジョンで収穫できるようになるの?」

サエちゃんに聞かれるが

「これから試していくから、待っててね。」

明日はカニも生け簀を作って入れないとダメだな。


翌日は朝から生け簀に向かう。魔力を確認するが、個体によって有無がある、もう少し様子見だな。

カニを捕まえに大松方面に今日も行く。大松を少しだけ覗いてみるが問題は無いようだ。寒くて外に人影も少ないからかな。

生け簀に戻りながら牛を探す。ホルスタインだから白黒でいいんだよな?

ゆっくりと移動しながら牛を探す。南のほうが暖かいし生きてる確率も高いよな。

結局見つからずに生け簀を作りカニを放しておいた。

やっぱ北のほうが牧場は多いよな、杉島方面に行って探してみるか。

内陸部をゆっくりと移動しながら見て廻る。途中のホームセンターで種を探して借りておく。奥様方がプランターで花を植えるだろうから少しでも多く集める事にした。もちろん借用書は置いておくよ。

トイレットペーパーだけは全て収納する。どこの拠点でも不足するはずだからね。

これも代用品を作れるようにならないとダメな物の一つだな。

そんな事を考えていると牧場らしき場所かな?広い空き地を見つける。雪が積もっていて牧草地帯か確認はできないので、下に降りて周囲を探し始める。

1棟の小屋に牛が11頭入っていた。全て痩せて弱っているかな?収納から小麦とか米を出して魔石の粉を混ぜてから、傍に置けば食べ始める。土で桶を作り水を入れ追加の穀物も沢山だしておく。

餌を食べてる間に撤去した小さい工房の材料を使って小屋を建てていく。一面は壁も無く開放しているが暖房も備え付けだ。6×20mの広さなら十分だろう。

周囲に魔物の反応は無いが、廻りを土壁で囲っておけば安心だろう。

牛を避けながら床も土を盛ってから固めておく。掃除を楽にするためだ。

畑ダンジョンから米を刈り、脱穀しれ藁を大量に作っておく。錬金の分離を使えば米と分けるのは一瞬で可能だ。

小屋の中に藁を敷き詰め、開放面に1mくらいの壁を作れば完成だ。これで小屋の外に出る事はないだろう。

何日かかるか分からないが、もう少し太らせて乳が出るのか確認しないとダンジョンに吸収させる事はできないな。1頭は裾野に吸収させてもいいだろう。

しかし、いつまでの食べるのを止めない。餌の量が分からないので時間で区切って与えるか。

穀物は食べ終え、敷き詰めた藁を食べている。それは寝床として敷いたんだけどな。

再度、穀物を出して食べさせる。もちろん魔石の粉も一緒だ。

都合60キロ程の穀物を食べたので海沿いで生け簀の戻る事にした。

鶏は全く見つからない。卵を食べられる日が待ち遠しいな。卵焼きが無性に食べたくなる。

生け簀で餌を与えて今日は終わりかな、と考えて生け簀を眺めていた。

サンマと鮭は秋だよな、と海を探っているとイセエビだ。これも必要だな。

数匹を捕まえ新しい生け簀を用意して放しておく。餌、食べてくれるかな?

全ての生け簀に餌を入れてから山里地区に戻った。

機織りの工房に人が多いのは毎度の事である。時間があれば布を織って時間を潰しているからだ。

俺はダンジョンに入り土を収納して、池の横に積んでおいた。

プランター用の土だ。敷地内は固めてあるので土を採れない。後は堆肥だけど何がいいかな?籾殻や藁でもつくれるんだったかな?菜園をやるくらいだから鈴木さん達に聞いたほうが早いな。

工房に入り堆肥の話で盛り上がっていると米糠も堆肥になる事が分かった。

車庫に行き精米機でできた米糠と籾殻を持って土のある場所までいく。

籾殻に米糠を混ぜ水を掛ける、作業はこれだけらしい。土で囲いを作り籾殻、米糠の順でいれ水を加えて踏み固める。何層か繰り返し最後はビニールシートで覆って作業は終了。

土と合わせて簡単な屋根を作っておく。ここは園芸場と呼ぶことにした。

4人組が大量のプランターを運んでる。いいよ、製材所で収納して運ぶから。

プランターは真四角で上に積み上げるが、ちょっとした衝撃で倒れてしまう。箱を重ねてもズレないように板を2枚、底に錬金で追加した。

「やり直します!」

4人は製材所で底に打ち付ける板の切出しにかかる。動きは早いな。

旦那方も手伝ってプランターの改良は早々に終わった。

食後に種を出してテーブルに並べると女性達が盛り上がっていた。春も近いので何をどこに植えるかの話合いだ。カズナリ君がプランターを持ってきてサイズの確認が始まった。4人はドキドキだろうな。

大きさの注文は無かったが数を増やす注文がきた。よかったな仕事ができて。

プランターに絵を描きたいと子供たちからの要望に大人は思案を始める。まず塗料が無いからだ。収納に多少はあるけど今回は使わない。

「米のりに色を付ける事はできませんかね?」

古湊さんの提案だ。

「試してみる価値はありますね、上手くいけば家の外壁も塗れるかもしれないですね。」

田垣さんも賛成する。家は漆黒樹なので黒一色で、それが連なっている。少しは色も付けたいな。

「明日、のりを作ってみましょう。」

旦那方が頷いて明日の作業が決まった。一日は掛からずに終わると思うけど。


夜、チーちゃんと話をしていると

「生理が無いの、できたかも。」

「やったね!おめでとう!」

2人で喜びあって、明日の夕食後に話をすることにした。生まれるまでに産科の先生を探さないと。

初めての子供に興奮して寝れなかったよ。


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