表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第三章 ダンジョン食物倉庫
48/57

048

基地に戻った隊長さんは報告を行うが、訓練の進捗だけで肝心な事は知らなかった。

「他の隊員に確認しましょうか、呼んでいただけますか?」

総理が別の隊員を呼ぶが、隊長は何かまずかったか?みたいな顔だ。

隊員が山里地区での事を報告する。

訓練状況は省き、お見合いの話だ、隊長はやっと気づくが遅いよ。

目に見える成果はなかったが、今後の進展に期待ができる報告だった。

山里地区での仕事については前向きに検討する方向で調整に入る。

だが、拠点間の連絡網に隊員の勤めを回す以外の方法が無い。

裾野での隊員は仕事というより雑務だ。

収穫した野菜の仕分けから集落への配達。周辺の警戒もあるが畑のやりくりでまかなえる。

集落への配達を止め、引き取りを実行したいが、離れた集落は2キロ近くの距離を歩かなくてはならない。

住居による不公平感があっては困るのだ。

最近の裾野には現在の司令部に不満を持つ住民が増えていた。

元会社役員だとか元官僚だとか、自分で体を動かさない人達からの不満が強い。

だが彼らは話も上手でカリスマ性も持っていて、ある意味では総理に近い人物たちだ。

自分達の住む集落をまとめ、近隣の集落にまで話をして歩いている。

頭の痛い話だが、政治の話だから山里地区とは切り離していく。

「急いで拠点作りを進めましょう。それが終われば落ち着きます。

 私の進退も含め議論ができるでしょう。」

総理も決断の時にきているようだった。

「いただいたリバーシは集落ごとに同数を配って下さい。」


隊員さん達が帰った翌朝、食事に少しだけ活気が無かった。

16人が減ったのだから当然なのだが・・・

通常の作業に戻ると旦那方のお茶会が始まった。

3名の隊員は部屋で休憩中だが、俺はダンジョンに向かった。

明後日に向かう大松の拠点に設置する設備の確認だ。

時間もあるので数は可能なかぎり増やしてある。

土も収納しておくかな、あとは・・・ 無いな。

そういえば千里と四沢に洗濯機を忘れたな。そのうち持っていくか。

昼食後は敷地内のレイアウトを考えていた。

食堂裏の工房を門に使い場所に移動、空いたスペースに機織りの工房を作りたい。

頭の中でいろいろとイメージをしていくが、他にも必要になる可能性もあるので纏まらない。

味噌、醤油、酒、機織り、製材所ので5ヶ所の工房は必要だ。

食堂の奥、壁際に味噌、醤油、酒の工房は並べて作ろう。

今の醤油工房の場所に機織り工房を作ればいいかな?

食品の工房は9×30mでいいかな、3棟が同じ作りでも問題ないな。

壁をどうするか、漆黒樹は黒くて雰囲気が嫌いだから白にしたいな。

各階層を廻って使えそうな素材を探していく。

土は階層ごとに違いは無いようだが、石は色が若干違う物があるな。

1種類づつ解析していく。セメントは水を混ぜると粘着力が出るんだよな。

岩を粉にして確認してみると灰色の石がセメントに近いようだ。

これを壁に塗れば大丈夫かな?漆黒樹を地面に刺して石を塗り、固まるのを待つ。

面倒なので炎であぶって水分を蒸発させる。

石の固さだな、今度は少し圧縮を加えて塗ってみる。体積で1/2だな。

ほう、石だな。元の石より固くなめらかな表面になった。よし、完成!

あとは床か。床も石を固めておけばいいな。

外に出て地面をならして工房を建てていく。柱を刺して壁を入れるだけなので簡単だ。

扉は1ヶ所にして、窓はガラスの両開タイプを4ヶ所取付して完成だ。

同じように2棟を建てて、床に石を張っていくが中央を少しだけ下げて排水が出来るようにした。

壁にも石を張れば全てが終わる。

醤油を味噌を移して旦那方に見せる。空の酒工房もな。

そろそろ仕込みに向けて大豆を貯めておかないと作れなくなると思うのだが。

場合によっては大きい樽も作るよ!工房に入るだけ作るから数を言ってね。

ん?工房の扉が小さい?確かに幅2mだね。大きい樽が入らない?俺が出すから大丈夫。

酒樽も同じように作っておくから。小さい物と一緒にね。まずは1リットルでいいから酒つくろうね。

「酒造り、どっかに師匠は居ないかな?」

叶井さんが訪ねてくる。

「一度でいいから教えてもらいたいですよね。」

古湊さんも同意する。

「次は浜杉なのですが、現地で聞いてみますよ。」

俺はお使いを一つ頼まれてしまった。酒造りか、浜杉あたりは盛んではないからな・・・

夕食時に

「場所が立派だけど、中身はどうなってるの?」

のぶえさんが訪ねてくるが誰も声を出さない。

「味噌、醤油はもう少し熟成ですかね、酒の工房は空のままです。」

ありのままの姿を報告しておく。

夕食後は女子会が今日も開催された。締め出しは無い。

端に移動してリバーシを楽しむ旦那方と聞き耳を立てる3人組。

旦那方が五月蠅くて聞こえないだろうな。俺は3人に聞いてみた。

「狙ってる娘は居るの?」

「俺は米沢さん。」一成君

「俺は長屋さん。」コウ君

「滝川さん。」昌君

ほう、しっかり分かれてるな。

「じゃあ、今から言ってみようよ!」

鈴木さんだ。聞いていたのか。

3人は一斉に首を横に振る。毎日顔を合わせるのに断られたら・・・憶するよな。

「なあ、正直な話、この3人はダメなのか?」

叶井さんが大きな声で問いかける!

女性達が一斉にこちらを向く。が、笑顔はない。

「もう少し待ってなさい!」

優香子さんの一言で終わってしまった。

待ってなさい? どういう意味だ? 3人も理解できないようだ。

待っていても何もおきそうにないので、風呂に行く事に。

ここも人が増えれば大きくしないとダメだな。

23人が結婚すれば23人増えるのだからね。

俺とコウ君、昌君は独身の家に寂しく戻っていく。俺はチーちゃんが来るけどね。


翌日は樽作りを始めた。

味噌と醤油は直径3mの大きな樽を2個づつ作る事にした。

前回と同じように石で形を作り、板を合わせて作っていく。

底板を嵌めて水漏れを確認すれば完成だ。4個を作ったが昼前に終わってしまった。

ついでに1mの酒用の樽も作っておいた。早く使いたいです。

午後は小さい工房を撤去したので、機織り工房を建てていく。

サイズは8×50mだ。機織りと縫製も一緒に作業してもらうので大きめにした。

まずは5台の機織り機を旦那方と組み立てて、機織り担当の班を呼びにいく。

食堂の機械は収納で運び、そのまま設置していく。

また織機の部品は10台分を追加で作っておいた。コピーなら10分掛からない。

ミシンも並べて工房の完成だ。

棚が欲しいとk、テーブルとか言ってるので4人組を連れてきて、製材所で作ってもらう。

大きさと数を確認して、スキップしそうな勢いで戻っていくが、

「構想ができたら報告な!プランターみたいな失敗するなよ!」

叶井さんの掛け声は届いただろうか。

旦那方は製材所で工程を見守る!と言いつつリバーシだった。

俺はダンジョンで機織り工房の窓に入れるガラスを作る事にした

今の窓はただの木で、明かりも取り入れたい。

食堂と同じ木枠を作り、ガラスを流していく。

よし、完成だ、食堂に交換に行くと外は雪だった。

今は2月の上旬、一番寒い時期だな。

窓を交換して池に行くが魚は見えない。寒いから深い場所で大人しくしているのかな。

魚か、毎回考えるが何も思いつかない。マグロの在庫も少なくなってるし、対策は必要だ。

裾野も同じだろうな、千里と四沢は海が近いので隊員が採取に行けるレベルになれば解決だ。

入聞、立河、厚林もここと同じ状況と考えていいだろう。

他の食材で代わりがきけばいいのだが。食堂で料理本を見て考える事にした。

「珍しいわね、料理の本を読むなんて。」

チーちゃんに言われる。

「魚の代わりになりそうな食材が無いかと思ってね。」

「そうね、魚の代わりか・・・難しそうだね。」

「鯉でもいいかと思ったけど、ちょっと泥臭いからね。」

「餌を変えれば泥臭さは消えるって聞いた事があったけど。」

そうか、餌か。餌を変えれば食べられるな。

まてまて、魚に魔石を食べさせて魔物にならないかな?

魔物にならなくても、魔力を持てば吸収できるかもしれないぞ。

川に行って鯉を採ってくる。池には入れず簡単に穴だけ掘って入れておく。

水に魔力を流してみるがダメだな。小麦粉に魔石を砕いて混ぜて練る。よし、魔力があるな。

小さく丸めて鯉が食べるよう入れて様子を見る。食べたぞ。5個も食べた。

明日の朝まで待って鯉に魔力があるか確認してみよう。

これが成功すれば魚の問題は解決できるな。明日が楽しみだ。

残るのが卵と乳製品か。こっちも試してみる価値はあるな。


この日、3名の隊員はダンジョンでミノタウルスと訓練をしていた。

隊長のフォローが無いので緊張感は倍増していた。

先日の訓練で出来た事が少しだけできない、おかしい。

3人がそう思いながら訓練を続ける。

「入口に1回もどりましょう!」

山守さんが提案すると2人も頷く。

「何が違うのかしら?」

真畑さんの問いに

"「多分だけど、余裕、かしら。

 隊長や勅使瓦さんがフォローしてくれる、という余裕が無くなっているのよ。

 もう少し自信を持って訓練しましょう。私達は強くなっているから。」"

山守さんの言葉で中に入っていく。

3人から焦りが消えて、動きにも余裕が見えてくる。これならだ大丈夫だ。

多門さんが倒し、真畑さんが倒したのを山守さんは横目で見てしまった。

2体を相手にしていた分、隙を突かれ左腕に一撃をくらう!

「!!!」

2人がミノタウルスに向かって空刃を放ち倒していく。

左腕に怪我はないが今日の訓練を終わりにして外にでた。

「油断した。ごめん。」

2人に向かって頭を下げる。

「原因は?」多門さん

「1体を魔法で倒す前に気をとられた。完全なミスだ。」

山守さんがもう一度頭を下げる。

こうやって自分の失敗を他人と共有して事故を減らしていくしか攻略方法はない。

3人は着替えて、少し早いが食堂に向かった。


食堂で3人から話を聞いた俺は食事前にミノタウルスを3体に変更した。

実際の戦いでは都合よく数合わせは出来ないが、訓練で怪我は避けたいからな。

3人に食堂に戻ってから

「3体に変更したよ。怪我したらダメだからね。

 2体3で戦って、一人は必ずフォローできる体制にしてね。」

「・・・ありがとうございます。」

山守さんが力なく答えた。

「最終的には1対3だからね。それが出来ないと下層は無理だから。」

「「「 !!!・・・ 」」」

その晩は早めの解散となった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ