040
朝食の時に
「ここの呼び名を考えてくれと言われていますが、いい名前、ありませんか?」
地主の家とか勅使瓦の家とかダメ!
裾野分屯地も却下!
好き勝手に言ってるが、作業中にそれぞれで考える事にして解散。
坂東彩夏
井本成美
江頭照
この3人と一緒にダンジョンに行く。
今日の3人もネズミを倒す事ができた。
昨日と同じ要領で訓練を進めていく。
1人多いので少し時間が掛かる、進みは遅いな。
フロアのネズミを増やす必要があったな、ダンジョンカードを置いてきたので急いで対応する。
昼食後にボス部屋での訓練は問題無く進んだ。俺は見守るだけだ。
夕食は遅れてしまったが、名前の案が決まっていた。
「山里地区」
まあいいかな。分屯地に執着するなよ、吉俣君。
「明日の午後、裾野に1回目の救援部隊が帰還します。
313名の保護ができました。ありがとうございました。
物資の追加をお願いできませんか?」
吉俣君からの報告とお願いだ。
「いいですよ、朝から行って設置しますね。」
「我々も3名が裾野へ報告に行きますが、同行されますか?」
飛んだほうが早いが、ゆっくり行くか。
「お願いします。」
翌朝、夜明けくらいに出発する。朝食用におにぎりを渡された。
総理、マスコさんと話をして今回は1000棟を設置する事とした。
各集落に10棟追加していく。これなら設備はふようだな、許容できる範囲だ。
その頃、指令室では
「吉俣君、そろそろ山里地区から戻ってくる時期ではないかね?」
司令官らしき人の言葉だ。
「周辺の探索は入聞や立河で補えています。大丈夫かと思います。」
「では、そのように手配しましょう。」
司令官が言うが山守さんが遮る。
「私は残りたいと考えています。」
「ほう、理由を伺っても?」総理
「・・・婚活です!」
「「「えっ!!!」」」
「ですから婚活です!」
「!!!この事態で、そのような考えとは!これは命令です。それでも断りますか?」
指令管が言ってくるが
「はい、最悪の場合は除隊も考えております。」
「山守、いいかげんにしないか、お前らしくないぞ!」吉俣君
「今回だけは譲れません。一生の問題ですから。」山守さん
「そこまで、ですか、詳しく教えて下さい。」総理
「・・・優良物件だからです。」山守さん
「優良物件?それはどういった事ですか?」
総理も含め、全員が理解できない。
「勅使瓦さんが優良物件なのです。
山里地区でも話がありましたが、無人島でも1人で生き残れる勅使瓦さんと一緒になりたいのです。
そのために離れる事はできません。他2名の女性隊員も同じ考えかと思います。」
「・・・なるほど、婚活ですか、子を成す事は考えていますか?」総理
「はいっ!考えております。」
総理が考え込んでいる。
そこに救援活動から戻った隊長が入ってきたので、吉俣君が小声で説明する。
「隊長、このまま訓練を続けていけば、隊員はダンジョンマスターになれますか?」
「難しいかと思います。」
「そうですか・・・会議室に移動します。」
全員で個室に移動し話が始まる。
「将来について考えていました。
不敬な話ですが、この先、勅使瓦さんが居なくなった将来についてです。
隊員がマスターになれれば問題無いですが、なれなかった場合です。
ダンジョンはどうなりますか?」
誰も総理の言葉に反応しない。
「優秀な人材を揃え訓練をしていますが、現状では進捗が思わしくない。
彼の子ならどうでしょうか?彼のDNAを継いだ人なら可能性が上がりませんか?」
総理の言ってる意味が全員理解できた。
「彼は未婚で子供はいません。
可能であれば後継者として子供を育ててほしいと思ってしまいました。」
「総理、彼に子を作れと言われるのですか?」司令官
「そこですよ、将来について、勅使瓦さんの考えも確認する必要があります。
まだ作業中ですか?」
「装甲車とバスの状態を確認しています。幡垣が一緒に付いていますが。」隊長
「戻ってきたら彼と話をしましょう。」
「待って下さい、山里地区に残っている2名も同席させて下さい。」山守さん
彼女は思い出していた、前夜の事を
「明日、勅使瓦さんと一緒、羨ましいわ。」真畑さん
「私が行きたかったわ。」多門さん
「ダメよ、私のし・ご・と!」山守さん
「抜け駆けは無よ!」多門さん
「それは分からないわよ、相手のある事だからね。」山守さん
「勅使瓦さんが迫ってくるならいいけど、廻りから固めるようにしないでね!」真畑さん
「分かってるわよ、他の人に協力はさせないわ。」
「今日、話を決める必要な無いかと考えます。
次回、全員が居る場で話を進めて下さい。」山守さん
「わかりました。次回、3名でこちらに来て下さい。
今日、この場での事は内密にお願いします。
他に知れて、山里地区に移住希望者が殺到しても困りますからね。」総理
そんな話が進んでいるとも知らずに装甲車とバスを見ていく。
「魔物との遭遇はありましたか?」
「今回は全くありませんでした。」幡垣君
「そう、よかった。」
熊皮の具合や魔力の残量を確認していく。
魔物が来ても壊される事は無いが、心配だな。
隊員のレベル上げも急がないとな。
隊長さんと会って
「レベル上げはどうですか?」
「著しい成果は上がっていません。」
「そうですか、何か新しい訓練方法をお互いに模索しましょう。
可能であれば隊長さんにも山里地区に滞在していただきたいのですが。」
「今日から10日間の予定で滞在します。総理にも了承を得ました。」
5人で裾野から山里地区に戻った。
夜、チーちゃんと二人の時に誤って魔力をチーちゃんに流してしまった。
横に居るチーちゃんの向こう側にあるコップに水を入れようと水球だす。
この時に魔力を流してしまったのだ。
一瞬、ビクッっとしたが
「何したの、クーさん?」
二人きりだと彼女はクーさんと呼ぶ。
「ごめん、間違えて魔力を流した。大丈夫だよね?」
「平気だよ、なんともないよ。」
笑っている彼女に解析を掛けると、魔力があった。
彼女には魔力は無かったはずなのに!
俺は再度、彼女に魔力を流していく。魔力が増えるな。
魔力が増えるのが楽しくて2時間も繰り返していた。
彼女は時折
「んんっ!ふぅ~、ん!」
と声を上げるがそのまま続けていた。
魔力が増えなくなるまで2時間かかったのだ。
魔力 7361
その数値は驚愕だ。ドラゴンキングに近い!
彼女はヘロヘロに疲れていたが家に戻っていった。
翌日、隊長さん以下8名と一緒にダンジョンに入る。
1階層で訓練だ。
8名に俺の腕を握ってもらい魔力を流していく。
全員が一斉にビクッとしたのには俺が驚いた。
1人、また1人と魔力の上限に達していく。
最後は隊長さんが残った。やっぱ隊長だな。
嶋内隊長:13276 風 火
吉俣猛光:10735 風 錬金
舘下進:6529 火
幡垣勇志:7951 風 火
鈴木典雅:8466 土
山守淳美:6928 聖
真畑成江:8395 風 土
多門えりか:6681 聖 土
魔力の上昇は終わった。
俺が魔力を告げると全員が驚いている。
本人に魔力の循環を試してもらうが、全員ができない。
次は魔法だ。
風魔法が使える4人以外は入口で待機してもらう。
4人には俺の腕を掴んでもらい壁に向けて手を広げさせる。
各々の手から風刃を出す。
「これが風刃を出す感覚です。覚えて下さい。魔力を上げます!」
風刃から始めた。
飛ばさずに出す練習からだ。4人は2階層で練習してもらい、次は火魔法だ。
火は二人、隊長は連荘だ。同じように火弾を教えて2階層へ移動。
土魔法を教えて次は聖魔法だが、治す対称がないので回復の訓練だけだ。
風魔法組に1階層に来てもらい、圧空盾を教える。
次は風弾、問題ないな。空歩は全員が取得できなかった。
だが風魔法はLv5に全員が達していた。
「勅使瓦さんのLvは?」吉俣君
「俺は10だよ。」
「「「「!」」」」
次は火魔法だ。
火弾を飛ばし、炎を出す。2人ともLv4になる。
次は土魔法。土弾、土壁、こっちも順調だ。
最後に錬金。
土を固めたり、岩の形を変えたりして錬金を教える。
Lv5まで上がったので終了とした。
隊長さんと吉俣君、幡垣君の3人なら熊1頭は倒せるかな?
救援活動に行っても魔物を恐れる必要はないだろう。
「明日は5階層の狼で訓練してください。
ボス部屋は5匹に設定しますので、2名で倒せるまで続くけて下さい。」
これくらいできないと本人のLvが上がらないだろうからな。
もう21時だった、食堂には大量のおにぎりが!
「遅くまで夢中になってすいません。」俺
「いえ、訓練ですから、有事の際には食事も睡眠も無く活動します。
これも訓練です。明日も訓練だからな!」
9人でおにぎりを食べ、部屋に戻っていく。
女風呂で
「今日の訓練は楽しかったわね。」多門さん
「使える魔法の種類が増えて、周辺の救護活動で魔物と遭遇しても大丈夫ね。」山守さん
「あら、救護するの?私は婚活ですからね。」真畑さん
「違う!救護しない!婚活するの―――!」山守さん
「いいのよ、無理しなくても。」多門さん
「くっ!明日は休んで勅使瓦さんと一緒に過ごすわ!」
「「休みは無いから!」」
俺は空歩が使えない理由を考えていた。
魔力は足りてるし、Lvも大丈夫だろう。
何が足りないか、分からないな・・・
翌日は4人組のレベルアップだ!
まずは魔力循環だ。
どんどんと増えていくぞ、いい感じだ。だがその顔はダメだろ、にやけるな!
「違和感は無い?」
「大丈夫です。問題無いです。」トシ君
「俺も大丈夫。」カズナリ君
2人も頷く。
4人とも、声を上げるのは止めろ!チーちゃんはいいけど君たちの声はダメだ。
考えてみたら隊員達は耐えてたな、我慢したんだろうな。
全員、魔法が使えないので風魔法を見せていく。
腕を掴ませ、手から風刃が出して魔力を大きくしたり小さくしたり、体験させる。
1時間程で全員に風魔法Lv1が出た。
よし!まずは風を出すことからだな。掌から風を出していく。
「まずは風からだよ。やってみて!」
初めて使う魔法だ。そう簡単には出来ないよ。
俺が魔力を流しながら教えていく。コツが掴めれば簡単だよ。
4人が風弾を出せるようになったので今日は終わり。
古湊利兼 6275 風
志賀谷宏大 4639 風
津守昌 4811 風
叶井一成 5169 風
今日は19時前に外にでた。
「明日から新人達も魔力循環やるよ。」
1班の女の子達に告げる。
「4人は2階層で魔法の練習をしていて。
隊長さん、進みはどうですか?」
「今日は5対5から4対5で戦闘訓練でした。
明日も引き続き訓練をします。」
「魔法だけではなく、剣も合わせて使って下さい。
必ず必要になります。」
「解りました、合わせて訓練をします。
他の隊員に魔力循環をお願いする事はできますか?」
「いいですよ。循環だけなら時間も掛からないし。人数は?」
「・・・50名です・・・」
「ん~いいですよ、1回12~3名で4回が可能ですかね。次回裾野に行った時にでも。」
「ありがとうございます。私が戻る時に同行していただければ有難いのですが。」
「了解です。」
その夜は部屋でお嬢様達の剣を考えていた。
隊員さん達と若者4人はアースドラゴンの角だったな。
隊長さんに渡していないので、1本作ろう。
面倒だな、9本作ってしまおう。鞘も合わせてっと、完成!
装備はブーツとグローブが無かったな。明日、サイズを聞いて全員分作ろう。
他には?大丈夫かな。
20人分の足型と手形を取って作業に入ってもらう。
醤油と味噌は熟成中。酒は?まだだな・・・おっと草鞋があった。
「裾野でこんな物を貰ったのですが、ここでも作りませんか。部屋の中とかで、どうですかね?」
俺は草鞋をテーブルに出して見せる。
「いいですね、作りましょう!」田垣さん
「敷物も作っていましたよ。」俺
「丸く作って食堂のイスに乗せませんか?」鈴木さん
「あれは長い事座っていると尻が痛いしな。」叶井さん
「子供たちが遊ぶ場所に置いてもいいですね。」有國さん、
食堂の隅で藁の編みこみが始まった。
俺は小麦粉を作ってから1班の女の子達とダンジョンに向かう。
4人には午後から合流してもらい風刃を教える予定だ。
「俺の腕を握ってくれるかな?」
3人に腕を握らせて魔力を流していく。
「「「!」」」
3人が声を上げる。
「んっん~、あっ!んっ!ん~~!」
やめろ!俺の集中力が散る!
声に反して魔力が上がっていく。3人の魔力が止まり
高沢美奈子 7816
重田由香里 6495
川井沙樹 8395
皆高めだな、沙樹ちゃんは隊員にも負けないな。
3人とも疲れていそうだが、魔法を見せていく。
昨日と同じで風魔法だ。
風を出す、風弾を飛ばす、風刃を飛ばす、圧空盾を出す。
腕を掴ませ3人の手から魔法をだしていった。
「風をだすから、感覚を覚えて!」
何回か繰り返し風をだして、1人で出す訓練に移る。
3人共、集中しているな。声を掛けるのを躊躇うほどだ。
「分からなくなったらサポートするから!」
そう言っても3人は手に魔力を集める事に集中している。
沙樹ちゃんが風をだした。俺は由香里ちゃんに魔力を流してサポートする。
美奈子ちゃん、由香里ちゃんも風を出す事に成功した。
「次は風弾ね。」
風と同じようにサポートしていく。
美奈子ちゃんが風弾を飛ばした!
「美奈子ちゃん、出来たね、次は魔力量とか速度を変えてみて。」
沙樹ちゃん、由香里ちゃんが出来るようになった。風刃まで3人が進んだ。
「師匠、ちゃん付けは止めて下さい。」美奈子ちゃんだ。
「えっ!ダメだった。ごめん、次からはさん付けで呼ぶから。」
いつから師匠になったんだ。
「呼び捨てでいいですよ。」由香里ちゃん
「いやいや、親しき中にも礼儀ありって言うでしょ、それは無理かな。
食堂で夕飯だから、行くよ。」
俺は先に食堂に向かう。
気付けば20時を廻っていた。
「お疲れ様です。魔法は習得できましたか?」
「できましたね。魔法Lvが無いので心配しましたが、全員が風です。昨日と同じですね。」
高沢美奈子 7816 風
重田由香里 6495 風
川井沙樹 8395 風
俺はステータスを教えてあげる。
3人は喜んでいるが若者4人は渋い顔だ。
「師匠、俺たちより魔力が多いようだけど、男だからって手抜きしてないよね!」一成君
「俺なんて半分しか無い・・・」津守君
「隊員でも個人の値は上下が激しいので、訓練で補いましょう。これから一緒に訓練しますか?」隊長
「「「「いえ、結構です。」」」」
個人差はあるから我慢しな。だから師匠は止めろ。
「魔力だけが強さでは無いからね、剣術や棒術、盾術もLvを上げないとダメだよ。」俺
「剣術は簡単に覚える事はできないの?」一成君
「・・・誰も苦労しないよね。」俺
「これから素振りをしますか?」隊長
「隊長さん、これを使って下さい。」
俺は収納から9本の剣を出す。
「隊員さん達には渡してあったのですが、隊長さんにはまだでした、遅れてすいません。」
「ありがとうございます。これの材質は?」
「アースドラゴンの角です。圧縮しているのでエンシェント以外斬れない物は無いと思いますよ。」
「すっげっ~!」一成君
「いや、君のも同じ剣だから、言ったよね。
あと女の子達もこの剣を使ってね。」
1人1人に渡していく。
「危ないから冗談でも人に向けたらダメだよ。」
今晩も内職だ。
体格に合わせてブーツとグローブを作る。
まずは隊員さんからだな。8名分っと。
モトクロスブーツをベースに作るか。チャックをミスリルと熊皮でコピーして40個と。
全体も熊皮で作って、底は漆黒樹で、プロテクターはドラゴンの鱗でいいかな、圧縮っと。
ふくらはぎのサイズを合わせて、1足完成!
次々と足型の大きさに合わせて作っていく。
グローブは皮を伸ばして、縮めて、圧縮してと、錬金術が無いとできないな。
一体で作り、プロテクターを取付していく。
手首、腕廻りを個別に調整して、チャックを取付すれば完成!
今日はここまで!
隊員さんに装備を渡したら2班の2人と魔力循環だ。
4人は風刃を覚えたので4階層で訓練してもらう。
2人の魔力循環は昨日の3人より激しかった。
魔力の上昇も止まったので、風魔法を教えていく。
「何故、全員が風魔法なのですか?」勝美ちゃんだ。
「攻撃と防御、両方が使える風魔法が最初はいいよね。」
二人を通して風魔法を使っていく。
19時前には風弾まで習得した。今日はゆっくりできそうだ。
沢田勝美 7924 風
松木愛結 7138 風
隊員さん達の進みを聞くと、2対5がクリアできないらしい。
剣術と盾術を使うよう話をする。圧空盾を使っても盾術は上がるからね。
若者4人のブーツとグローブを忘れるところだった。
4人分を作ってからミスリルの採取をしておく。サボっていたな。
4人にブーツとグローブを渡す。サイズは問題無いな。
3班の3人と魔力循環を始める。
今日は耐えるタイプが揃ってるようだ。声はほとんど聞こえない。
3回目の指導なので俺もコツを掴み、魔法が付けるまでに時間が短くなっている。
18時には食堂に戻れた。
「盾はどう使えばいいですかね?
受け止めた後の動作に遅れが出てしまいます。」
隊長さんが訪ねてくる。
2人で外にでて隊長さんに木剣で打込んでもらう。
俺は盾では受け止めずに横に流し、態勢を崩す動きを見せていく。
次は木剣同士で打込んでもらい、同じように流していく。
全員が経験するまで2時間の訓練になったが、明日は狼を倒せるだろう。
若い娘、8人分を作っていく。
慣れたので時間も掛けずに終わった。
とりあえず全員の魔力上昇は終わったな。明日から何しようかな。




